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人を見る目を、どこで間違えるのか

人を見る目がある人、と聞くと、嘘を見抜く人や、悪い人を早く見つける人を思い浮かべるかもしれません。

けれど、人間関係で消耗するときを振り返ると、失敗はそれだけではありません。正しそうな人を信じすぎた。声の大きい人を強い人だと思った。変わらない相手に期待し続けた。そして、疑いすぎて、本当に助けようとしてくれた人まで遠ざけた。

人を見誤るのは、相手のせいだけではありません。見る側の私たちにも、決まった間違え方があります。

この記事では、人を見るときに起きやすい七つの判断のずれを、一つずつ読んでいきます。悪い相手を見抜くための攻略本ではありません。自分も含めて、人はどこで人を見誤るのか。その仕組みを知ることで、誰に何を期待してよいかが、少しだけ見えやすくなればと思います。

目次
一 正しい人を、信じすぎる
二 怒る人を、強い人だと思う
三 頼る人と、利用する人を見誤る
四 伸びない人に、期待し続ける
五 説得できない相手を、説得し続ける
六 疑いすぎて、善意まで失う
七 人を見る目は、何を見れば育つのか

一 正しい人を、信じすぎる


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会議で、いつも筋の通ったことを言う人がいます。資料は正確で、反論にも理屈で返す。この人の言うことなら間違いない、と思うのは自然なことです。

ところが、その人が中心になった仕事ほど、なぜか人がついてこないことがあります。言っていることは正しいのに、周りが動かない。

私たちは、一つの目立つ長所から、その人の他の面まで良く見積もってしまう傾向があります。心理学ではハロー効果と呼ばれ、百年ほど前にソーンダイクが、上官による部下の評価で、別々の項目の評価が不自然に揃ってしまうことを報告しています。論理的に話せる人は、判断も、人柄も、人を動かす力も優れているように見えてしまう。

けれど、「正しいことが言える」ことと、「人を動かせる」ことは、別の能力です。正しさは、相手がそれを受け取れる形で差し出されて、初めて力になります。相手の立場や事情を置き去りにした正論は、どれほど正しくても、聞く側には攻撃として届くことがあります。

ここで、反対側からも見ておきます。正しい人を信じすぎているのは、他人だけではありません。自分が正しいことを言っているとき、私たちは自分の言葉が通じない理由を、相手の理解力に求めがちです。正しさに寄りかかっているのは、自分のほうかもしれない。

では、何を見ればいいのでしょう。

その人の正しさそのものではなく、その正しさが周りでどう扱われているかを見ることです。意見が通ったあと、人が自分から動いているか。反対した人と、その後も話ができているか。正しい人の周りに、正しさ以外の何が残っているか。

正しさは、人を見るときの入口にはなっても、答えにはなりません。

この先の六章では、怒り、頼みごと、期待、説得、疑い、そして人を見る目そのものについて、同じように読んでいきます。

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