
待ってない #シロクマ文芸部
(約300字)
「待つ時間って、長く感じるよねぇ」
頰杖をつきながら、ネネちゃんの横顔を眺めた
もう小一時間は、同じ体勢を保っている。
ネネちゃんは大きな瞳を見開いて、両拳をギュッと握りしめている
縁側の床の滑らかさは心地よくて、日差しが陰った秋の午後には『居眠り』さえ似合う
「ねぇ、何をそんなに熱心に見てるの」
アキアカネは低めの飛行を続けるが、目の前の庭木には止まらない
「しっ。トンボがもうすぐ止まるから。クルクルして、目を回すから静かに」
ネネちゃんが人差し指を口の前にたてると、秋の訪れに気がついた
待ってなどいなかった。トンボが目を回す楽しみは一年に何度もこない
遊びに、待ち時間の退屈などないのだ

大阪府環境農林水産総合研究所HPより
↓ 下記の企画に参加します
締切は9/23(水)23:59。作品には #シロクマ文芸部 を