
月を見る🐻❄️【シロクマ文芸部】しおりとゆかり
「月を見る? 今夜は満月らしいよ。綺麗なものを見るのって胎教にいいんじゃないかな?」
ゆかりは、熱々のハンバーグにナイフを入れながら、しおりに言った。肉汁がじゅわっと流れ出し、デミグラスソースの甘い香りがふわっと立ち上る。
しおりは向かいで、クリームパスタをフォークにくるくる巻いている。ソースがたっぷり絡んだパスタを一口食べて、ゆかりの話にうなづいた。
「しおりさぁ、頑張ったよね。結婚したらすぐに子供欲しいって言ってたけど、なかなかできなくてさぁ……ん~おいしい。」
「そうよ。3年治療したからね。妊娠したってわかった時は、本当に嬉しかった。今夜見るよ、月。クラシックも聞いて、赤ちゃんにも聞かせなきゃね。」
「うん、うん。いいと思う!しおりは穏やかに過ごして、安定期迎えないとね。食べて食べて。ん~たまらんって。」
「ゆかり、本当美味しそうに食べるね(笑)
まだ妊娠3カ月だからね。みんなに大事な時期だからって言われてるし、毎日気をつけてるよ。食べるものとか、精神の安定とかね。体重管理もきちんと考えてる。」
しおりは自分のお腹を軽くさすりながら、パスタをまた一口食べた。
「あのさ、しおり。私、やっぱりハンバーグ、もう一個食べていいかな? ここのお店、本当おいしいわ」
「ゆかり、今日食べるの早くない? 私、パスタまだ半分残ってるし。ハンバーグ食べて食べて。食欲旺盛なのも珍しいね。」
「なんかね、体が肉、肉、肉って言ってる(笑)。
すみません〜、単品でハンバーグ下さ〜い。」
カチャカチャ カチャカチャ。
「え? ゆかり、もうハンバーグ食べた? 早っ。そういえばさあ、ふっくらしたよね? 髪切ったせいかな?」
「わかる? 髪も切ったけどさぁ、太ったよ。
この前体重計ったけど、、、たぶん10kgくらい。
あ、デザート来たよ!うわぁ〜最高じゃん。パリっとチョコに覆われた、ふわっとチョコケーキ! っつつつ」
「本当だ!甘いチョコレートとコーヒーの香りで至福のデザートタイムだね。ん?
ゆかり?どうした?」
「つっ、いたたたっ」
「ゆかり? 痛いの? 食べ過ぎ?」
「ちょっと、ね。大丈夫。たまに張るのよ。お腹」
「え〜! 大丈夫? 本当、大丈夫?
ところで、ゆかりのお腹さぁ、だいぶ大きい気がするけど、何ヶ月だっけ?」
「あ、えっと、たぶん、……ん月。」
「え?たぶん?何?」
「り、ん、げ、つ。ハハハ」
「ハハハ、臨月かぁ•••••」