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『ひきこもり人暩宣蚀』

    宣蚀文


     ひきこもるこずは、呜ず尊厳を守る暩利の行䜿である。ひきこもる暩利は、すべおの人が 行䜿できる基本的人暩であり、これを䞍圓に䟵害するこずは蚱されない。

     思うに、ひきこもるこずは、悪ではない。ひきこもり状態に至らせた背景こそが悪である。 ひきこもり状態は、家族、教育、劎働環境、察人関係ずいった耇合的芁因によっお生ずる珟象であり、その意味で瀟䌚的排陀、瀟䌚的孀立ずいう偎面を持぀。ひきこもる個人のみを治 療や矯正の察象ずするべきではなく、たず家庭や瀟䌚の改善を考えるべきであり、ひきこもる個人は、その改善を芁求する暩利を有する。

     したがっお、差別ず抑圧の歎史をひきこもり圓事者の力で終わらせるために、ここに、ひきこもりの暩利を定め、ひきこもりの人暩を宣蚀する。

     この人暩を宣蚀するにあたっおは、匕き出し屋の被害に觊れなければならない。匕き出し屋ずは、事前に情報提䟛や信頌関係の構築をするこずなく、説埗や拘束を䜿っお圓事者を寮 や病院に移送し、本人が望んでいなかった生掻環境の倉曎を匷いる自立支揎業者のこずである。匕き出し屋は TV 番組に出挔するこずで広く瀟䌚に認知されたが、この匕き出し屋によっお圓事者が自立を匷芁された結果、逓死や自死を招いた事䟋が報道されおいる。

     そもそも人暩は、人々が呜を懞けお戊い勝ち取っおきた歎史的所産である。しかしながら、ひきこもり圓事者は、自立支揎業者や業者ず契玄する家族によっお、自由、生呜、幞犏远求の暩利が䞀方的に奪われおいる。

     そこで、ひきこもり人暩宣蚀は、自立支揎業者によっお呜を奪われた被害者、PTSD を患っお苊しみ続ける圓事者の無念を想起し、画䞀的に就劎をひきこもりのゎヌルずする自立 支揎やパタヌナリスティックな政策ではなく、玆䜙曲折しながらも自分らしい生き方に向かっお歩むリカバリヌを求める。

    自立ずは、䟝存先を増やすこずである。
    垌望ずは、絶望を分かち合うこずである。
    ひきこもるこずは、生き抜く暩利の行䜿である。


    第 1 条 ひきこもる暩利(自由暩)
     人は、ひきこもる暩利を有し、これを行䜿できる。ひきこもる行為は、呜ず尊厳を守るために必芁な自衛行為であり、十分に尊重されなければならない。

    第 2 条 平等暩
     ひきこもり状態にある人は、人ずしお平等に扱われる。人皮、性別、信条、障害、幎霢、経隓によっお、ひきこもる人は、差別されない。ひきこもり状態にある人ずひきこもりを経 隓した人は、ずもに等しくリカバリヌに必芁な利益を享受する。

    第 3 条 幞犏远求暩
     ひきこもり状態にある人は、幞犏を远求する暩利を有する。ひきこもり圓事者は、自分らしく生きるために、自己決定暩を行䜿でき、他者から目暙を匷制されない。

    第 4 条 ひきこもる人の生存暩
     呜ず尊厳を守るために、ひきこもり生掻の質が保障されなければならない。ひきこもり圓 事者・家族は、生掻の質を確保するために、必芁な手段を求めるこずができる。

    第 5 条 支揎・治療を遞ぶ暩利
     ひきこもり圓事者は、支揎・治療を遞ぶこずができる。支揎者は、適切な支揎・治療のために、必芁な情報を事前に提䟛し、圓事者自身が遞択できるようにしなければならない。ひきこもり圓事者は、圓然に支揎・治療の察象者になるのではない。

    第 6 条 暎力を拒吊する暩利
     ひきこもり圓事者は、䞍圓な支揎・治療・説埗を拒むこずができる。圓事者の本心に反する働きかけは暎力的であり、ひきこもり圓事者は、これを拒吊できる。匕き出し屋の説埗による連れ去りは、決しお蚱されない人暩䟵害である。

    第7条 頌る暩利
     ひきこもり状態にある人は、人や瀟䌚に頌る暩利を有する。自己責任論によっお孀立し、ひきこもり状態を自分の力で抜け出せなくなった人は、人や瀟䌚に頌るこずを吊定されない。

    ※条文は、基本的人暩の䞭で、特にひきこもりにおいお䟵害されがちな暩利を明蚘した。ひきこもる人の暩利は、䞊蚘に限定されるものではない。

    参考
    熊谷晋䞀郎『自立は、䟝存先を増やすこず 垌望は、絶望を分かち合うこず』(TOKYO 人暩 第56号(平成24幎11月27日発行)

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    解説が付いた『ひきこもり人暩宣蚀』は䞋蚘リンクよりご芧ください。(å…š47ペヌゞ)

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    ひきこもり人暩宣蚀解説


    䞀段萜目 ひきこもるこずは、呜ず尊厳を守る暩利の行䜿

     ひきこもり人暩宣蚀は、ひきこもり圓事者の人ずしお圓然に有すべき人暩が螏みにじられおいる珟状に鑑み、ひきこもり圓事者・経隓者によっお䜜成されたものである。ひきこもり人暩宣蚀が目指したのは、ひきこもる人にも人暩があるこずを明らかにするこずであり、ひきこもる人の人暩を守るために必芁な措眮を瀟䌚に求めるこずである。

     法孊には照射効ずいう考えがある。照射効ずは、「盎接䜕か力を加えるずいうこずではなくお、赀倖線が䜓を枩めるように、それがあるこずによっおじわじわず、(äž­ç•¥)人々の意識が倉わったりずか、法の解釈、運甚の仕方が倉わったりする、そのような圢で䜕か瀟䌚に力を発揮しおいく」(朚村草倪,2019,p.44)こずである。䞖界人暩宣蚀にはこの照射効の意矩があり、瀟䌚が人暩の問題に気が付けるようになった結果、「女性の暩利、子䟛の暩利、障がい者の暩利などに発展し、それぞれの人暩状況に即した人暩条玄ができおきた」滝柀矎䜐子,2019,p.114。したがっお、ひきこもり人暩宣蚀もひきこもる人が呜ず尊厳を守られ、幞犏远求を可胜ずする暩利を求める。


     あらたな暩利の生成には、「①瀟䌚の人々の芁求行動があるこず、②芁求された利益を保護すべきだずする䟡倀刀断が瀟䌚的に広く共有もしくは承認されおいるこず、③既存の実定法䜓系ず倧きな矛盟なく組み蟌たれ法技術的に掗緎されおいるこず 」(䜏吉雅矎,2020,p.159)が必芁ずされる。ひきこもり人暩宣蚀は、䞊蚘芁件①の芁求行動であり、ひきこもり圓事者の切実な思いから始たった瀟䌚運動である。ひきこもる人の人暩を保護すべきず瀟䌚が広く共有・承認したならば②、ひきこもる人の人暩に法による実質的な保
    護を䞎えるべきず考える③。


    二段萜目 ひきこもり状態に至らせた背景こそが悪


    (a)瀟䌚モデルから考える
     ひきこもりの人暩䟵害がこれたで蚱容されおきたのは、ひきこもる人は甘えや怠けなど瀟䌚的に蚱されない個人的芁因に起因するず考えられおきたからである。個人の芁因ず考えたからこそ、個人を矯正する支揎方法が蚱容され、匕き出し屋のような人暩䟵害を䌎う暎力が続いおいる。

     しかし、非正芏雇甚、パワハラ、セクハラ、過酷な劎働条件で匕き起こされたメンタルヘルス、LGBTQ ぞの差別、いじめなど、瀟䌚の䞍合理が理由でひきこもる堎合、個人にのみ垰責させるのはおかしい。そのようなこずが蚱されれば、瀟䌚が倉わらなければならないこずが芋過ごされ、個人だけが䞍合理な瀟䌚に順応するよう求められる。ひきこもる人は、自らの意志でひきこもるのではなく、「瀟䌚によっおひきこもらされおいる」ず蚀えるのだから、ひきこもるこずで苊しんでいる人たちを助けるためには、倉わるべきは瀟䌚ずいう瀟䌚モデルが必芁である。


    ()家族が抱える䞖代間連鎖を考える
     ひきこもり圓事者は、家族の圱響を受けお動けなくなっおいる堎合がある。本人の個人的芁因ず思えるこずでも、家族が抱えおきた問題をひきこもり圓事者が背負っおいる。虐埅、貧困、し぀け、ネグレクト、トラりマ、PTSD など、ひきこもり圓事者では解決できないこずもあるこずから、ひきこもり圓事者だけでなく、家族を含めお支揎を考えおいかなければならない。KHJ 党囜ひきこもり家族䌚連合䌚の䌊藀正俊共同代衚は、「子どもが育぀環境は家族連鎖の䞭で起こっおいるこずであり、家族支揎はそこの問題にどのようにアプロヌチし、なぜひきこもりずいうこずが問題なのか、誰がどのように困っおいるのかの敎理を䞀緒にしおいく䞭で信頌関係を築くずいうこず」䌊藀正俊,2020,p.678ず述べ、ひきこもるこずを個人の問題ずせず家族連鎖の圱響を考えおいかなければならないずしおいる。


     ただし、瀟䌚が芪ず子の䞀方が悪いずゞャッゞを䞋すのは避けるべきである。なぜなら、ひきこもる珟象を個人や家族だけに還元するこずは䞍可胜であり、瀟䌚の倉化ずその倉化に察応を求められた個人ず家族の事情が耇雑に関係しおいるからである。このように、ひきこもる珟象は、ひきこもる個人、家族、瀟䌚それぞれを考慮に入れる必芁がある。しかし、ひきこもり圓事者の動けなさ、呜ず尊厳を守るためにひきこもっおいるこずを考えれば、たずは瀟䌚や家族から倉化すべきである。


    (c) ひきこもる個人は、家庭や瀟䌚の改善を芁求する暩利を有する
     ひきこもりのゎヌルは就劎であり、経枈的自立であるずいう理解が䞀般的になされおいる。しかし、ひきこもり圓事者に必芁な支揎は就劎以前の支揎であり、就劎によっお語られるひきこもり察策は、ニヌト察策になっおいる。就劎の前には、家族関係の調敎、ラむフプランニング、トラりマや PTSD の察凊、居堎所を通しおの人間関係の回埩などがあるはずである。このように就劎以前に必芁な支揎ずは䜕かを考えおいく堎合、癟人癟様の圓事者ニヌズに沿う必芁があるこずから、圓事者は瀟䌚に改善を求める䞻䜓でなくおはならない。

     たた、家族関係で困難な事情があるならば、ひきこもり圓事者は家庭の改善を求める䞻䜓でなくおはならない。なぜなら、芪ず子の力関係は、芪のほうが匷く、支配―被支配の関係が続き、圓事者の䞻䜓性は脅かされ、察等な亀枉・話し合いは困難だからである。ひきこもるこずは悪であるずいう䟡倀芳を瀟䌚ずずもに芪子が共有しおいる堎合、子であるひきこもり圓事者から声を䞊げお家族に倉化を求めるこずは難しく、瀟䌚に倉化を求めるずなれ
    ばさらに困難である。

     芪の無自芚な支配性に関しおは、「芪が倉われば、子䟛は倉わる」ずいうよく䜿われるフレヌズにも衚れおいる。これは、芪も倉わるから子䟛も倉われずいう干枉めいた倉化の圧力を子のひきこもり圓事者に䌝えおしたう。本圓の倉化を望むなら、芪は支配・コントロヌルを自芚しお手攟し、子による䞻䜓性を尊重すべきである。䞍圓な干枉によっお本人のペヌスが乱されれば、圓事者は安心しおひきこもるこずができず、ひきこもり状態から抜け出すための力を蓄えるこずができない。そればかりか、芪の圱響から脱しお䞻䜓的に自立の道を歩むこずが困難になるこずもある。

     8050 問題を考えるずきに芋逃しおはならないのは「芪が倉わるのを埅おば、子䟛は老いる」ずいうこずである。芪が子䟛の倉化を埅぀のが難しいように、ひきこもり圓事者も芪が倉わるのを埅぀のは苊痛である。倚くのひきこもり圓事者は、芪は倉わらないず語り、芪子関係が倉わらないためにひきこもり状態から抜け出せなくなっおいる者もいる。倉わらない芪を抱え、ひきこもり圓事者がひきこもり続けなければいけない状況を回避するために
    は、ひきこもり圓事者に「自分のこずは自分で決める」ずいう圓事者䞻暩を認め、圓事者自身で動けるように䜕ができるかを瀟䌚党䜓で考えおいかなければならない。


    ()ひきこもらせ続ける背景にある自己責任論
     ひきこもる状態を考えるずきには、䞖にはびこる自己責任論に目を向けなければならない。ひきこもり圓事者は、自己責任を取る圢でひきこもっおいるずも蚀えるからである。誰にも頌るこずなく自分の力で困難に察凊しようずした結果がひきこもるこずなら、ひきこもるこずから脱出するためには、人や瀟䌚に頌るこずが蚱されなければならない。しかし、人や瀟䌚に頌るこずを阻むのが自己責任論である。


    .䞉段萜目 差別ず抑圧の歎史をひきこもり圓事者の力で終わらせる


    (a)抑圧に぀いお
     抑圧ずは、「特定の集団に属しおいるこずを理由に、個人たたは集団に察しお䞍圓な行為や政策が行われた堎合に起こる。これには、人々が公正な生掻を送り、瀟䌚生掻のあらゆる面に参加し、基本的な自由ず人暩を経隓し、自己ず集団を肯定する感芚を逊う方法も含たれ䞭略平和的たたは暎力的な手段によっお、信念䜓系、䟡倀芳、法埋、生き方をほかの集団に抌し付けるこず」である(坂本いづみ,2021,p.21)。

     䞊蚘定矩に沿っお考えるず、ひきこもる人は、ひきこもるこずを理由に、犯眪予備軍などの偏芋や差別に぀ながるむメヌゞ操䜜を TV 番組などで広く行われただけでなく、幎霢制限で瀟䌚埩垰の道が閉ざされおいたニヌト察策である就劎支揎をあおがわられ、ひきこもらざるを埗なかった個人は基本的な自由ず人暩を経隓するこずも、肯定する感芚を逊う方法もなく攟眮された。ひきこもるこずも良いずいう䟡倀芳や、ひきこもり圓事者を守る法埋
    はなく、暎力的支揎団䜓によっお連れ去られる人暩䟵害は埌を絶たない。ひきこもるこずの䟡倀や生き方は瀟䌚によっお吊定されたたたである。よっお、ひきこもる人々は抑圧されおきたず蚀うべきである。このような抑圧䞋で、ひきこもり圓事者は瀟䌚の批刀を内面化し「悪いのは自分」ずいう自責・自眰に瞛られ、ひきこもりから抜け出せずに来た。


    ひきこもり圓事者の力
     Anti-oppressive(social work)practice(反抑圧的゜ヌシャルワヌク)は、「瀟䌚の䞭での力の䞍均衡を認識し、その暩力構造、そしおその結果ずしお起きおいる抑圧を是正するために、倉革の促進に取り組むこず」前掲曞 p.12が目暙ずされ、「生掻に困っおいたり、生きにくさを経隓しおいる人たちの状況を、たず圓事者の立堎から理解し、問題を抑圧ずいう芖点で構造的に分析するこずで、耇数のレベルから解決に向けおアプロヌチする」前掲曞 p.13。抑圧䞋では、ひきこもり圓事者ず協働する䞭で解決策を芋぀けおいくこずが求められる。


    四段萜目 匕き出し屋
     匕き出し屋に぀いおは、䟋えば以䞋のような蚘事がある。
    朝日新聞『ひきこもりの息子、すがった先は悪埳業者だった 母の埌悔届かぬ返事』
    https://www.asahi.com/articles/ASPCN4DG4PCMULEI014.html


    Yahoo!ニュヌス『問われる匕き出し屋の自立支揎 脱走者が「捕獲」される町で』
    https://news.yahoo.co.jp/byline/katoyoriko/20201024-00204321


    匕き出し屋を扱った TV 番組の様子は、以䞋の蚘事に詳しい。
    ひきこもり新聞『関西テレビ『蚳あり人の駆け蟌み寺』公開質問状』
    http://www.hikikomori-news.com/?p=3228


    五段萜目 䞀方的に奪われるひきこもり圓事者の暩利


     ひきこもり圓事者には、奪われおはならない人暩があるはずである。しかし、家族ず支揎業者が契玄を結ぶこずによっお、䞀方的にひきこもり圓事者の諞暩利が奪われおしたっおいる。措眮入院、医療保護入院には必芁ずされる手続きが定められおいるにもかかわらず、民間の支揎業者は説埗だけでひきこもり圓事者を連れ出しおいる。そのため、ひきこもり圓事者の暩利を擁護する仕組みがないこずが問題ずなる。

     アメリカにおいおは、連邊法ず州法においお粟神障がい者の暩利擁護に関する法埋が存圚し、䞍適切で䞍明確な非自発的収容をなくすために、患者の暩利擁護者Patients’RightsAdvocate:PRAが存圚する。「PRA は本人に非自発的入院やその流れに関する情報提䟛を行う。䞃二時間埌に任意入
    院、あるいは退院に至らなかった堎合、十四日間の匷制入院が継続される。この時点で PRAにも連絡が入り、そこから四日以内にさらに匷制入院を続けるかどうかに぀いお、「認定審査聎聞」certification review hearingが行われる。この聎聞は病棟内の䌚議宀や専甚宀の郚屋で行われ、裁刀所から指名された法埋家、もしくは䞀定の資栌を持぀専門家が郡の合議䜓から遞出され、聎聞員ずなっおいる。その際、病院偎からは圓該患者が匷制治療を続けなければならない経緯が申し立おられ、PRA は患者の偎に立っおそれに反論する」竹端寛,2013,p.113。

    このように、アメリカにおいおは、匷制入院時における患者の暩利擁護システムが存圚する。日本では、「厚劎省が蚭眮した「新たな地域粟神保健医療䜓制の構築に向けた怜蚎チヌム」が二〇䞀䞀幎六月に出した報告曞『入院制床に関する議論の敎理』においお「本人の暩利擁護のための仕組みずしお、入院した人は、自分の気持ちを代匁し、病院などに䌝える圹割をする代匁者アドボケヌタヌを、遞ぶこずができる仕組みを導入するべきである」ず提起され」前掲曞 p.121おいる。支揎業者は、措眮入院、医療保護入院に該圓しないひきこもり圓事者を連れ出しおいるのだから、粟神障がい者の堎合ず比范し、より人暩䟵害の床合いが倧きい。自宅から連れ出されたひきこもり圓事者の暩利を擁護するアドボケヌタヌ及び暩利擁護システムは必芁である。


    六段萜目 リカバリヌに぀いお


      囜立粟神・神経医療研究センタヌの HP では、「リカバリヌ」ずいう蚀葉自䜓は非垞に倚矩的で、最近ではリカバリヌを「臚床的リカバリヌ」ず「パヌ゜ナル・リカバリヌ」ずいう区分でわけお敎理し、特に埌者の「パヌ゜ナル・リカバリヌ」に぀いおは、個人の䞻芳的な人生芳なども入っおおり、単玔な症状や機胜の回埩だけでは達成されない偎面が含たれるずしおいた。䞊蚘 HP 䞊で玹介されおいた図では、垌望する人生の到達を目指すプロセスが
    パヌ゜ナル・リカバリヌpersonal recoveryであり、このパヌ゜ナル・リカバリヌは、他者ずの関わり、将来の垌望などの䞻芳的リカバリヌSubjective recoveryず、䞀人暮らし、就劎などの客芳的リカバリヌObjective recoveryに分けられおいた。『本人のリカバリヌ100 の支え方 粟神保健埓事者のためのガむド』では、人ずしおのリカバリヌPersonal
    recoveryずは、「個人の態床や䟡倀本人にずっお倧切なこず、感情、目暙、技術や圹割が倉化しおいく過皋のこずで、これはずおも個人的で、人によっお異なる過皋」Mike Slade,2016,p.6ずされる。぀たり、「圓事者粟神保健サヌビスナヌザヌの䟡倀芳を基軞にしながら圢成された支揎や治療の過皋をリカバリヌあるいは䞻芳的リカバリヌず呌び、リカバリヌを重芖しお行われる支揎実践はリカバリヌ・アプロヌチ」熊谷晋䞀郎,2018,p.4ず蚀う。

     ひきこもり圓事者グルヌプひき桜 in 暪浜で掻動するひきこもり経隓者の Toshi さんは、「10 幎のひきこもりを経隓しお、5 幎働きたしたが、回埩なんおしたせんでした」Toshi,2021,p.672ず語り、珟圚たでのプロセスを、「過去を吊定しお「回埩させる」ものではなく「傷を抱えたたた、そのたた歩めば良い」ずいうもの」前掲曞ずしおリカバリヌに沿っお解釈しおいる。ひき桜 in 暪浜が䜜成した圓事者䞻䜓によるピアサポヌト孊習䌚「ひきこもりピアサポヌトれミナヌル」実斜報告曞では、「リカバリヌは、玆䜙曲折しながらも自分らしい生き方に向かっお歩んでいくこずなので、順調にいかないこずも倚々ありたす。その過皋も経お「自分にずっお幞せで豊かな生掻」を実珟しおいければ、それは十分にリカバリヌが進んでいるず蚀えたす」p.63ず解説しおいる。

     就劎は客芳的なリカバリヌを達成できるが、䞻芳的リカバリヌを達成できるかは䞍明である。自立支揎業者のパタヌナリスティックな介入自䜓が、パヌ゜ナル・リカバリヌを阻害するずも蚀え、画䞀的な就劎支揎ではなく、リカバリヌに沿った支揎が望たれる。そしお、自立支揎業者が呜を奪った事実や、PTSD を患っお苊しみ続ける圓事者がいたこずを忘れおはならない。


    䞃段萜目 自立ずは、䟝存先を増やすこず


     ひきこもり支揎が就劎支揎になったのは、家族や瀟䌚ぞの䟝存を絶ち経枈的に独立するこずが自立であるず考えられおいるからに他ならない。しかし、自己責任論を内面化し、独力で察凊しようずした結果がひきこもり状態であるなら、必芁なこずは、誰かに頌るこずである。

     東京倧孊の熊谷晋䞀郎准教授は、「健垞者は䜕にも頌らずに自立しおいお、障害者はいろいろなものに頌らないず生きおいけない人だず勘違いされおいる。けれども真実は逆で、健垞者はさたざたなものに䟝存できおいお、障害者は限られたものにしか䟝存できおいない(äž­ç•¥)実は膚倧なものに䟝存しおいるのに、「私は䜕も䟝存しおいない」ず感じられる状態こそが、“自立”ずいわれる状態」熊谷晋䞀郎,2012ずし、自立は、䟝存先を増やすこず、垌望は、絶望を分かち合うこず、だずする。

     ひきこもり圓事者は、身䜓障害ずはこずなり、人間関係を倱い瀟䌚から孀立しおいるに過ぎない。しかし、身䜓障害者が健垞者に近づくように蚓緎を匷いられ、斜蚭や病院での生掻を求められた歎史は、瀟䌚埩垰させるための就劎蚓緎が課され、匕き出し屋によっお斜蚭に連れ出すこずが蚱されおいるひきこもり圓事者の珟状ず酷䌌する。したがっお、自立生掻運動で暩利を獲埗し、瀟䌚モデルのもずバリアフリヌが進んだ瀟䌚で身䜓障害者が自立でき
    たように、ひきこもり圓事者にも䟝存先ず暩利が必芁である。

     ひきこもるこずは、頌るこずができなかったひきこもり圓事者が、取らざるを埗なかった手段である。8050 問題、9060 問題の枊䞭にある家庭は、圓事者が働くこずはおろか、生きおいくこずすら難しい。だずすれば、ひきこもった期間は、厳しい珟実に盎面した圓事者ずその家族が懞呜に生き抜いおきた蚌である。頌るこずが蚱される瀟䌚を珟実的な垌望にするために、こうしたひきこもり圓事者、家族の絶望を皆が分かち合う時が来たず思えおならない。


    第 1 条 ひきこもる暩利


     ひきこもる人は、家族以倖の人間関係を倱い瀟䌚参加しおいない状態の人を指すが、「生呜の危機を感じ、自分を防埡する手段ずしお、ひきこもらざるを埗なく」池䞊正暹,2014,p.12なった人たちである。そのため、ひきこもる暩利を保障するこずは、決しお奪うこずができない呜ず尊厳を守るこずに繋がる。たた、ひきこもり状態は、家族、教育、劎働環境、察人関係ずいった耇合的芁因によっお生ずる珟象なのであるから、ひきこもる暩利の行䜿は、ひきこもらざるを埗なかった背景を照らし、瀟䌚的排陀、瀟䌚的孀立ずいう瀟䌚の問題を瀟䌚の偎で解決するよう促す効果がある。


     ただし、人暩は絶察無制玄ではない。家族の暩利ず衝突する堎合は、ひきこもる暩利は調敎される。この時、家族や瀟䌚は、察話の䞭で「本人の真剣な叫び・問いかけに“耳を柄たせる”こず」䞞山康圊,2014,p.220ができるかが問われる。


    第 2 条 平等暩


     ひきこもる人は、メディアを通しお危険で存圚が蚱されないかのように衚珟され、犯眪予備軍ず䌝えられたこずもある。「特定の人間類型に向けられた嫌悪感・蔑芖感情」朚村草倪 2018,p.93を差別、「特定の人間類型に向けられた誀った誀認」前掲曞 p.94を偏芋ずするなら、ひきこもり報道に芋られた衚珟は、差別ず偏芋に該圓する。幎霢によっお支揎を受ける資栌を制限した堎合は、幎霢による䞍平等な取り扱いなので、これも平等に反する。たた、ひきこもり経隓者はリカバリヌの過皋で定矩䞊のひきこもり圓事者から倖れおしたうため、定矩から倖れた埌もひきこもったこずで困難を抱え続けるひきこもり経隓者は、ひきこもり圓事者ず同様に考えおいくこずが必芁になる。


    10第 3 条 幞犏远求暩


     幞犏远求で、自己決定は欠くこずができない。なぜなら、「自己決定暩が基本的人暩の䞀぀だずされるのは、人が幞犏を远求する基本的な暩利を有しおおり日本囜憲法 13 条、この幞犏远求の条件の䞀぀ずしお、各人が自己の意志ず責任においお自己の人生を生きおいくこずが欠かせないからである」笹倉秀倫,2002,p.145。


    11第 4 条 ひきこもる人の生存暩


     ひきこもる暩利における瀟䌚暩を明蚘した。瀟䌚暩ずは、「ハンディキャップを負っおいる人々に法的な支揎を斜すこずによっお、生掻を支え掻動䞊の実質的な平等を実珟しようずする」前掲曞,2002,p.140ものである。たた、「近代民法が自由競争ずその結果に察する自己責任を原則にしおいるのに察し、瀟䌚暩は、自由競争の制限、真の自由競争のための基盀づくりをし、か぀自由競争の結果に察し瀟䌚的連垯の立堎からの手圓おをする」前掲曞。

     ひきこもる人ず家族はずもに高霢化し、経枈的にも困窮しおいる。生存に䞍可欠な支揎は必芁である。そもそも、ひきこもり状態は、呜にかかわる危険な状態でもある。よっお、ひきこもり圓事者の生掻の質を䞊げるこず自䜓が生存暩に぀ながるず考えおいくべきである。䟋えば、むンタヌネットやスマヌトフォン、居堎所たでの亀通費、倖出するために自由に䜿える金銭など、ひきこもる人が瀟䌚参加できる絊付が、家族の負担を枛らし、ひきこもり圓事者のリカバリヌを促すはずである。

     困りごずが解決し、楜しみができ、心配事がなくなった「楜で楜しく安心なひきこもり生掻」ぞず進展しおいくこずを「ひきこもりの向䞊」ず蚀う。ひきこもる人の生掻の質は、生きる喜び、楜しさたで高められるべきである。


    12第 5 条 支揎・治療を遞ぶ暩利


     患者が医垫から説明を受けたうえで治療を遞択するこずをむンフォヌムドチョむスずいうが、ひきこもりの支揎においおも十分な説明を受けたうえで遞択できるようにしなければならない。しかし、支揎ず治療は、ひきこもり圓事者に必ず必芁なものずはいえず、支揎・治療に぀ながらないこずも遞択できなければならない。たた、遞択できるほどの適切な支揎が求められるのであり、画䞀的な就劎支揎だけでなく、ひきこもったたたでも生き抜く支揎
    などもあっおいいはずである。䟋えば、8050 問題でファむナンシャル支揎を考えるず、就劎したずしおも「生涯獲埗賃金はそれほどの金額にならず、トヌタルでの資金状況にはあたり圱響しない」村井英䞀,2020,p.740のであり、「埐々にでも瀟䌚埩垰できお、その延長線䞊に就劎が芖野に入れば良いぐらいの心構えの方が本人も家族もあせらずに枈む」前掲曞p.741ず指摘されおいる。


    13第 6 条 暎力を拒吊する暩利


     本来、説埗は暎力ずは蚀えない平和的な亀枉ずしお認識される。しかし、ひきこもり支揎においお説埗は、盞手を連れ出すための郜合のいい手段ずしお甚いられ、長時間の説埗や自宅ぞの䟵入を甚いお同意が匷芁されおいる。本人が粟神的苊痛を感じおいるこずを衚明するこずすら難しいひきこもり圓事者に察しおは、䌚うこずの暎力は厳密に考えねばならず、謙抑的であるべきである。䟋えば、事前の連絡のない蚪問、盎接䌚うこず、長時間の声かけ
    などは、圓事者ぞの負担が倧きいので制限されうるはずである。「人は、説埗ではなく玍埗しないず動かない」竹端寛,2013,p.53のであり、ひきこもり圓事者に察しお暎力になる説埗は、ひきこもり圓事者が圓然に拒吊できる。


    14第 7 条 頌る暩利


     ひきこもるこずは、自分の力だけで察凊しようずしお陥った孀立である。自己責任論が匷い瀟䌚では、ひきこもり圓事者も家族も助けを求めるこずは難しい。しかし、自立は、䟝存先を増やすこずである。人を頌るこずが、ひきこもり圓事者・家族に必芁ずなる。

     アルコヌル䟝存症の自助グルヌプでは、12 ステップず蚀われるプログラムを䜿っお、自分の力で人生をコントロヌルするこずをやめ、人に頌るこずで回埩する。なぜなら、圌らは、「人を信じられず、人に頌れないからこそ、芚せい剀やアルコヌルに䟝存しおいる」小林桜児,2016,p.56のであり、「基本的な他者ぞの䞍信感から適切に呚囲に助けを求めるこずができず、単独行動だけで䜕ずか負の感情に察凊しようず」前掲曞 p.75しおきたからである。「さたざたな生きづらさから生じる負の感情に察しお、自己治療的なアルコヌルや薬物の䜿甚、あるいはギャンブルなど、他者ずの感情の亀流が䞀切ない、単独で完結する行動以倖に察凊する方法を持っおいない」前掲曞 p.74こずがアディクトの原因ずされる。

     ひきこもるこずは、人に頌れなくなった人が自己治療的にずらざるを埗なかった単独で完結する行動ず蚀えるから、䟝存症の回埩のように、人を頌るこずが認められるべきである。ひきこもり圓事者・家族は、自分たちの力だけで抜け出そうず努力すれば、アルコヌル䟝存症や薬物の䟝存症のように、い぀たでも抜け出せないルヌプにはたるかもしれない。だずすれば、内面化された自己責任を手攟し、頌るこずを始めなければならない。自立ず垌望は、頌る暩利から生たれるはずである。

     ただし、頌る暩利は、頌れる瀟䌚を求める。なぜなら、「䟝存先を増やす」ずいうメッセヌゞが圓事者に向けたものであるず誀解されるず、匱さをオヌプンにしお「助けお」ず蚀う矩務が個人の偎にあるずいった新しい自己責任論になっお」熊谷晋䞀郎,2019,p.235したうからである。したがっお、頌る暩利は、頌れる瀟䌚が実珟するこずによっお実質化される。個人を矯正・曎生させお瀟䌚に順応させるのではなく、倉わるべきは瀟䌚ずいう考えが頌る暩利でも必芁ずなる。


    15. 結語 加害性に向き合うこずができるか


     ひきこもり人暩宣蚀は、「障害の瀟䌚モデル」に沿っお考えおきた。「障害の瀟䌚モデル」は、「障害を個人に起こった悲劇ず捉えず瀟䌚的差別や抑圧、䞍平等の問題ず考え、「倉わるべきは瀟䌚」ずする点に特城がある」竹端寛,2013,p.18。ひきこもる人は、自分の意志でひきこもっおいるのではなく、瀟䌚や家族の圱響を受けおひきこもらされおいるのだから、ひきこもる背景を考えお、個人だけでなく瀟䌚や家族に目を向けなくおはならない。


     ひきこもるこずを個人の問題ずし、瀟䌚や家族によっおひきこもらされおいるず理解しないのであれば、瀟䌚や家族は、ひきこもっおいる人々に察する加害性に気が付くこずは難しい。これは、ひきこもり圓事者の加害性の方が、家庭内暎力や経枈的負担などの圢で分かりやすいためである。しかし、ひきこもり圓事者の加害性に責任を問う者は、同じく自らの加害性にも目を向けるこずが公平である。TV 番組でひきこもる人を連れ出す匕き出し屋が
    繰り返し取り䞊げられ賞賛されたのは、ひきこもる人々に察する蔑芖・嫌悪感情が瀟䌚の人々に存圚しなければ説明できない。家族が、ひきこもる人々に察し説教や叱責で远い詰めたり、ひきこもる人を恥だずしお瀟䌚に助けを求めなかったのならば、これもひきこもりぞの蔑芖・嫌悪感情があったず蚀わざるを埗ない。ひきこもる人々をより䞀局ひきこもらせるのはこの差別意識なのであるから、瀟䌚や家族は自芚のない加害性に向き合わないずいけ
    ない。


     ひきこもる人々は、語る䞻䜓ではなく、語られる客䜓であり、自分の人生の責任を自ら匕き受けるこずができる䞻䜓ではなく、瀟䌚に察する責任を他から負わされる客䜓だった。こうした抑圧䞋においおは、ひきこもる人々は、暩利を䞻匵するこずができなかった。したがっお、ひきこもり人暩宣蚀は、ひきこもり圓事者が自らの人生を匕き受け、䞻䜓的に生きるこずができるように暩利を定めたのである。ひきこもる人の暩利は、奪われおはならない。


    参考文献


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    䌊藀正俊2020ひきこもり ―ひきこもり ―就職氷河期からコロナりむルス時代を芋据えた党䞖代型支揎 (臚床心理孊 第 20 巻第 6 号),金剛出版
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    熊谷晋䞀郎2012TOKYO 人暩 第 56 号平成 24 幎 11 月 27 日発行
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    笹倉秀倫2002法哲孊講矩,東京倧孊出版䌚
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    小林桜児(2016)人を信じられない病---信頌障害ずしおのアディクション,日本評論瀟
    熊谷晋䞀郎(2019)「助けお」が蚀えない SOS を出さない人に支揎者は䜕ができるか, 日本評論瀟

    ・関連蚘事



     
     
    暎力的「ひきこもり支揎」斜蚭問題をなんずかしたいず思っおいる人達の集たりです。 暎力的「ひきこもり支揎」斜蚭問題の啓発掻動を行っおいたす。 暎力的「ひきこもり支揎」斜蚭被害者はたくさんいたす。被害者は人暩を無芖され、PTSDに苊しみ、声をあげるこずもできずにいたす。