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お好み焼きに、バナナ。灼熱のジブチ。

    この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
    題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


    ジブチに着くまで、暑さをわかったつもりでいた。

    平均気温、30℃。夜間も、30℃。
    夜になっても、涼しくならない。ずっと、暑い。

    夏は、50℃になるという。
    最高気温は、70℃を越えたこともあるという。

    70℃。
    もはや、数字の意味がわからない。

    外を、歩けない。
    宿から、出られない。
    エアコンの効いた部屋で、一日中、横になっていた。

    やることが、ない。
    ただ、横になっている。
    冷たい水を買ってきても、十分もすれば、ぬるい。

    水は、安い。
    それだけが、救いだった。

    夕方になっても、暑い。
    だが、宿にいるのも、飽きた。
    外に、出た。

    暑い。
    まだじりじりと、太陽が照りつけている。
    夕方なのに。

    食堂に入った。
    エアコンが、効いている。
    ああ、助かった。

    メニューを見る。
    「ファディラ」ジブチのお好み焼き、と書いてある。
    ありがたい。

    運ばれてきたのは、確かに、お好み焼きのようなものだった。

    小麦粉の生地。
    中にひき肉が入っている。ポテトがつけあわせ。
    上には、マヨネーズがかかっている。
    まあ、お好み焼きだ。

    悪くない。
    ポテトのほくほくした食感。
    ひき肉の旨味。
    マヨネーズのコク。

    うまい。
    だが。
    何かが、載っている。
    黄色い、何か。
    バナナだ。

    お好み焼きに、バナナが載っている。
    なぜ。

    甘い。
    そして、また、お好み焼きを、ひと口。
    マヨネーズと、ひき肉と、バナナ。
    合わない。

    いや、合わないわけではない。
    だが、謎だ。
    誰が、考えたのか。
    この組み合わせ。

    お好み焼き部分は、うまい。
    バナナ部分は、謎。

    店を出た。
    まだ、暑い。

    宿に戻った。
    また、エアコンの前で、横になった。

    アフリカは一周したしもういいか
    次は、どこへ行こう。
    ぬるい水を飲みながら、ぼんやりと考えた。

    ―ああ、またひとつ、見知らぬ国で、ひとりごつ。


     
     
    異文化ライター / AI対戦会主催 / 年間マンガ500冊レビュー / SF短編小説家 / プロいく一期生 スターバックス勤務20年。ゲーム実況15年。シェアハウス10年。 ヘッダ画像はタプローム遺跡(本人撮影)。木の根が寺院を包み込む様子が神秘的。 amazonアソシエイト参加