
夏が終わり、秋に向かい始める前に、盆のワインを振り返っておきたい。
帰省先での会食に焼肉屋を使うようになってから、地方の持ち込み料が大変お値打ちなことに味をしめている。家族の舌を楽しませるためという名目で、良いワインを持参するようになった。
カジュアルな店なので、勿論、気の利いたグラスなどない。ワインオープナーも持参する。そんな状況でも、良いワインは美味いことを再確認した(当たり前だが)。
Kinsman Eadesの記事については過去にも投稿してきたが、今やNapaを代表する生産者の一人と言って良い。
ファースト・ビンテージの2016年以来、新しい果実の供給源を拡大しながら高い評価を得てきたが、最初のつまずきと言って良いのが2022年だろう。
2022年は9月に急激な気温の上昇があったため、赤ワインの生産者にとっては難しい年になったと言われる。特に、Napaを中心に例年に比べると評価が厳しい生産者が見受けられる。
Kinsman Eadesもそうした例外に漏れない。
カリフォルニアは暖かい産地だと誤解されている節もあるが、実際は寒流の影響で涼しい風と霧が海側からやってくるため、寒暖差が大きい産地というべきだろう。これがNapa Valleyのワインにも果実味に負けない酸をもたらす原因の一つになっていると思う。
夏の急激な気温上昇を経験した2022年は、果実の成熟が進んだことで糖度の上昇と酸度の低下があったという。こうしたことから、2022年のカリフォルニア産の赤ワインは、「早くから楽しめる」と言えば聞こえは良いが、作品としてはやや格が落ちる年になっているとも言える。
そんな難しい年でこそ生産者の技術が問われると言われればそれまでだが、Kinsman Eades Käännös 2022を飲んで、やはり厳しい年だったんだなという印象を深めた。
黒系果実を中心にドライイチジク、オリーブ、スミレ、グラファイト、若干のヴァニラが香る見事なワインに違いはないが、やはりどこか格のようなものが損なわれている気がする。酸が以前のビンテージほど強くないからだろう。かといって、ワインとしてバランスが崩れている訳ではない。会心のできとは言えないが、苦心の作と言ったところだろう。
ワインは年毎に味わいのバラつきが大きいアルコール飲料だと思っている。日本酒やビール、ウィスキーやリキュールにしても、そこまでではないだろう。しかし、バラつきがあるということは、「なぜそうした振り幅があるのか」と、好事家の好奇心を刺激するところもある。
生産者が意図してビンテージ毎にワインの味わいに差を作っている訳ではないが、そうしたことさえも酒の肴にして楽しんでしまうことを考えると、愛好家というものは実に度し難い生き物だと思う。
本日のワイン:
Kinsman Eades Käännös 2022
93+pts
https://www.kinsmaneades.com
