
『I am 介護士』
以前の記事にも書いたように、シングルマザーになったことをきっかけに、介護の仕事を始めました。背景には二つの大きな出来事があります。
一つ目は、母子シェルターでワーカーさんたちに支えていただいた経験です。温かい支援が、私にとって大きな力になりました。そして、あのときに感じた感謝の気持ちを今度は私が誰かに届け繋いでいきたいと強く思ったのです。
もう一つは、精神障がいを抱える母の影響です。母が苦しんでいた時期、身近に支えてくれる人がいなかったことで、私自身も多くの苦労をしました。だからこそ、同じように家族のことで悩み、孤独を感じる方々の力になりたいと考えるようになりました。
当初は精神保健福祉士を目指そうと考えましたが、資格を取得するには専門学校や大学での学びが必要です。その時の私にとっては、現実的に難しい道でした。そこで、まずは介護の現場に立ち少しでも力になれるよう介護士の道を選びました。
ここからは、介護士について少し説明したいと思います。
【介護士の役割】
介護士は、高齢者や障がい者など、日常生活で支援が必要な方々の生活をサポートする仕事です。具体的には、食事・入浴・排泄などの介助をはじめ、体調管理やメンタルケア、リハビリ支援など、多岐にわたる支援を行います。利用者の生活の質(QOL)向上を目指し、尊厳を保ちながらケアを提供することが重要です。
核家族化が進む中で、高齢者の方や障がい者の実態を『知らない』人が増えています。高齢者を知らないということは、人が老いていく様子や死に向かう姿を間近で見る機会がないということです。私が介護士になって良かったと思える最大の理由は、『命を通して命の勉強を日々させていただける』ことにあります。
人は必ず死にます。悲しいことですが『生まれる』=『死に向かう』のです。だからこそ1日1日を大切に生きようと思えますし、したいことは必ず実行し後悔なく生きようと思えます。この生きる指針を介護の仕事を通じて教えていただきました。
私はこれまでに何十名もの方の最期に寄り添わせていただきました。施設で勤務していた時にはご家族よりも最後の時間を共に過ごすことが多く、私の手の中で息を引き取られた方もいらっしゃいます。命の尊さや重みを学ばせていただいた経験は、私の宝物です。
しかし、施設での経験には辛いこともありました。上司から「入居者様の介護度を上げ、介護保険の点数を施設で消費するように」と指示されたり「空き部屋が増えない様に延命治療を続けて植物状態に」という方針を押し付けられたりしました。入居者さんが亡くなった際、上司の口から最初に出たのは「また一部屋空いてしまった…」という言葉でした。このように、人が人でなくなっていく状況に私自身、役職が上がるにつれて違和感を抱くようになりました。
施設の収益のために『生かされる命』たくさんの管を身体に通して延命され、人としての尊厳はあるのか? 私は人は人らしく、その人らしく最期を迎えるべきだと考えています。死について話すのは「不謹慎だ」と言われることもありますが、私はとても大切なことだと思います。自分や家族と人生の最期について事前に話し合う事は自分らしく最期を迎える為にとても大切です。
40歳から支払う「介護保険料」について、皆さんはどのように使えるか、何歳から利用できるか知っていますか? 私は義務教育の中で、こうした介護制度についても学ぶべきだと考えています。私が開校予定のフリースクールでも、子どもたちに介護について学ぶ時間を作り、高齢者との触れ合いを通じて『命』について学ぶ機会を設けたいと思っています。
私は現在、訪問介護事業所を経営し現場にも出て介護支援をさせていただいています。一人暮らしの方のお宅を訪問すると、「待ってたよ!あなた達だけが頼りだよ!」と笑顔で迎え入れてくださる方も多く、訪問介護士として孤立や孤独を解消し、在宅生活の継続を支える存在であることを実感します。
しかし、今年の法改正で訪問介護の報酬が下げられガソリンの高騰や最低賃金の引き上げも重なり、経営は非常に厳しい状況にあります。閉業する同業者も後を絶たず、これは今後の日本社会にとって大きな課題と言えるでしょう。
それでも、明日も私たちの訪問を待ってくださる利用者様がいます。これまでの日本を支えてこられた皆さまの想いを繋ぎ、私たちが笑顔を届け、その思いをさらに未来へと引き継いでいきたいと考えています。
想いをつなぐ、
笑顔をつなぐ、
未来へつなぐーー。
そんな思いが込められた、TSUNAGUヘルパーステーション。私はこれからも大切に守っていきます。
次回は、開校予定のフリースクールについてさらに詳しくお伝えします。