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素焼きの器に、カトマンズの味が満ちて。

    この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
    題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


    インドから陸路でネパールに入ると、人々の顔つきがガラリと変わりどこか日本人に似ていて、ふっと心が軽くなった。
    カトマンズの街は、埃っぽく、クラクションのブーブーという音が鳴り響いているけれど、その中には、どこか懐かしい温かさがあった。

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    荷をおろしカトマンズの路地裏を歩くと、あちこちの店から、ふわ~っと湯気が立ち上っている。その香りに誘われるように、わたしはモモを食べた。

    モモとは、ネパール風ひとくち大の蒸し餃子だ。一個食べると、肉汁がじゅわっと口の中に広がり、スパイスの香りが鼻腔をくすぐる。店によってタレや味付けが微妙に異なり、それがまた面白い。しかも10個100円~200円と安い。どこの店で食べても美味しく、気がつけば、わたしはモモ巡りをしていた。

    そんなモモの旅の途中で、わたしはラッシーにも夢中になった。
    特に、ナッツやドライフルーツが入ったものがお気に入りで、朝飲むと、スッキリと気分が晴れやかになる。ある店では、素焼きの陶器でラッシーを売っていて、それがとても可愛らしい。手に持った素焼きの器は、ザラザラとした独特の感触で、唇に触れると、ひんやりと冷たかった。

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    モモとラッシーを交互に味わいながら、わたしは旅の疲れを癒していた。モモの熱気と、ラッシーの冷たさ。その対比が、この旅の混沌とした魅力と重なる。

    食も人もあたたかい街。
    モモを蒸す店の主人の、優しい笑顔。ラッシーを注いでくれた少女の、澄んだ瞳。言葉は通じなくても、美味しいものを分かち合うことで、人々の心は通じ合う。


    ―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。


     
     
    異文化ライター / AI対戦会主催 / 年間マンガ500冊レビュー / SF短編小説家 / プロいく一期生 スターバックス勤務20年。ゲーム実況15年。シェアハウス10年。 ヘッダ画像はタプローム遺跡(本人撮影)。木の根が寺院を包み込む様子が神秘的。 amazonアソシエイト参加