
竣工前の現場は、一人では回らなかった
しばらく投稿が空いてしまいました。
担当している現場が竣工を目前に控えていて、ここ1ヶ月ほどは記事を書く余裕がほとんどありませんでした。
ようやく先が見えてきたので、今回はその現場の最後の数週間について書いてみたいと思います。
しんどい場面のほうが多い現場でしたが、終盤に忘れたくない光景がいくつかあったからです。
自分たちのものではない遅れ
建物の工事は、いくつもの業者がそれぞれの持ち場を受け持ちながら進んでいきます。
今回の現場では私たちとは別の業者が担当する工事の工程が大きく遅れ、竣工間際には事実上破綻した状態になっていました。
仕上げの工事は、前の工程が終わらないと始められません。
そのため遅れの皺寄せはそのまま私たちの側に流れてきて、自分が担当する協力会社の仕上げ工程まで成り立たなくなりかけていました。
職人さんが予定どおり来てくれても、作業する場所がまだ空いていない。
そんな日が続き、毎日のように段取りを組み直していました。
竣工日は動かせないので、残された日数で何とかするしかありません。
管理と職人の境目がなくなった
そこからの数週間は、普段とは少し違う動き方をしていました。
管理側の私たちは、今入っている職人さんやこれから入ってくる職人さんが少しでも作業しやすいように、資材の移動や作業箇所の清掃を先回りして進めました。
新しく入る職人さんには、作業前に現場の状況をできるだけ細かく伝えるようにしていました。
手順書どおりに作業が進まない場面では職人さんと一緒に説明書を読み直し、ネットで調べたりメーカーに確認を取ったりしながら進めたこともあります。
職人さんの側も、自分の担当外の清掃を引き受けてくれたり、トラブルが起きた箇所の手直しに手を貸してくれたりしました。
同じ場所で複数の業者が作業する「相番」も、お互いに譲り合いながら回していました。
特に印象に残っているのは、職人さんたちの声のかけ方です。
竣工間際の管理側には、あちこちから連絡が絶え間なく入ってきます。
その様子を見て、私がパンクしないようにタイミングを見計らって話しかけてくれる職人さんが何人もいました。
電話を切ったところで「落ち着いたらでいいので、ここだけ見てもらえますか」と声をかけてもらえると、頭の中を一度整理してから動くことができます。
急ぎの用件であっても、こちらの状況を見て順番を考えてくれていたのだと思います。
なぜ範囲を越えてくれたのか
普段の他の現場であれば、管理と職人がここまで互いの仕事に踏み込むことはあまりありません。
役割がはっきりしているぶん、干渉しすぎないことがお互いにとって働きやすい距離感でもあります。
それでも今回は自然と境目がなくなっていきました。
理由を考えてみると、思い当たることが二つあります。
一つは、それまでの積み重ねです。
私はこの現場で、職人さんたちが厳しい条件の中でも何とか納めようと手を尽くしてくれる姿をずっと見てきました。
職人さんや協力会社の方々も、私たちが段取りや上流の会社とのやり取りに苦戦している様子を見ていて、どこかで気にかけてくれていたのだと思います。
もう一つは、全員が同じ状況に置かれていたことです。
自分たちではない工程の遅れの皺寄せが、まとめてこちらに来ている。その状況を全員が共有していたからこそ、立場の違いよりも「時間がない中で何とか形にしよう」という気持ちのほうが前に出たのかもしれません。
誰かを責めたいわけではありませんが、ある意味で共通の敵がいたことは大きかったと感じています。
一人では絶対に回らなかった
正直に言えば、この現場はうまくいかないことのほうが多く、何度も気持ちが折れかけました。
それでも最後の数週間を振り返ると、一人では絶対に回らなかったと断言できます。
外から見ると、施工管理は指示を出す側に見えるかもしれません。
けれど実際には、職人さんに支えてもらいながらようやく現場が回っている場面も少なくありません。
それまでの自分の動き方を見てもらっていたからこそ、最後に追い上げる力を貸してもらえたのではないかと、少しだけ報われた気持ちにもなりました。
チームは集まった瞬間にできあがるものではなく、しんどい日々を一緒に過ごす中で少しずつ形になっていくものなのかもしれません。
業種は違っても、締め切り前に誰かが自分の範囲を越えて動いてくれた経験がある方は多いのではないでしょうか。
竣工まではもう少し続きます。
最後まで、この現場をみんなで納めたいと思います。