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【播磨国伝承物語】福崎のガタロ(河太郎)

    播磨国、福崎。


    神崎郡福崎町を流れる市川。


    その福崎町辻川辺りの駒ヶ岩に、

    河童のガタロが住んでいると伝わる。


    柳田國男(やなぎた・くにお)の『故郷七十年』にも、

    この駒ヶ岩の河童の話が出てくる。


    子どものころ、

    市川で泳いでいると、

    河童にお尻をぬかれる。


    そんな話があったという。


    お尻をぬかれる。


    今聞くと、

    なんとも滑稽である。


    この「お尻をぬかれる」というのは、

    河童に尻子玉(しりこだま)を抜かれるという話である。


    尻子玉とは、

    昔、人の尻のところにあると考えられていた、

    玉のようなもの。


    もちろん、

    男の「玉」のことではない。


    河童は人を水の中へ引き込み、

    その尻子玉を抜くといわれた。


    笑えるようで、怖い。


    今の福崎では、

    河太郎(がたろう)と、

    河次郎(がじろう)の姿でも知られている。


    河太郎が兄。

    河次郎が弟で、

    ガジロウの名で親しまれている。


    池のほとりにいる兄の河太郎。


    水の中から顔を出す、

    弟のガジロウ。


    昔は、

    子どもを水の中へ引き込むと恐れられた河童。

    今は、

    その姿を見ようと人が集まる。


    怖い。


    可笑しい。


    どこか憎めない。


    市川の駒ヶ岩。


    そこに伝わるガタロの話。


    播磨国福崎に残る、

    河童伝承である。



    【観音龍詠唱】福崎ノガタロ


    オン・ネ・ノ・ネ・ヨ

    播磨ノ川ヨ

    市川ノ水ヨ


    魚ヲ育テ

    子ラヲ遊バセ

    時ニ深キ淵トナリ

    人ヲ近ヅケヌ水ヨ


    駒ヶ岩ニ残リシ

    ガタロノ名ヨ


    恐レヲ恐レノママニ

    忘レズ

    次ノ子ラヘ渡セ


    オン・ヒーリャ・ヒーリャ


    水ニ棲ムモノヨ

    川ヲ守ルモノヨ


    古キ名ヲ失ワズ

    福崎ノ水ト共ニアレ


    ガタロヨ

    今モソノ淵ニ

    名ヲ残セ


    オン・ナリ・ト・アマ・ノ・ネ・ヨ


    ヒビケソワカ

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    二十四節気、季節の行事、神社やお寺、昔の言葉。そこに残る響きから、日本人が大切にしてきた心を読み解いています。響きの国、曼荼羅シリーズ、物語を通して、忘れかけた感覚をもう一度思い出すために。

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