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古豪が若い力を得て再生する物語には、人を惹きつける魅力がある。改革なしに良いものを後世に引き継ぐことはできないからだ。

Thorevilosという畑がある。St. HelenaとHowell Mountainの間に位置しており、Abreuがこの果実を使って長く傑出したワインを作ってきた。ColginのCariadやBryant family Bettinaといった高級ワインにも果実を供給しているNapaでも指折りの銘醸畑だ。

しかし、そんな畑が、近年、数奇な運命に巻き込まれている。2019年、Ovidの経営パートナーを務めるJack Bittner氏が、Bill Harlanの紹介でAbreuからThorevilosを買い取り、名前をEcotone Vineyardと改めたのだ。

銘醸畑を改名することに大きな批判があったことも確かだが、Abreuが旧Thorevilosに隣接する畑から引き続き”Thorevilos”の名前でワインをリリースすると発表したことで、混乱に拍車がかかった。

さらに、Abreuが手がけるワインの価格が天井知らずに高騰していたこともあり、投資家が新しいワインで値段を釣り上げれば、Napaから優れた畑が忘れられる事になりかねない。好事家の間にそんな不安が広がった。

だが、その予想は良い意味で裏切られることになる。

畑の取得から程なくして、Jack Bittner氏は、禁酒法の後で初めて酒の小売り免許を取得したMartignetti家のプロジェクトであることにちなんで、001 vintnersというワインをリリースすることを発表した。時の人であるGraeme Macdonald氏を迎え、万全の布陣で臨むという。

果たして、このプロジェクトは成功するのか?手が出ない価格になるのではないか?

様々な噂が絶えない中、初めてリリースされた2019年ビンテージのワインに対する評価は曖昧なものだった。評論家からは93pts前後の点を与えられ、飲み頃を迎えるまでに時間がかかると評価されたことは、このワインの実力を測る手がかりとしては甚だ心許ないものだった。

しかし、数年を経て、プロジェクトはいよいよ準備が整ったのかもしれない。2021年のワインを飲んで、そうした印象を持った。

カシス、オリーブ、ブラックチェリー、イチジク、プルーン、カカオ、グラファイト、シダー、ヴァニラの豊かな香り。まるで上品な食材だけをゆっくりと時間をかけて煮詰めたような多層的な旨味がある一方で、重さは全く感じない。非常に長いアフターがワインの格を感じさせる。タンニンは溶け込んでおり、今飲んでも十分に楽しめるが、今後長い熟成にも耐えるだろう。

力強い果実味とタンニンを飼い慣らし、畑の魅力を鮮やかに引き出すGraeme Macdonald氏の手腕は確かだ。再生の物語と合わせれば、Napaのファンなら興奮を隠せないだろう。

米国でのインフレの進行やアルコール消費の低迷もあり、高級ワイン・セグメントは苦戦を強いられる昨今、改革による前進を目指す動きが見られるのは福音だ。

本日のワイン:
001 Vintners Ecotone Vineyard Cabernet Sauvignon 2021
95+pts
https://www.001vintners.com/

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