メインコンテンツへスキップ
見出し画像

春日大社・萬葉雅楽会~東大寺とその近傍をめぐる⑰

    4月から始まったこのシリーズも、はや17回となりました。
    少なくとも2週間に1回は奈良へと足を運んでいることになります。
    先週も正倉院展へ行ったばかりなのに、また今週も早々と訪問したのは、春日大社での舞楽鑑賞のためです。

    「舞楽」と一口に言っても、過去に鑑賞した四天王寺や住吉大社は「天王寺楽所がくそ」という団体によるものでしたが、春日大社は「南都楽所がくそ」であり、まったく別の団体による催しなのです。

    南都楽所の舞楽は鑑賞したことがなかったので、それらの違いについて以前から気になっていたこともあり、絶好の機会に恵まれて楽しみに訪問したのです。

    舞楽鑑賞と言えば、共に鑑賞する友は岡埜(偏光)さん。
    今回もやはり、ありがたい事に同行してくれました。
    もはや舞楽鑑賞では欠かせないお馴染みのコンビとして定着しています(笑)この日もマニアックな変態同志による超マイナーな変態紀行となりました。

    また、ならまちの寺院で地蔵大佛も鑑賞し、以前観た東大寺のものと比べるのもの一興です。
    この日は次の2点を比較する有意義な紀行となりました。
    ・違う団体による舞楽比べ
    ・地蔵大佛比べ


    ならまち「福智院」

    画像

    春日大社の萬葉まんよう雅楽会は13時からなのですが、せっかくなので朝から現地へと出向き、岡埜さんおススメの福智院を訪問しました。

    「丈六じょうろくの地蔵菩薩坐像があって、その大きさに驚くよ!」

    確かに丈六(約5m)のお地蔵様には驚きますよ。
    私も以前、同じ大きさの東大寺念仏堂の地蔵菩薩を見た時はビクつきましたから。
    お地蔵様は一番身近な仏様で、それこそ昔は村の道沿いや辻の至る所にあり、いずれも小さなカワイイお姿なのが一般的でしょう。
    それが全長5mもあれば驚いてしまうのも無理はありません。
    さて、東大寺との違いはどのような点だろう??

    画像


    ご本尊は重文・地蔵大佛

    座している丈六仏ですが、それでも像高2.7m。
    台座から光背を含めると6.7mという堂々とした大きさです。
    座禅の時のような結跏趺坐けっかふざではなくリラックスした安坐で、右手に錫杖、左手に宝珠を持っています。
    …とここまでは東大寺念仏堂と同じ…

    しかし台座は蓮華座ではなく、飛鳥時代に流行した古風な裳懸座もかけざと言われる仏像の衣の裾(裳)が台座に垂れ下がっているもので、法隆寺の釈迦三尊像と同じ様式です。

    ~という事は、いったいいつ建立なのか?~
    調べてみると東大寺は嘉禎かてい3年(1237)、福智院は建仁3年(1203)で、こちらの方が34年古いことが判りました。
    いずれも鎌倉時代の作ですが、こちらのはわざと古式の台座にしたようです。

    圧巻なのは、光背

    画像
    観光リーフレット 表紙

    約5mいっぱいにみっしりと化仏で埋め尽くされ、圧倒されるほどの迫力です。
    観光リーフレットによると、これは大型の舟形挙身光背というもので、仏像の全身を包む「挙身光きょしんこう」に見立てた縦型の舟形なのです。
    頭上には「不空成就ふくうじょうじゅ如来=釈迦」、左右3体ずつの「六地蔵」、最下部左右には地獄の裁判官「冥官みょうかん像」が表現されていました。

    この様子は経本には説かれているものの、その世界観を表すものとしては現存例は少なく、こちらのものが唯一だそうです。

    秘仏・宝冠十一面観音立像

    こちらの秘仏がちょうど特別公開期間でした。

    菩薩が宝冠を付けてるのはありますが、十一面菩薩と宝冠の組み合わせは珍しい。
    というのも宝冠があると、せっかくの頭上中央の化仏の表情が判りにくいからです。
    しかし、宝冠などの備品は失われてしまうケースも多いのに、よくぞ遺されたものだと感心します。

    わずか1mほどの小さな仏さまですが、やや頭でっかちのプロポーションでありながらも、凛としたお姿でした。

    明治の廃仏毀釈はいぶつきしゃくで仏像が移されたり、私物化したりで、巡り巡って最終的に当寺に収められたそう。
    そのため福智院では「縁あって迎えた客仏きゃくぶつ」として大切に護られています。

    画像
    御朱印もなかなかの迫力!


    ランチは念願の「菩薩咖喱ぼさつかれー」で

    画像
    画像
    昭和の古家をとってもオシャレに改装。

    以前から目を付けていながら、行きそびれていた菩薩咖喱にやっといくことができました!

    画像

    奈良市初のダルバート専門店ということですが、ダルバートとは、ダル(daal=豆のカレー)とバート(bhaat=米飯)の合成語で、それに野菜のおかず、漬物などがセットになった食事のことで、ネパールの代表的な家庭料理で国民食だとのこと。
    日本で言うならご飯とみそ汁と漬物でしょうか?

    スパイシーでありながら、素材の出汁もしっかり効いて、とっても美味しかった!

    ネコと和解せよ

    玄関にあった「ネコと和解せよ」にクスッとなったのですが、私には意味がわからず、岡埜さんによると、一時期ネット上で流行ったキリスト教の「神と和解せよ」のパロディなのだと知りました。

    そういえば「ネコ」の字を「神」に近付けている(笑)
    さすが、私より若いだけあってよく知ってる!


    春日大社・萬葉雅楽会

    画像

    さて、いよいよこの日のメイン、春日大社の舞楽鑑賞です。
    会場は萬葉植物園の万葉池の浮舞台。
    …のはずだったのですが、なんと「感謝共生の館」へと変更になっていました。
    完全に屋内での開催と知り、いきなりテンションはダダ下がりです。

    ややこしい天気に翻弄されて

    そういえば、晴れ、曇り、雨のややこしい天気ではあったので、大事を取って変更になったようです。
    確かに衣装や小道具を濡らすわけにはいけませんよね。

    画像
    本当ならこの舞台で開催されるはずだった。
    さぞかし美しかったはず。

    会場の「感謝共生の館」は萬葉植物園の東に位置するので、いったん入場して東門から出ないと行けません。
    天候がややこしいおかげで、こちらも出たり入ったりややこしい動きをしなければなりませんでした。

    初の南都楽所なんとがくそ

    室内での鑑賞は見づらいものでした。
    ただ、四天王寺の時と違って、広くて見通しも良く、しかも椅子が用意されていたので十分に環境は整っていました。

    私たちは比較的見やすい後ろの壁際に立って鑑賞したのですが、それでも撮影するには観客の方々の頭がどうしても入ってしまい、演者の足元が隠れて全容を収める事はできません。

    画像

    <舞楽の演目>

    1,振鉾えんぶ
    舞楽のはじめに必ず奏する曲。国土安隠あんのん、雅音がおん成就を祈り舞台を浄きよめる。

    2,打毬楽だきゅうらく=左舞さまい(中国系)
    4人が右手に五色の毬杖ぎっちょう(クリケットのバットのようなもの)持って木製の五色の毬子たまを打つ。
    かつては競馬や相撲の会、五月節会さつきのせちえなどで舞われた。

    3.八仙はっせん=右舞うまい(朝鮮系)
    元は8人の舞だったのでこの名が付いた。
    崑崙八仙ころばせともいい、中国崑崙山こんろんさんの仙人が帝の徳を慕った舞。
    鶴のような緑の面の口元に鈴がぶら下がり、その音が鶴の鳴き声に似ている事から別名・鶴舞ともいう。

    4,抜頭ばとう
    恐ろしい面を付けてバチを持っての一人舞。
    由来は次の諸説がある。
    ・猛獣に父を殺された子の仇討ち
    ・嫉妬のあまり鬼になった唐の后妃
    ・インドの毒蛇と戦う勇壮な姿

    天王寺楽所がくそと比べて…

    ~全体的に舞が優しくて柔らかい~
    漠然とした簡単な感想ですが、そう思いました。

    特に、打毬楽だきゅうらくは全員が若い女性で、雰囲気もいっそう華やいだ優雅なものでした。
    舞楽で女性の演者は初めて見たので、それだけでも天王寺楽所とは大きく違う上、男性の舞も比較的激しさはなく静かな舞でした。

    そんなに大差はないだろうと思っていましたが、団体によって大きく違うものだと認識できたのは、とても貴重な発見だったと思います。

    全体の流れを収めたたった1分のショート動画です。
    よろしかったご覧下さいね。↓↓↓


    この日の光景

    画像
    福智院の前庭。
    やっぱり石仏だらけ。
    ならまちの寺院はもれなく石仏の宝庫?


    画像
    萬葉植物園の様子
    来年は藤の季節に、混雑覚悟で来てみようか。


    画像
    木々の間から望む荒池園地あらいけえんち
    太陽のスポットライトを浴びて美しい。



    この日、岡埜さんとの共通項をまた一つ発見!
    大河ドラマでは「平清盛」がイチオシだという。
    二人でこのドラマの良さと松山ケンイチの魅力を大いに語り合いました。


    画像
    画像クリックでGooglemapへ


     
     
    エッセイスト (主に読書、歴史に関して書いています。 1961年生まれ大阪府出身。読書好き。歴史好き。ハンドメイド好き。妄想好き。 著書「レキジョークル奥の枝道」シリーズ7冊目をただいま執筆中。<https://amzn.to/3vgIGz9>

    あなたへのおすすめ