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🤱あなたの為を思って【スチームアイロン】 1023

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    母は相変わらず、会場(信仰している宗教団体の集会場の通称)の教えを盲信。
    「水辺に行くと寂しい感情が出てくるからダメ」「山に登ると後は下り調子になるからダメ」「離島は島流しの因縁があるからダメ」「巻き寿司はいいけど握り寿司はダメ」「魚より肉を食べる方が積極的になれる」「蕎麦よりうどんの方がいい」……


    高校生の私からすると「それって教祖の好みなんじゃないの?」としか思えない。
    「履かなくなった靴の処分は、ゴミとして捨てず、箱詰め•包装•リボンを掛けて何処かに置いておく。誰かに持ち帰られるのがいい」に至っては、不審物だし、不法投棄だし、迷惑でしかない。
    母を含め大真面目に信じて実践する信者には呆れを通り越して滑稽だと感じていた。


    私が母から認めてもらう唯一の方法は会場へ通うことだったし、会場内では母から離れて、高校生•大学生•若い社会人たちと楽しく過ごしていればよかった。
    寄り道して遅くに帰るのは楽しかった。
    会場でできた友人が相手なので、母から煩く咎められることもなかった。


    会場に行くのを嫌がらなくなった私を、母は「熱心になった」と思っていたようだ。
    実際には、学校外にできた同年代や年上の友人たちとの交流が楽しかっただけ。
    疑似恋愛のような気持ちは芽生えたけれど、信仰心は芽生えなかった。


    体育の水泳の授業は、一度でも見学すると補習を受けなければならなかった。
    JKにとっては一大事。
    学校帰りに買った生理用タンポンが母に見つかり、こっ酷く怒られた。
    「結婚もしてないのにタンポンなんか使ったらダメでしょう‼︎」って。
    結婚と生理用タンポンって何の関係があるの?


    母が私に家事を強いるのは変わらない。
    2歳下の弟は母をピンポイントで喜ばせるのに長けていて、そうそう強制されることはない。
    5歳下の妹は「○○ちゃんは小さいから」「甘えただから」「我儘だから」「(妹が)怒ったら怖い(なかなかおさまらない)から」と免除されるのに。


    妹のことを「小さいから」と母は言うけれど、私は小学生の頃から、食事作りを含め家事をして当たり前だった。
    5歳の年齢差は何年経っても縮まるわけがないのに、いつまで経っても「小さいから」。
    こんな妹を好きになれるはずもなく、実家を出るまで妹とは仲良くできなかった。


    母が買い換えたばかりのアイロンは、スチームが出ないドライタイプだった。
    霧吹きに入れた水を、衣類にいちいちシューッと吹きかけ湿らせてからアイロンをかける(あてる)。
    シューッが少ないと湿らないし、多すぎるとびしょびしょに濡れてしまう。


    食後の洗い物を終え、嫌々アイロンかけをしていた。
    スチームアイロンなら霧吹きでスプレーしなくてすむのに。
    スチームアイロンならスチーム量を調節できるのに。
    スチームアイロンならシワが伸びやすいのに。


    「お母さん、どうしてスチームアイロンを買わなかったの?」
    「霧吹きなんかしなくてもシワがよく伸びるのに」
    「次に買うときはスチームアイロンにしてね」。


    虫の居所が悪かったのだろうか?
    その前に険悪になるようなことがあったのだろうか?
    突然ビクンとするほどの大声を母が出した。
    「勝手なことをいいなさんなっ‼︎
    子どものくせにっ‼︎
    この家の主婦は私ですよっ‼︎」


    お母さんは会場で、人と和することを学んでるんでしょ?
    いくら私を気に入らないとはいえ、「人」の中に私は入らないの?
    主婦じゃないけど家事を押し付けられてるよ?
    今、アイロンをかけてるのはお母さんじゃなくて私だよ?
    子どもは褒めて育てるって教わってるんじゃないの?


    弟•妹はお手伝いをしなくても許されて、私は洗い物もしてアイロンもかけているのに怒られるなんて理不尽。
    アイロンをかける時間で、英語の予習くらいはできたのに。
    時間割りくらい合わせられたのに。
    どうして私にだけそんな恐ろしい表情を見せるの?


    幼い頃から母を恐れていた私にとっては、高校生になっても、こんなつまらない叱責でも萎縮するには充分。
    言い返しても「口答えしなさんなっ‼︎」と更に怒られるだけ。


    ドラマなら、アイロンをバンッと置いて外に飛び出して行く場面。
    実際の私は「般若の面(自宅にレプリカがあった)にソックリ」と思いながら俯いてアイロンかけを続けた。
    どうして母を怒らせてしまったんだろう。
    後悔の念でいっぱいになった。





    久しぶりに続きを書いてみた。
    前回ほのめかしていたのに、進路の話まで行きつかなかった。(1/23)

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