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大人のための絵本に初挑戦しました――「ハラスメントの街で」

    こんにちは、Bell note です。

    前回、noteクリエイターページを刷新し、私の創作コンセプト「非日常のキリトリ線」をあらためて掲げました。
    日常の中からほんのひと欠片を切り取り、非日常の光がそっと差し込む。
    このコンセプトで作品として体現してみたのが、今回挑戦した 「大人のための絵本」 です。

    絵本に込めたもの

    現代社会は、マニュアルやルールで溢れています。
    それ自体は必要なものですが、過剰に縛られることで、人は本来の柔らかさや人間らしさを失ってしまう――。
    今回の絵本『ハラスメントの街で』は、そんな現代を寓話的に風刺しながら、「休むこと・緩むこと」の大切さを描きました。

    少し不思議で、少し笑える。でも最後には「なるほど」と思ってもらえるような、大人の寓話を目指しました。
    それでは、絵本をご覧ください。


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    現代の街は、マニュアルでいっぱい。
    人々は本ばかりを見つめ、前を見なくなっていました。
    けれど、ベルノートは少しだけ違っていました。
    ――彼は“非日常”を知っていたから。

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    ある日、ベルノートは街を歩いていて、 ひとりの男とぶつかってしまいました。
    手からこぼれ落ちたのは――
    一冊の“コンプライアンス・マニュアル”。

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    『ごめんなさい』
    ベルノートは落ちた本を拾い上げ、 差し出しました。
    けれど、その男の表情には―― どこか不穏な影が、よぎっていました。

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    その時―― 男の口から、呪文のような言葉が放たれました。
    『ハラスメントだ!』 空が裂け、雷鳴が街を震わせました。

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    次の瞬間、男の身体は光に包まれました。
    目も開けられないほどの閃光の中、 彼は苦しげに叫んびました――

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    光はますます強くなり、 男の姿は形を変えていきました。
    スーツは破れ、 文明の影は消えていく――。
    そこに現れつつあったのは、 牙をむき、野生に戻った原始人の姿でした。

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    ベルノートは全力で逃げ出しました。
    背後からは、怒りに燃えた原始人の足音が、地面を震わせて迫ってきます。

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    叫びは、街にひろがっていきました。
    『ハラスメント!』 稲妻がまたたき、人々は次々と原始人へと姿を変えます。
    混乱の渦は、止まることなく広がっていきました。

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    群れはふくれ上がり、街を押し流すように港へと迫ってきました。
    ベルノートは必死に走ります。 背後には、怒りに燃えた原始人の大群が――!

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    ベルノートは、力いっぱい飛び乗りました。
    港は怒りの原始人で埋め尽くされ、海に落ちる者もいました。
    船が岸を離れると、ようやく――ひと息つけました。

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    安心したのも束の間――
    港に目を向けると、原始人たちが積み重なり、 ひとつの巨大な影を形づくっていました。
    その姿は、まるで怪獣でした。

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    雷鳴とともに、ついにその姿を現しました。
    無数の怒りをまとった、ひとつの怪獣。
    それは、人々の叫びが作り出した化け物でした。

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    原始人は泳げなかった。
    だが、怪獣となったその姿は、海をも越えて迫ってきました。
    ベルノートの船を追って――怒りの波が立ち上がりました。

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    なんとか南の島へたどりついたベルノート。
    だが安心している暇はありませんでした。
    海の向こうでは、まだ怪獣が追ってきているのだから。

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    ついに怪獣は、南の島へ上陸しました。
    白い砂浜が揺れ、ヤシの木も震えました。
    だが――島の人々は、まだ笑っていました。

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    ベルノートは声を張り上げました。
    『大変だ!みんな、逃げろ!』 けれど、南国の人々は笑顔で答えました。
    ――『テイク・イット・イージー』

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    浜辺の人々は、怪獣を前にしても動じませんでした。
    『だいじょうぶ。だいじょうぶ。』
    その声は、嵐のような恐怖をやわらげ、 波打ち際に広がっていきました。

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    怪獣はついに浜辺へと姿を現しました。
    その足音は地面を震わせ、波を荒れさせます。
    だが、人々の顔に恐怖はありません。
    ――笑顔のまま、ただ陽の光を浴びていました。

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    その瞬間――。
    怪獣の体はまばゆい光に包まれ、 大きな影はみるみるうちに縮んでいきました。
    怒りは、太陽のような光に溶けていきました。

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    光がやさしくしぼんでいくと――
    そこに立っていたのは、あの時ぶつかった男でした。
    もう『コンプライアンスマニュアル』を抱えてはいません。
    代わりに、南国の空気に似合う姿で、 静かに微笑んでいました。

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    気がつけば、怪物はもういませんでした。
    そこに立っていたのは、すっかりリゾート仕様に変わった“ひと”。
    浜辺の人々と肩をならべ、笑っていました。
    その光景に、ベルノートは思わず目を丸くしました。

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    怪物をつれて、ここまで来たけれど――
    ベルノートがつれてきたのは、リゾートという“非日常”でした。
    人は元の姿をとりもどし、笑いあいます。
    ベルノートもまた、子どもからヤシの実ジュースを受け取り、肩の力をぬきました。
    ――非日常は、だれにでも必要です。

    最後に

    物語のラストでは、怪物と化した人もリゾートで笑顔を取り戻し、ベルノート自身もひと息つきます。
    「非日常」は、逃避ではなく、人が人らしくあるために必要な時間。

    この絵本は、そんな思いを寓話のかたちにしたものです。
    忙しい日々の中で、あなた自身も“非日常のキリトリ線”を持っていますか?

    大人のための絵本、はじめての挑戦でした。
    いかがでしたでしょうか?
    感想やひとことを頂けると嬉しいです。
    これからも少しずつ形にしていけたらと思います。引き続き宜しくお願い致します🙇


    🔔Bell note

     
     
    サッチャー政権末期のロンドン、冷戦終結直後の欧州に居ました。特別な立場でなく、ただその現場周辺にいた一人として。そこで出会った人々から教わったことは、今も自分の中に根付いています。忘れないつもりで記録を始めたはずが、気づけばエッセイになり、小説になり、映像になっていました。

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