
王子ごっこやってみた!
なんか面白そうなので参加してみました。
妄想回路が働き、物語をひとつ作りました。
少し長いですが、よろしければおつきあいくださいませ。
ちなみに私のオリジナルキャラクターの3人が登場します。
今後もよろしくお願いします。
ではでは、スタート!!
● 放課後、謎の王子プリクラ ●
「腹減ったー。何か食っていこうぜ」
学校帰り。
駅ビルへ入るなり、瑛太が腹をさすりながら言った。
長身で爽やかなイケメンなのに、こういう仕草は庶民っぽい。
「月見バーガー、まだやってるかなぁ」
玲子が楽しそうに言う。
どうやら玲子は毎年、月見バーガーの季節になると、そればかり
食べるらしい。
「俺、寿司食べたい」
唐突に瑛太が言った。
「そんなの学生の小遣いで食べられるわけないじゃん」
蓮太郎が呆れたように返す。
小柄で華奢。可愛らしい顔立ちをしているせいで、よく女子と間違われる
けれど、れっきとした男子高校生だ。
「回転寿司ならいけるだろ」
「マック行くんじゃなかったの?」
「月見!」
玲子が即座に割って入った。
「はいはい。じゃあマックね」
結局、多数決でマックに決定。
三人は近道をするため、駅ビルのゲームセンターを突っ切っていく。
電子音。
クレーンゲームの派手な音楽。
色とりどりのネオン。
いつもの見慣れたゲーセン――のはずだった。
「……ん?」
三人の足が、ぴたりと止まった。
ゲーム機が並ぶ一角に、明らかに周囲から浮いているものがある。
黒。
そして、金。
金色の装飾に、薔薇。王冠。
入口には重厚なカーテンまで垂れ下がっている。
どう見てもゲームセンターの一角とは思えない。

「何これ……」
玲子が呟いた。
「この前までなかったよな」
瑛太も興味津々で筐体を見上げる。
蓮太郎は、その上に掲げられた巨大な看板を読み上げた。
「……『あなたも王子に!!』」
そこには、キラキラと金色の光をまとった、とんでもなく顔のいい王子様が微笑んでいた。
数秒の沈黙。
瑛太の口元が、ゆっくりと吊り上がる。
嫌な予感がする。
蓮太郎は一歩後ずさった。
「やってみようぜ!」
「やだよ!」
即答だった。
「瑛太、お腹空いてるんでしょ!? マック行くんじゃなかったの!?」
「マックは逃げない」
「月見は終わるかもしれないよ!」
「それは困る!」
玲子が一瞬だけ真顔になる。
これで助かった。
――と、蓮太郎が思った次の瞬間。
玲子の目が、王子プリクラのサンプル写真へ釘付けになった。
「……でも、あたしこれやってみたーーい!」
「なんで!?」
玲子が蓮太郎の背中へ回る。
そして瑛太は、当然のように蓮太郎の腕をつかんだ。
「よし、決まり」
「決まってない!」
「レン、行こ行こ!」
「ちょっ、レイ、押すなって!」
前から瑛太。
後ろから玲子。
「待って! 俺はやるなんて一言も――!」
抵抗むなしく、小柄な蓮太郎の姿は二人に挟まれたまま、黒と金に輝く怪しげなカーテンの向こうへ消えていった。
そして三人はまだ知らない。
このプリクラが――
ただ顔を盛るだけの機械ではないことを。
第一部完w
すみません。妄想がフル回転してしまって・・・
次でオチまでいきます。
● 王子プリクラ、撮影開始 ●
三人がブースの中へ入ると、外観に負けず劣らず、中も黒と金で統一
されていた。
正面には金色の装飾で縁取られた大きなモニター。
その横には、やたら高級そうな入力ペンが一本。
画面には、大仰な文字が浮かんでいる。
『あなたを象徴する言葉を入力してください』
「ん? 最初に好きな文字を入力するの?」
瑛太が入力ペンを手に取った。
「なんでもいいってことか?」
少し考えてから、モニターをコツコツと叩く。
「よし」
「何書いたの?」
玲子が横から覗こうとする。
「秘密」
瑛太はニヤッと笑うと、入力ペンを蓮太郎へ渡した。
「はい、次レン」
「えぇ……何を書けばいいんだよ」
そもそも蓮太郎は、やりたくてここに入ったわけではない。
瑛太に引っ張られ、玲子に押され、気がついたら謎の王子プリクラの
中にいたのだ。
「なんでもいいんだろ……」
面倒くさそうにペンを走らせる。
コツ、コツ、コツ。
「はい」
「早っ。絶対適当に書いたでしょ」
玲子に言われても、蓮太郎は知らん顔。
最後にペンを受け取った玲子は、なぜか真剣な表情でモニターと
向き合った。
「月見バーガーのメインたるものは……」
「まだ月見バーガーのこと考えてんの?」
蓮太郎が呆れる。
「ふふーん」
玲子は何かを入力すると、満足そうに決定ボタンを押した。
その瞬間――
『入力完了』
荘厳なファンファーレがブース内に鳴り響いた。
「うわっ、何!?」
『撮影を開始します。王子らしく、最高の表情を――』
「王子らしくって言われても……」
蓮太郎が困惑している間にも、カウントダウンが始まる。
3――2――1――
カシャッ。
柔らかなフラッシュが三人を包んだ。
「……もう終わり?」
「一枚だけ?」
三人が顔を見合わせる。
すると今度は、さらに盛大なファンファーレ。
パパパパーン!
「なんでそんな大げさなんだよ」
蓮太郎が突っ込んだ直後だった。
ブース横の排出口が金色に光る。
ウィィィン――。
「え?」
そこから出てきたのは、普通のプリクラシールではなかった。

「でかっ!」
玲子が声を上げる。
出てきたのは、もはやプリクラというより小さなポスター並みの写真
だった。
しかも一人一枚。
最初に出てきたのは――瑛太。
黒を背景に、金色の光をまとい、こちらを見つめている。
ただでさえ整った顔立ちが、謎の超高性能加工によって完全に王子様に
なっていた。
「おお……」
蓮太郎が思わず声を漏らす。
玲子も写真と本人を交互に見比べた。
「さすがイケメン。こういうの様になってるねぇ」
「まあな」
瑛太がちょっと得意げになる。
しかし。
蓮太郎の視線が写真の左側で止まった。
そこには、金色の豪快な筆文字で――
『大トロ一貫』
「…………」
蓮太郎の肩が震える。
「なんだよ……大トロ一貫って!」
とうとう吹き出した。
「ははははっ! 王子様が大トロ一貫って!」
「うるせぇ! さっき寿司食いたかったんだよ!」
「それで大トロ!?」
玲子まで笑い始める。
そんな二人を横目に、瑛太は次の写真を取り出した。
「お、レンの出てきたぞ」
「え」
蓮太郎の笑いが止まった。
二枚目。

黒と金の光の中、紫色の瞳を輝かせながら、凛とした表情でこちらを見つめる蓮太郎。
小柄で可愛らしい普段の印象は残っているのに、加工によって妙に気品のある美少年王子に仕上がっている。
玲子が目を丸くした。
「レン、めちゃくちゃ似合ってる!」
「……これ、俺?」
「お前、俺より王子っぽくない?」
「そんなわけ――」
言いかけた蓮太郎の目が、左側の金文字へ移動する。
『かっぱ巻き』
「…………」
瑛太が吹き出した。
「ぶはっ!」
「なんでかっぱ巻きなの!?」
玲子も耐えられない。
「知らないよ!」
蓮太郎の顔が赤くなる。
「いや、なんとなく! 瑛太が寿司食べたいって言ったのが頭に残って
たんだよ!」
「よりによって、かっぱ巻き!」
「うるさいな!」
そして――最後の一枚。
「レイのも出てきたぞ」
「どれどれ?」
三人が写真を覗き込む。

そこには、長い髪を金色の光になびかせ、満面の笑みの表情をした
玲子が写っていた。
「おお……」
「レイもすごい」
しかし二人が注目したのは、やはりそこではなかった。
写真の左側。
豪快な金色の筆文字。
その上には、小さくルビまで振られている。
ギョク
『玉子』
「…………」
瑛太と蓮太郎が同時に玲子を見る。
玲子は腕を組み、得意げに頷いた。
「月見バーガーのメインたるものは、玉子だからね」
一拍置いて。
瑛太と蓮太郎は同時に頷いた。
「おお……!」
「通な選択だ……!」
「でしょ?」
なぜか誇らしげな玲子。
三人はしばらく、出来上がった写真を並べて眺めた。

黒と金。
完璧なライティング。
吸い込まれそうな瞳。
圧倒的な美貌。
そして――
大トロ一貫。
かっぱ巻き。
玉子(ギョク)。
「…………」
瑛太がぽつりと言った。
「寿司、食いに行く?」
「だから高いって!」
「私は月見バーガー!」
結局、三人の王子は写真を抱えたまま、予定どおりマックへ向かった。
すみません。長くなってしまって。^^;
この企画、今日のお昼ころ知って、午後は仕事に行って帰ってきて
21時ころから大急ぎで作りました。開催期間が明日までとか書いて
あって、とりあえず間に合ってよかった。また楽しい企画を探して
参加してみようと思います。