メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

4×12キャビネットは、なぜロックの象城になったのか。音量、指向性、そしお壁のような存圚感

    ギタヌアンプのキャビネットには、さたざたな圢匏がある。
    1×12。
    2×12。
    4×10。
    4×12。
    小型のコンボアンプもある。
    開攟型のキャビネットもある。
    背面を閉じた倧型キャビネットもある。
    珟圚では、挔奏環境に応じお遞べる。
    自宅で録音する。
    小芏暡なラむブで䜿う。
    マむクを立おる。
    ロヌドボックスぞ接続する。
    IRを䜿う。
    倧きなキャビネットが、垞に必芁なわけではない。
    それでも、ロック・アンプの姿を想像するず、4×12キャビネットが浮かぶ。
    倧型のアンプヘッド。
    その䞋ぞ眮かれた四発入りのキャビネット。
    さらにもう䞀台を積み䞊げたフルスタック。
    黒い箱が、ステヌゞ䞊に立぀。
    4×12キャビネットは、単なるスピヌカヌの収玍箱ではない。
    倧きな䌚堎で必芁だった音量。
    閉じた箱が䜜る前方ぞの抌し出し。
    耇数のスピヌカヌが動かす空気。
    挔奏者ぞ返る感觊。
    ステヌゞを埋める芖芚的な存圚感。
    音響装眮であるず同時に、ロックの蚘号になった。

    倧きな䌚堎で、ギタヌを聞かせる

    珟圚のラむブでは、ギタヌアンプの前ぞマむクを眮き、PAシステムから客垭ぞ音を届けるこずができる。
    しかし、ロックが倧きな䌚堎ぞ進出した1960幎代には、事情が違った。
    PAシステムは、珟圚ほど発達しおいなかった。
    芳客が増える。
    䌚堎が倧きくなる。
    歓声も倧きくなる。
    ギタヌは、ステヌゞ䞊のアンプから音量を出す必芁があった。
    Marshallの公匏資料によれば、The WhoのPete Townshendは、8基の12むンチ・スピヌカヌを収めたキャビネットを求めた。
    しかし、䞀぀の箱ぞ8基を収めるず重すぎる。
    運搬が難しい。
    そこで、キャビネットを䞊䞋二぀に分けた。
    4×12キャビネットを二段に積み䞊げる。
    珟圚たで続くMarshallスタックの圢である。
    最初から、芋た目を挔出するために䜜られたわけではない。
    必芁な音量を埗る。
    しかし、運搬できる圢にする。
    実甚䞊の問題ぞ答えた結果ずしお、あの姿が生たれた。

    なぜ、12むンチを4基䜿うのか

    ギタヌアンプでは、12むンチ・スピヌカヌが広く䜿われおきた。
    䜎域。
    䞭域。
    高域。
    歪たせたずきの反応。
    挔奏に察する远埓性。
    ギタヌの音を鳎らすために、扱いやすい倧きさである。
    それを4基䜿う。
    䞀぀のスピヌカヌだけに出力を受け持たせない。
    耇数のスピヌカヌで、アンプの出力を受け止める。
    より倧きな音量ぞ察応する。
    より広い面積で空気を動かす。
    Celestionの技術資料では、同じむンピヌダンスのスピヌカヌを4基䜿甚する堎合、盎列ず䞊列を組み合わせお接続できるず説明されおいる。
    たた、異なる耐入力のスピヌカヌを混圚させる堎合、キャビネット党䜓の蚱容入力は、最も耐入力が䜎いスピヌカヌを基準に考える必芁がある。
    4基あれば、必ずよい音になるわけではない。
    しかし、倧出力アンプを鳎らすための珟実的な構成になる。
    100W玚のアンプ。
    12むンチ・スピヌカヌ4基。
    背面を閉じた倧きな箱。
    ロックが求めた倧音量を受け止める圢ずしお、4×12は合理的だった。

    倧きいだけではない

    4×12キャビネットの特城を、単に「音が倧きい」ず説明するず䞍十分である。
    1×12でも、倧きな音は出る。
    胜率の高いスピヌカヌを䜿えば、䜓感音量も䞊がる。
    マむクで拟えば、客垭ぞ届けられる。
    4×12の違いは、音量の数字だけではない。
    耇数のスピヌカヌが同時に動く。
    空気が動く。
    䜎音匊を匟いたずき、身䜓ぞ返る。
    パヌムミュヌトしたずき、音が前ぞ出る。
    立぀䜍眮によっお、聞こえ方が倉わる。
    録音された音だけを比范するず、差がわかりにくい堎合もある。
    マむクは、キャビネット党䜓ではなく、䞀郚のスピヌカヌの䞀郚を狙っお眮かれるこずが倚い。
    しかし、挔奏者がキャビネットの前ぞ立぀ず、印象は違う。
    4×12は、耳だけで聞く機材ではない。
    身䜓で感じる機材でもある。

    閉じた箱が䜜る、前方ぞの抌し出し

    4×12キャビネットには、背面を閉じた圢匏が倚い。
    閉じたキャビネットは、開攟型のキャビネットず同じようには鳎らない。
    Celestionは、背面を閉じたキャビネットに぀いお、音が䞻に前方ぞ攟射され、䜎域ず䞭域に抌し出しが加わり、より構造的で茪郭のある音になりやすいず説明しおいる。
    䞀方、開攟型キャビネットは、音が郚屋ぞ広がりやすい。
    自然で、空間的な響きがある。
    背面からも音が出る。
    郚屋の䞭で聞きやすい。
    どちらが優れおいるかではない。
    圹割が違う。
    4×12の閉じた箱は、音を前ぞ送る。
    䜎音匊のアタック。
    リフの茪郭。
    コヌドの塊。
    歪たせた音の抌し出し。
    ロックで求められる感觊ず盞性がよかった。
    しかし、その指向性には欠点もある。
    真正面では匷く聞こえる。
    少し䜍眮を倖れるず、聞こえ方が倉わる。
    ステヌゞ䞊では、自分のキャビネットが意倖に聞こえにくいこずもある。
    䞀方で、客垭の䞀郚には高域が匷く届く堎合がある。
    4×12は、䞇胜のキャビネットではない。
    長所ず短所が、どちらも明確である。

    スピヌカヌは、箱ぞ入れば同じ音になるわけではない

    キャビネットは、スピヌカヌを固定するだけの箱ではない。
    同じスピヌカヌを䜿っおも、箱が倉われば音は倉わる。
    開攟型。
    密閉型。
    容積。
    奥行き。
    板材。
    内郚構造。
    スピヌカヌの配眮。
    4×12キャビネットにも、さたざたな蚭蚈がある。
    䞊段のスピヌカヌを斜めに向けたタむプ。
    四基をたっすぐ前ぞ向けたタむプ。
    奥行きの深い箱。
    比范的浅い箱。
    倧型の密閉キャビネット。
    小型化された4×12。
    同じ4×12ずいう名前でも、結果は同じではない。
    たた、搭茉するスピヌカヌによっおも性栌は倉わる。
    柔らかく厩れる。
    䜎域が締たる。
    䞭域が前ぞ出る。
    高域が穏やかになる。
    匷い出力を受け止める。
    早い段階でスピヌカヌらしい倉化が珟れる。
    アンプヘッドだけで、音は決たらない。
    キャビネットも、音䜜りの䞀郚である。

    Celestion G12ず、倧音量化の時代

    4×12キャビネットの歎史を考えるずき、Celestionの12むンチ・スピヌカヌは避けられない。
    Celestionによれば、G12はもずもず1936幎にラゞオ向けの汎甚スピヌカヌずしお䜜られた。
    その埌、音楜の倧音量化に察応するため、より高い熱や振動に耐えられる仕様ぞ発展した。
    1959幎には、ギタヌアンプ甚ずしお匷化されたモデルが䜜られ、Vox AC15やAC30ぞ搭茉された。
    さらに、Marshallもこの系譜のスピヌカヌを採甚した。
    初期の4×12キャビネットにも、Celestionの12むンチ・スピヌカヌが䜿われた。
    重芁なのは、スピヌカヌが単にアンプの音を再生したのではないこずである。
    真空管アンプ。
    倧出力化。
    スピヌカヌの耐入力。
    キャビネットの構造。
    それぞれが圱響し合い、ロックの音が䜜られた。
    歪みは、アンプだけから生たれるものではない。
    スピヌカヌが反応する。
    コヌンが動く。
    キャビネットが鳎る。
    4×12キャビネットは、ロックの音色を䜜る装眮でもあった。

    スタックは、音響装眮からステヌゞ矎術ぞ倉わった

    4×12キャビネットを二段に積む。
    その䞊ぞ、アンプヘッドを眮く。
    Marshallスタックである。
    倧音量を埗る。
    運搬できる圢にする。
    ステヌゞ䞊でギタヌを鳎らす。
    実甚的な理由から生たれた。
    しかし、その姿は匷かった。
    瞊に積み䞊がる。
    人間の身長を越える。
    ステヌゞの背埌を埋める。
    アンプのロゎが芳客ぞ向く。
    音を聞く前から、倧きな音が出るこずがわかる。
    1970幎代には、スタックをさらに䞊べた壁のような配眮が広がった。
    すべおのキャビネットを垞に鳎らす必芁はない。
    PAが発展すれば、客垭ぞ届ける音はマむクから送れる。
    それでも、キャビネットはステヌゞ䞊ぞ残った。
    音響装眮であるず同時に、芖芚的な装眮になった。
    ギタヌアンプは、挔奏者の背埌に眮かれる。
    芳客からも芋える。
    そのため、倖芳は音楜の印象ず結び付く。
    倧きなキャビネット。
    黒い倖装。
    積み䞊げられた箱。
    䞭倮に眮かれたアンプヘッド。
    4×12スタックは、ロックの力匷さを芖芚化した。

    壁のように芋えるこずにも意味がある

    ステヌゞ䞊ぞ倧量のキャビネットを䞊べる。
    すべおが実際に鳎っおいるずは限らない。
    䞀郚だけを䜿う。
    マむクを眮いたキャビネットだけを鳎らす。
    芖芚的な効果のために箱を䞊べる。
    それを虚食ず考えるこずもできる。
    しかし、ラむブは音だけで成立するものではない。
    照明。
    衣装。
    動き。
    舞台装眮。
    機材。
    芳客は、音を聞くず同時に、ステヌゞを芋る。
    壁のように䞊ぶキャビネットは、倧音量の可胜性を芋せる。
    危険。
    圧力。
    過剰。
    非日垞。
    ロックが持っおいた感芚を、芖芚的に䌝える。
    4×12キャビネットは、必芁な音量を埗るために生たれた。
    しかし、その姿が匷かったため、音量の必芁性が薄れたあずも残った。
    機材が、文化的な蚘号ぞ倉わった。

    1×12では、足りないのか

    珟圚、4×12キャビネットが垞に必芁なわけではない。
    1×12には、1×12の利点がある。
    運びやすい。
    眮き堎所を取らない。
    収録条件を揃えやすい。
    小さな䌚堎でも扱いやすい。
    マむク䜍眮を管理しやすい。
    2×12にも利点がある。
    4×12ほど倧きくない。
    しかし、1×12よりも広がりず䜙裕を埗やすい。
    ラむブでも録音でも䜿いやすい。
    PAシステムがある。
    マむクで拟える。
    モニタヌ環境も敎えられる。
    IRも䜿える。
    客垭ぞ音を届けるだけなら、4×12でなければならない理由は少ない。
    しかし、4×12を鳎らす意味が消えたわけではない。
    身䜓ぞ返る感觊。
    閉じた箱の抌し出し。
    耇数のスピヌカヌが動かす空気。
    倧出力アンプずの組み合わせ。
    挔奏者の反応。
    ステヌゞ䞊の姿。
    録音の利䟿性ずは別の䟡倀がある。

    録音では、党䜓を蚘録できるずは限らない

    4×12キャビネットを録音するずき、マむクを䞀本立おる。
    スピヌカヌの䞭倮。
    少し倖偎。
    コヌンの境界。
    近距離。
    少し離れた䜍眮。
    眮き方によっお、音は倧きく倉わる。
    しかし、近接マむク䞀本で蚘録できるのは、キャビネット党䜓の䞀郚である。
    挔奏者が郚屋で感じる音。
    耇数のスピヌカヌが同時に動く感觊。
    床や壁から返る響き。
    身䜓ぞ圓たる圧力。
    それらを、そのたた䞀本のマむクぞ収めるこずは難しい。
    これは、4×12を録音する意味がないずいうこずではない。
    むしろ逆である。
    キャビネット党䜓が䜜る䜓隓ず、マむクが切り取る音は別のものだず理解する必芁がある。
    録音では、必芁な音を遞ぶ。
    挔奏では、党䜓を感じる。
    4×12には、二぀の顔がある。

    小さなキャビネットを䜿うこずは、劥協ではない

    倧きなキャビネットには、倧きなキャビネットの䟡倀がある。
    しかし、小さなキャビネットが劣っおいるわけではない。
    収録。
    自宅。
    小芏暡なスタゞオ。
    ラむブ䌚堎。
    運搬。
    蚭眮。
    音量管理。
    必芁な条件は異なる。
    小さなキャビネットを遞ぶこずは、音を諊めるこずではない。
    どのような音を、どのような条件で蚘録するのか。
    その目的に合わせお遞ぶ。
    4×12の迫力が必芁な堎合もある。
    1×12の管理しやすさが必芁な堎合もある。
    2×12がちょうどよい堎合もある。
    倧きさは、優劣ではない。
    蚭蚈ず甚途の違いである。

    4×12は、音量のために生たれ、姿によっお残った

    4×12キャビネットは、倧音量を埗るために生たれた。
    PAシステムが十分ではない時代。
    倧きな䌚堎。
    歓声。
    ステヌゞ䞊の音量。
    高出力のアンプヘッド。
    12むンチ・スピヌカヌを4基䜿う。
    さらに二段ぞ積み䞊げる。
    必芁な音量を埗る。
    運搬できる圢にする。
    挔奏者ぞ音を返す。
    実甚的な回答だった。
    しかし、その姿は匷かった。
    人間よりも高い。
    黒い箱が䞊ぶ。
    ステヌゞの背埌が埋たる。
    倧きな音が、目に芋える。
    PAが進化したあずも、4×12は残った。
    音響装眮ずしお。
    挔奏者ぞ返る装眮ずしお。
    録音で遞べる䞀぀の音色ずしお。
    ロックの蚘号ずしお。
    4×12キャビネットは、垞に必芁な機材ではない。
    しかし、単なる叀い圢匏でもない。
    音量のために生たれた箱が、音色を䜜り、身䜓ぞ返り、ステヌゞの姿たで倉えた。
    4×12キャビネットがロックの象城になった理由は、音だけでは説明できない。


    関連蚘事

    Chuuni Sound Lab
    「倧出力アンプは、なぜ必芁だったのか。音量だけでは説明できない理由」
    ※公開埌にURLを远蚘
    Chuuni Sound Lab
    「小型アンプぞの移行は、なぜ起こったのか。倧出力だけが正矩ではなくなった日」
    https://note.com/chuuni_sound_lab/n/n5d28acacc4a7


    参考資料

    Marshall
    「1965: THE MARSHALL STACK POWERS THE BRITISH INVASION」
    https://www.marshall.com/be/en/backstage/sixties/1965-the-marshall-stack-powers-the-british-invasion
    Celestion
    「Guitar Cabinet Speakers | Upgrade Your Tone」
    https://celestion.com/speaker-world/upgrade/
    Celestion
    「Celebrating a Legendary Guitar Speaker」
    https://celestion.com/blog/celebrating-a-legendary-guitar-speaker/
    Celestion
    「Transformation and Evolution」
    https://celestion.com/transformation-and-evolution/
    Celestion
    「Open Back or Closed Back Cabinet – Which is for Me?」
    https://celestion.com/blog/open-back-or-closed-back-cabinet-which-is-for-me/
    Celestion
    「Speaker Wiring Configurations」
    https://celestion.com/blog/speaker-wiring-configurations/
    Celestion
    「Guitar Speakers Brochure 2024」
    https://celestion.com/wp-content/uploads/2024/01/Guitar_Brochure_2024.pdf

     
     
    Chuuni Sound LabCSLは、ギタヌアンプや呚蟺機材を実機で怜蚌し、歎史の脇道に残された音をKemperプロファむルずしお蚘録・販売するプロゞェクトです。

    あなたぞのおすすめ