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Photo bypupu_to_maru

親子で過ごした入院生活の記憶とともに思い出す、初めての落語絵本『はつてんじん』

    新年最初の天満宮の縁日が立つ、1月25日は初天神の日です。

    私が川端誠さんの落語絵本『はつてんじん』を初めて読み聞かせたのは、1月18日のことでした。


    この時の息子の年齢は3歳2ヶ月。落語絵本を読み聞かせするには「与える年齢が早く、背伸びをし過ぎているかしら?」と思いつつ選んだ一冊でした。

    なぜこの本を手に取ったのか。それは息子が白血病で入院生活を送っていたからです。

    1歳になる直前から入院するまで、私は子どもにテレビを見せない生活を送っていました。子どもが起きている時間帯は、大人もテレビのスイッチをつけない徹底ぶり。

    でも入院生活を送っている間は、テレビのない生活など無理です。私たちが暮らしていたのは、ナースステーションに隣接する扉の向こうにある、クリーンルームの一室です。

    早々にテレビのない生活を諦めた私が病室で流していたのは、Eテレの子ども向け番組。なかでも息子のお気に入りは、『にほんごであそぼ』でした。

    滑らかな口調でじゅげむを繰り出す野村萬斎さんを夢中で見つめている後ろ姿から、「川端誠さんの落語絵本を読み聞かせても良いかも」と閃いたのです。

    ベテラン看護師さんに言われた、「病室にいる間も子どもは成長している。入院生活を送っていない子どもとの差を埋めるために、もっと積極的にビデオを見せたら?」という言葉も気になっていました。

    今までテレビを見せていなかったのは、自分の五感で体験したことから世界を吸収して欲しかったからです。

    数日悩んだ私は、ビデオを見せるより絵本の力を借りて子どもに世界を体験させることを選びました。

    その最初の1冊が、この『はつてんじん』だったのです。

    「内容が理解できるのかな?」
    「今までで最長の絵本、飽きずに最後まで聞いてくれるかな?」

    時は江戸時代、とうちゃんと金坊が出かけた先にあるのは、屋台が並ぶ天満宮の参道です。屋台に掲げられている店先の暖簾は、「お好み焼き」「かるめ焼き」「たこ焼き」と現代の風景。

    金坊がとうちゃんにせがむのも、綿菓子にかるめ焼きにたこ焼きにお好み焼き、なんとなく子どもがイメージできる食べ物ばかり。

    とうちゃんと金坊のやりとりにくすくすと笑い、読み終わった後に「凧凧凧凧たこー」と連呼する息子がいました。

    そして恐怖の「もう1回!」の連続攻撃(笑)。すっかりお気に入りの1冊になったのです。


    この絵本にはもう一つのエピソードがあります。先日私を取材してくれたマーブルスクールの同期が、この絵本のエピソードをもとに記事を書いてくれました。

    川端誠さんの落語絵本は、落語をモチーフにしながら現代の子どもがイメージできるようにアレンジされています。

    そして大人にとっても「あれ買ってくれー、これ買ってくれーとうるさくてしょうがないんだよ」という父ちゃんのセリフに、あるあると全肯定する自分がいるのでは?

    言いたいけれど言えない大人の本音をバーンと広げながら、落語の軽快さとオチで笑いも受け取っていたこの絵本に、私自身が癒されていたのだと思います。

    そんな今日1月25日は、初天神の日ですね。

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    後日、サインをいただきました!


     
     
    山口県在住ライター|広島市出身|人と地域の思いを取材しています。記憶が未来へ受け継がれる、その瞬間を言葉にしたい。目に見えない思いや時間を言葉で記録しています。|周南市市民ライター|社会福祉士|日本アドラー心理学会会員|絵本・児童文学研究センター36期|マーブルスクール6期卒

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