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【公認会計士コラム】新規上場企業分析~資本政策を読む~ダイナミックマッププラットフォーム株式会社

    BIMC会員企業様向けコンテンツ「新規上場企業分析~資本政策を読む~」では、新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)の情報をもとに資本政策の考え方について分析、考察を行っています。

    今回は、自動運転・先進運転支援システム(ADAS)に不可欠な高精度3次元地図データ(HDマップ)を生成・提供するダイナミックマッププラットフォーム株式会社(以下、DMP社)を取り上げます。

    DMP社は、「デジタル社会のインフラとして高精度位置情報基盤をグローバルに構築し、自動運転をはじめとする新しい未来を拓く」をパーパスに掲げる企業です。資本政策の観点では、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)を起点に、政府系ファンド・自動車メーカー10社・地図測量各社という「オールジャパンの官民連合」を株主として設立された、極めて特徴的な成り立ちを持ちます。加えて、上場前の評価額を大きく下回る「ダウンラウンドIPO」であった点も資本政策上の論点です。本稿では、Ⅰの部をもとに、事業の特性と資本政策の関係性を読み解いていきます。

    会社概要と事業の特徴

    DMP社の前身は、2016年6月に「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」として設立されました。内閣府が所管するSIP自動走行システムの研究成果としてHDマップの実用化に目途が立ったことを受け、2017年に日系自動車メーカー10社(いすゞ・スズキ・SUBARU・ダイハツ・トヨタ・日産・日野・ホンダ・マツダ・三菱自動車)他の出資を受けて事業会社「ダイナミックマップ基盤株式会社」へ移行しました。2019年には米国HDマップ企業Ushr Inc.(現・連結子会社 Dynamic Map Platform North America, Inc.)を完全買収し、2023年に現社名へ商号変更。現在は日本・北米・欧州・韓国・中東の26か国で事業を展開しています。

    事業は販売地域を基準に「国内」「海外」の2セグメントに区分され、内容としては次の2つの柱から構成されます。

    • オートモーティブビジネス:自動運転・先進運転支援システム向けにHDマップを生成し、自動車メーカー等へライセンス供与。搭載車両の販売台数に応じたライセンスフィー・メンテナンスフィーを収受。GM社の「Super Cruise」への搭載を中心に、2025年1月末時点で計35車種に搭載。

    • 3Dデータビジネス:HDマップ生成過程で得られる高精度3次元点群データを、インフラ管理・事故調査・除雪支援等の多用途に展開(Viewer商品「3Dmapspocket」、Guidance商品「除雪支援システム」等)。

    2025年1月末時点で日本・北米・欧州・韓国・中東の26か国において150万km超のHDマップを整備しています。もっとも、地図データ整備等の先行投資が重く、第8期(2024年3月期)は売上高5,567百万円に対し経常損失2,490百万円と、設立以来赤字が続いている点が財務上の特徴です。同社は成長性・収益性の指標として、売上高・ライセンス型売上高に加え「調整後EBITDA」(EBITDAに営業外収益の政府補助金を加えたもの)を重要な経営指標に位置付けています。

    上場時の株主構成

    以下に、Ⅰの部の情報をもとに、上場申請時点(2025年1月末、発行済株式総数18,814,850株)の株主構成を、役員等・従業員等・外部株主の区分で整理しました。

    新株予約権による潜在株式数は2,807,800株であり、潜在株式を含めた総数は21,622,650株です。役員・従業員は発行済株式を保有しておらず、そのインセンティブはすべて新株予約権(潜在株式)によります。外部株主のうち投資事業者(VC・政府系ファンド)は発行済株式の76.77%を占めます。

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