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丸刈りーだ|アマノ文筆クラブ作品

    「マルゲリータをくれ。グラスの縁のソルトはきつめでな」

    俺は場末のバーの片隅で、乾いた喉を鳴らした。
    裏社会の泥水を啜り慣れた俺の五臓六腑には、あの気取ったカクテルが必要だった。

    バーテンダーは何も言わず、ただ不敵に微笑んだ。
    彼が懐から鈍く光る銀色のマシン――凶悪なバリカンを抜くまでは、
    それが極上の夜になるはずだった。

    「お待ちどうさま。何ミリにします?」

    「……3ミリだ。プロなら言わせるな」

    冷たい金属が俺のうなじを這う。

    「うちの特製です。『丸刈りーた』」

    凄まじい駆動音が静寂を切り裂き、俺の誇り高き髪が、容赦なく床へ舞い散っていく。
    抵抗する気力さえ、その鮮やかな手並みに奪われた。

    三分後、鏡の中には、青々とした頭皮を晒した見知らぬ男が佇んでいた。

    「……悪くない。頭が軽くなった分、次のヤマへのフットワークも軽くなりそうだ」

    「次は『五分刈りーだ』でお待ちしております」

    俺は千円札を叩きつけ、夜の街へと消えた。吹き抜ける夜風が、いつもより容赦なく、むき出しの頭皮に染みた。

    (了)

    こちらに参加させていただきました。

     
     

    waki

     
     
    50代。 新聞販売店勤務を経て、体調不良から在宅ワークを模索中。 AIにノセられ、webライターや創作に挑戦しています。 ChatGPTと相談しながら、人生を少し立て直し中。 このnoteでは、50代の日常、AIとの付き合い方、働き方の不安や挑戦を、静かに書いています。

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