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③変身する菩薩たちー仏像を知ると寺院めぐりが楽しくなる

    菩薩とは、サンスクリット語のボーディ・サットヴァbodhisattvaの音から菩提薩埵ぼだいさったと直訳され、菩提の「菩」は「悟り」、薩埵の「薩」は「衆生しゅうじょう」を意味します。

    ですから、自ら悟りを求めながら人々を救う役割を持つという事です。

    菩薩は業務雑多の中間管理職⁉

    自分もまだ修行中なのに人々も助けるなんて、会社内で言えば優秀な中間管理職といったところでしょうか。

    これは大変!
    自分自身もまだ未熟なのに、出世を目指しながら部下を補佐しなければならないというツライ立場なのです。

    そもそも「菩薩」は仏の種類を指す「固有名詞」ではなく、上記のように「悟りを求めながら人々の役に立つ」という生き方●●●の事を指し、言いかえれば、私たちのような普通の人間でも、ちょっとした心構え●●●で「菩薩」になれるわけです。
    自己中心でもNG。
    他人の犠牲になるのもNG。
    all happyに自分も他者も同時に幸せにする生き方そのものが菩薩なのです。

    その菩薩を知り、その生き方●●●を知ることで、私たち人間も幸せに生きるための哲学を学ぶことができそうです。

    モデルは悟りを開く前の釈迦の王子姿

    外見上の装飾品を身に着けて豪華な装いなのも、如来のように悟りを開いてはいないためで、まだ煩悩があった釈迦の王子時代の姿だからと言われています。

    前回の「如来」は釈迦が悟りを開いた後●の姿なら、
    「菩薩」は悟りを開く前●の姿だとされ、どちらもモデルは同じ釈迦なのです。

    自分にもまだ煩悩がありながら救済に尽くし、時には姿や救済方法も臨機応変に変化して寄り添ってくれるという、むしろ「如来」よりも私たち人間に近いところで見守ってくれている存在だと言えます。

    時と場合によって様々に変化へんげする菩薩は、私たちの悩みや願い事に応じて、その数の分だけ多種多様に存在しているのです。


    観音菩薩は様々な姿に変化へんげする

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    如来と同じく菩薩も大乗仏教の発展とともに、多くの人々の救済を目的として多種多様な菩薩が生まれています。
    とても紹介しきれないほどの数ですので、ここでは代表的なものをピックアップして記載したいと思います。

    いわゆる「観音さま」と呼ばれる仏像は全国の至る所に存在し、「観音菩薩」と一言で言っても実は総称名で、時と場所に応じて様々な姿に变化へんげできる普門示現ふもんじげんという能力を持っています。

    基本形の観音菩薩を「聖観音しょうかんのん」と言い、最も人に近い姿をしていて、そこから数々の姿に枝分かれしていますが、今回は生まれ変わるために通る六道輪廻ろくどうりんねに現れる六観音について触れます。

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    それぞれの位置はランクではなく、
    六道の各界で最も相応しい姿に変わって
    効果的に人々の救済に当たっているという事です。

    ❁[天道てんどう]如意輪観音にょいりんかんのん

    天道てんどうでは如意輪観音へ変化します。

    〈見た目でわかる特徴〉
    ・一つの顔に腕は6本(一面六臂いちめんろっぴ)
    ・宝珠と法輪を持っている
    ・座っている(輪王座りんのうざまたは半跏倚坐はんかふざ)
    ・思惟手しゆいしゅ

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    名前の如意輪にょいりんとは、
    全ての願いを叶える如意宝珠にょいほうじゅ、
    煩悩を消す武具の一つ法輪ほうりん、
    という2つの単語が合体したもので、この菩薩にとってこれらは欠かせない必須アイテムです。
    基本には片膝を立てて座った6本の手の坐像であり、立像はありません。

    ❁[人道じんどう]准胝観音じゅんでいかんのんと不空羂索観音ふくうけんさくかんのん

    天道てんどうでは准胝観音じゅんでいかんのんまたは不空羂索観音ふくうけんさくかんのんです。

    〈見た目でわかる特徴〉
    共通点
    ・額に第3の目がある

    相違点
    ・不空羂索
    八臂・中央の印相は主に合掌か与願印よがんいん・縄を持つ
    「羂索」とは縄の事で、救済するための必須アイテム
    ・准胝
    十八臂・中央の印相は説法印
    千手観音との大きな違いは 頭上に顔がない。

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    天道てんどうでの救済は、准胝観音じゅんでいかんのんとして当たりますが、密教系では准胝観音の代わりに不空羂索観音を加えたり、宗派によってこれら2観音とも加えて七観音とする場合もあります。

    ❁[修羅道しゅらどう]十一面観音

    ここでは十一面観音として救済します。

    〈見た目でわかる特徴〉
    ・頭上に11の表情豊かな顔
    ・2臂
    ・イラストは坐像だが立像が多い
    ・印相は「中品中生印」か「与願印」
    ・蓮華や水瓶を持つこともある。

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    その名の通り、頭上には11もの顔を持ち、あらゆる方向を見て人々の苦しみに合わせて仏道へと導いて救うため、様々な表情を持っています。
    瞋怒面しんぬめんー怒り
    狗牙上出面くげじょうしゅつめんー讃嘆(口に牙)
    菩薩面ー穏やかな無表情
    大笑面ー悪行を笑い飛ばす

    ❁[畜生道ちくしょうどう]馬頭観音ばとうかんのん

    畜生道では馬頭観音として救います。

    〈見た目でわかる特徴〉
    ・頭上中央に馬
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    印相は馬口印まこういん
    ・額に第3の目
    ・炎髪えんぱつ
    (逆立った髪)

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    馬の旺盛な食欲で、多くの人々の煩悩を食べ尽くします。
    他の観音様は穏やかな表情なのに怒った顔(憤怒相ふんぬそう)で、手には剣や斧などの武器を持ち「三面八臂」であることが多いです。

    ❁[餓鬼道がきどう]千手観音せんじゅかんのん

    ここでは千手観音として救済します。

    〈見た目でわかる特徴〉
    ・とにかく手が多い
    ・全アイテムを持つ
    ・頭上に11の顔

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    千手観音はその名の通り千本の手を持ち、それぞれの掌に眼があり、あらゆる人々をもれなく救済することを表しています。
    胸の前で合掌した2本以外は戟げき・鉤かぎ・剣・瓶など、あらゆる人々の世界を救済するためのアイテムを持っているので、他の仏さまの得意技を網羅した万能タイプですね。

    千手とありますが、実際は省略されて42本の手11の顔を持つ「十一面四十二臂ひ」であることが一般的で、先日訪れた「葛井寺の千手観音」はかなり本気の唯一無二の物でした。

    ❁「聖観音しょうかんのん」ー地獄道じごくどう
    地獄道では聖観音として衆生を救済します。

    〈見た目でわかる特徴〉
    ・人間と同じ姿(一面二臂)
    ・「与願印」か「合掌」
    ・蓮華か水瓶を持つ

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    聖観音は観音菩薩の基本形で、ほぼ人に近い姿であり、1つの顔と2本の手の「一面二臂いちめんにひ」。
    さらには左手に蓮華や水瓶すいびょうを持っていることが多い。
    ちなみに私が好きな法隆寺の「百済観音」は聖観音で左手に水瓶すいびょうを持っています。

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    出典:「百済観音 法隆寺」
    現地で購入した本

    ただ、聖観音の姿であっても、阿弥陀三尊の脇侍わきじ/きょうじの場合、通常は聖観音ではなく観音菩薩像とよばれています。


    時と場所、相手により臨機応変に変化する特性は、全ての人々をもれなく救済しようとする限りなく広くて深い慈悲心があるからこそ生まれたものですが、逆に衆生による無数の煩悩が作り上げた「希望の能力」だと言えるのです。

    こうやって一堂に並べてみると、やっぱり最強なのは「千手観音」ですよね。
    弱点が見当たらず、隙がなさ過ぎて負ける気がしません。
    いっそのこと六道全てにおいてこの姿で戦えば楽勝のはずなのですが、やっぱり能力が高いぶん、エネルギー消費がハンパないのかも。
    とういう事は、千手観音の唯一の弱点は「スタミナ」なのかもしれないなと、考えなくても良い所で納得しました。


    <<<②如来は真理の極め人



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    ・鹿鳴文庫(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
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    ・otayori

    【引用・参考】
    ・仏像入門ドットコム
    ・ホトカミ
    ・五島八十八カ所札所巡り
    ・古寺行こう(4) 興福寺
    ・浄土宗大辞典


    【仏像を知ると寺院めぐりが楽しくなる】
    ①仏のざっくり知識
    ②如来は真理の極め人


     
     
    エッセイスト (主に読書、歴史に関して書いています。 1961年生まれ大阪府出身。読書好き。歴史好き。ハンドメイド好き。妄想好き。 著書「レキジョークル奥の枝道」シリーズ7冊目をただいま執筆中。<https://amzn.to/3vgIGz9>

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