
「それ、介護保険でできますか?〜相談から始まる対話が大切!〜」
介護のプロに頼れること・頼れないこと
介護保険でできること・できないこと、知ってますか?
介護の現場でよく聞かれる質問があります。
「これって、介護保険で頼めるんですか?」
たとえば…
掃除のついでに「ベランダの窓も拭いてくれませんか?」
デイサービスで「本人の好きなメニューを特別に出せませんか?」
訪問介護のついでに「ついでに孫のお弁当も作ってもらえませんか?」
こうしたお願い、気持ちはとてもよく分かります。
でも残念ながら、介護保険ではできることと、できないことがしっかり線引きされています。
制度の基本:「自立支援」がキーワード
介護保険の目的は、単なる「お手伝い」ではありません。
国が定めた正式な目的は、次のとおり。
「高齢者ができる限り自立して、地域で暮らせるよう支援すること」
つまり、「全部やってあげる」ではなく、「できる力を活かす」のが基本方針なんです。
そのため、
本人の生活動作を助けること(入浴・排泄・食事・移動など)
→ 保険OK
家族の家事や、本人の趣味的な内容、暮らしの“快適さ”に関わること
保険NG(=自費)
といった切り分けになります。
※自費=保険外サービス(全額自己負担)
とはいえ、「じゃあできません」で終わらせるのは冷たいですよね。
私はこう思います。「制度を守ること」と「心を尽くすこと」は別物
正直に言います。
介護福祉士として働き始めた頃、制度のルールにぶつかるたび、心が痛みました。
「そこまで固くなくても…」
「喜んでもらえることなのに…」
でも、ルールを守ることには理由がある。
そのうえで、どうやって“想い”を届けるか?
それが、プロとして一番問われていることだと今は思います。
できないことはできない。
でも、できる方法を一緒に探すことはできる。
その姿勢だけは、いつも忘れないようにしています。
あの日、「カーテン洗って」と言われて
ある日、利用者さんから「このカーテン、気になっててね…」とぽつり。
訪問介護では、カーテン洗濯は保険適用外。
でも、私が帰ったあとに一人で取り外して落ちてしまったら?
その姿が目に浮かんで、胸がチクリと痛みました。
その日はできない旨を説明して、帰り際にそっとケアマネさんに電話。
「事情を伝えて、別途自費のサポート頼めるか探してみませんか?」
結局、近隣のシルバー人材センターにお願いして、数日後に対応完了。
おばあちゃんの笑顔を見たとき、なんだか涙が出そうになったのを覚えています。
さいごに:頼れる・頼れないではなく、
「どう一緒に考えるか」
介護保険は万能じゃありません。
けれど、「制度だから無理」と切ってしまうのも、寂しい。
“何ができるか”を一緒に考える。
“それが無理でも、代わりに何ができるか”を探す。
それが、私たち介護職の「腕の見せどころ」だと思うのです。
頼れること、頼れないこと。
それは、線引きじゃなくて、「相談から始まる対話」だと、私は信じています。
次回は、
「介護と仕事、両立できる?』をテーマにお届けします。
働きながら介護をするすべての人へ、少しでも心が軽くなるヒントを。