
月光のラブレター|来世で結婚する彼女の話|シロクマ文芸部
月を見る。
私は彼女に恋焦がれているのだ。
私の中で月と言えば、来世で結婚を約束した親友だったりする。
彼女とはもうかれこれ、15年来の付き合いだ。
知り合ったのはお互いの共通の知り合いを通じてだった。
当時はTwitterで盛んにやり取りしていて、初めて会ったのは、その共通の友達が主催する飲み会じゃなかったかと思う。
15年経った今、お互いにだんながいて、彼女には子供もいる。
時間の流れは恐ろしい。
1000km離れた夜
彼女に月のイメージを抱くのは理由がある。
はるか昔の話だが、彼女が夜、泣きながら電話をかけてきたことが何度かあった。
電話の詳細はもう覚えてないが、くそみたいな話だったことは間違いない。
どうやって慰めても、1000km離れたところにいる私には、できないことが多すぎる。
絶対生きていてほしいのに、手を握ることも、背中をさすることも、一緒に温かいコーヒーを飲むこともできず、ひたすらもどかしい時間だけが過ぎていく。
そのときふと見上げた空に月が見えた。
思わず彼女に月が見えるかと聞く。
「見える」
彼女がつぶやく。
遠く離れた彼女を照らす月が、1000km離れた私にも見える。
じゃあもう彼女は月そのものだ。
あの月を見失わなければ、彼女にまた辿り着ける。
雨で見えなくても、雲で隠れてしまっても、新月の夜も。
月は確かにそこに存在し、また私を照らす瞬間が来る。
見失うことが怖くて震えたとしても、そこにあり続けているはずの月を信じよう。
あれから13年
あれからもう13年。
お互いのだんな同士もそこそこ仲良くなり、互いの嫁の異常性を嘆く仲になった。
彼女の子供とはゲーム友達だ。
かわいい手紙とシールをたくさんくれる。
旅行にも2人であちこち行った。
厳島神社、京都、ハウステンボス、出雲大社、USJ、大阪万博。他にもいろんなところへ。
ディズニーなんて、たぶんランドとシーを合わせたら30回以上になるだろう。
私をディズニーおたくにしたのは間違いなく彼女だ。
彼女と一緒じゃなかったら、一生行くことはなかっただろう場所がたくさんある。
2人一緒ならどこにでも行ける。
月と太陽
私はと言うと何度も病気になった。
精神的に不安定になった時期もある。
その度、月の光がそっと私を照らす。
彼女は私を太陽だという。
ま、いつも騒がしいからねww
でも月を照らすのも太陽の仕事だ。
健やかでありますように。
嫌なことが起こりませんように。
彼女が月になったあの夜から、私は月に恋焦がれている。
今宵も私は月を見ている。
シロクマ文芸部さんの企画に参加させていただきました!ありがとうございました。