
責任転嫁は100も承知。売られた雪だるま⛄️
あの日、私はマネキンに負けた。
試着室の鏡に映る自分と、店頭に立つマネキンの着こなしとの間には、絶望的な差があった。同じスキーウェアのはずなのに、片や北欧の妖精、片や着ぶくれた雪だるま。「これ、本当に同じ商品?」と二度見してしまうレベルである。
すっかり凹んでフロアをトボトボ歩いていた私に、天使のような笑顔で声をかけてきたのが、エステの勧誘スタッフだった。今思えば、あの瞬間の私は「隙だらけの獲物」以外の何者でもなかっただろう。
『エステに興味はありますか?』
簡単なアンケートだという。
すぐ近くの個室に通され、気づけば天使スタッフのビフォー・アフター写真つきで、ここまで綺麗になれた話を聞いていた。
そして『必ず綺麗になれる』『今回だけの特別モニター価格だ』という言葉に、あれよあれよと言う間にそれまでの人生最高額の初ローンを組んでいたのだ。
今思えばかなり怪しい話である。
しかし当時は不思議なことに不安はなく、それよりもエステ終了後には、自分もあのマネキンのようになっていると信じて浮かれる気持ちの方が強かった。
自宅で使うための大量の化粧品一式を抱えて帰る足取りは 側から見ても、相当軽かっただろう。
その後、施術に通い始めると、まず出てきたのは、薬草なのか雑草なのか判別のつかない香りのお茶。何しろ初めてのエステだ。飲めと言われたら飲むしかない。匂いはきついが、息を止めてグッと飲み干す。
そして次は、顔に始まり全身に塗られる泥というより「これ本当に地面から掘ってきたのでは」と疑いたくなるパック。
極めつけは、銀紙を奥歯で噛んだ時のような、ピリピリ・ビリビリとした謎の電気(?)。顔がギリギリと歪に引き攣れる。
あれは本当に美容効果があったのか、それとも単に私の体力を電気代わりに使われていたのか、今もって謎である。
通うたびに勧められる新たな化粧品、美髪セット、痩身グッズ、何かのサプリ…この辺りで『ちょっとおかしい』と思い始めていたので、追加購入はしなかったが、少しでも効果を感じていたら、新たなローンを組んでいたのかもしれない。
結局、高いお金を払って手にした回数券は、半分も使わないうちに足が遠のいた。勿体無いなぁ…と思いながら月日は流れ、気づけば有効期限という名の墓場へ静かに埋葬されていた。
ローンは残り、私は雪だるまのままだった。
後になって、あの勧誘手法はかなりグレーなものだったらしいと知った。普段の私なら、怪しい誘いには絶対についていかないタイプのはずなのに。あの日に限って、なぜあんなにあっさり心を開いてしまったのか。
原因はきっと、あのマネキンだ。
あの完璧なスタイルで私を凹ませ、隙だらけにし、まんまと勧誘スタッフに引き渡してしまったんだ。きっとそうだ。
…なんて、責任転嫁は100も承知なんだけど
それ以来、『絶対効果あり』と『特別モニター価格』は信じないことにしている。
#チャレがや企画さん
#エステ
#みくまゆたん会さん
#コッシーさん
本田すのうさんの投稿を見て、
バリバリの初心者ですが
初投稿させていただきました。
よろしくお願いします🙇♀️