
100%…SOかもね! Timothy B. Schmit Nick Lowe Atlanta Rhythm Section Hot Chocolate Police 山下久美子
僕は多分、躁鬱体質ではない。しかし、人生の中で1回だけ「躁」状態を経験している。もちろんその時は「躁」であることを自覚していなかったが、振り返ってみると「躁」だったと言わざる得ない状況だった。
それは1988年、27歳なかばの半年くらいの期間のこと。
月に1回くらいのペースで店舗を巡回に来るエリア担当部長と課長の二人に
「Bobbyは躁だよ、病院に行った方がいいんじゃない?」と何度も指摘されていた。会社からの予算は1年以上連続して達成していて、部長たちから何を聞かれても、現役時代のジャイアンツの中畑清選手の如く、「絶好調~!」と回答し、以前に比べて妙に明るく、浮足立っていたようだ。
ちょうどその頃は店舗業務と並行して、ラジオやケーブルTVの出演、サイン会の開催なども定期的に行っていて、私生活でも、店舗や百貨店の仲間、取引先の人たちを巻き込んで、お遊びバンドをやったり、旅行に行ったりと、思っていることがなんでも実現しているような気がしていた。
結果、半年後にはオーバーフローで倒れ、入院する羽目になるのだが・・
だが、その反動で「鬱」になることもなく、今でも浮かれ調子で生き続けているので、「あの頃はおかしかった」という自覚はあるものの、クスリを飲んだように全能感のあったあの時期も、今では良い思い出でになっている。
というわけで、今回は『100%「躁」かもね』という時期のことを懐かしみながら、100%「So」で始まるタイトルの曲を、紹介してみたいと思う。
「So Much In Love 」Timothy B. Schmit
「躁」の時は、「何をやっても上手くいく」という根拠のない自信があって、体内から幸福ホルモンがとめどなく湧き出し、頭の中は多幸感でお花畑状態だった。そんな幸福感を思い出させてくれるのが、ティモシー・シュミットの「ソー・マッチ・イン・ラヴ」。この曲を聴くと今でも自然に幸せな気持ちになる。イーグルスの中では目立たない存在だったが、ソロになってヒットを出した時のティモシーも、そういう気分になったのだろうか?
「So You Win Again」Hot Chocolate
「躁」の時は、どんな勝負をしても勝てるような万能感に満たされてしまう。だから、「躁」状態の人は株や先物の取引、あるいは土地売買などの儲け話にまんまと乗ってしまって、痛い目に合うのだろう。幸い、当時の僕を騙そうという人もいなかったので、被害は免れている。それでも、その時は何度でも勝負に勝ち続けられそうな気がしていたので、危なかった。
ホット・チョコレートはR&Bでもなく、ロックでもなく、特定の支持基盤などないのだが、この「ソー・ユー・ウィン・アゲイン」だけでなく、「ユー・セクシー・シング」や「エヴリ・ワンズ・ア・ウィナー」などの大ヒット曲を持つ不思議なグループ。一度聴いたら忘れられない、イナタイ魅力あふれたヴォーカルとサウンドがとても魅力的だ。
「So Lonely」The Police
「躁」の時は、まるで無重力状態で月面を歩いているようなふわふわした気分なので、ポリスの曲であれば、「ウォーキング・オン・ザ・ムーン」がいちばんふさわしいのだが、曲調でいえばレゲエ風ビートで展開する「ソー・ロンリー」の出だしの部分も結構「躁」のふわふわ気分を表している。「躁」の時、無意識では「とても寂しい」と訴えているのかもしれない。
「So Into You」Atlanta Rhythm Section
アトランタ・リズム・セクションの「ソー・イントゥ・ユー」は、「躁」から「鬱」へ移行してしまいそうな、ブルージーで気怠い雰囲気が全体に漂っている。だが、歌詞の方は「お前に首ったけ」という感じのラヴ・ソングだ。「躁」の時は、失敗したらどうしようなどと考えることなく、女の子をデートに誘うことができたので、成功率が高かった。もちろん、断られた時も「僕の誘いを断るなんて、後悔するよ!」的な気持ちだったので、いっさい落ち込むことなどなかったのだが。因みに原題から、官能的な曲を想像する向きもあるかもしれないが、「そう淫蕩」な意味はないと思う、恐らく。
「So It Goes」Nick Lowe
最初に聴いた時、サビの部分で「♬Solid Gold、Solid Gold♬」と連呼していると勘違いしていたのが、ニック・ロウの「ソー・イット・ゴーズ」。それだとまるで、T-REXの曲に聞こえてしまう。「ソー・イット・ゴーズ」というのは「そういうものだ」、「仕方がない」といった意味らしい。ここまで読んできて、ずいぶん不遜な文章だと気分を害された方もいると思うが、
「躁」とはそういうもので、仕方ないと思っていただければ幸いだ。
「So Young」山下久美子
最後に日本から山下久美子の「So Young」。佐野元春が山下久美子のために提供したノリの良いロックンロール。佐野元春も自身でカヴァーしているが、僕は山下久美子のヴァージョンの方に勢いを感じて、気に入っている。
ひそかにこの曲をウルフルズにカヴァーしてもらえないかと、僕は夢想している。ウルフルズがこの曲を歌うとサビの部分が「ええねん!」みたいに、「そーやん!」と聞こえて、面白いと思うのだが、いかがだろうか?
P.S)MVに映っている布袋寅泰の姿を見ると、ちょっと悲しい・・・
タイトル画像を見て、ピーター・ガブリエルの登場を期待した方がいたら申し訳ない。大好きなアルバムなのだが、「SO」という曲は存在しないので諦めた。まさか、シブがき隊のジャケットを使うわけにもいかないので。なお、「躁-SO」については、続編も予定している。