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Photo bytamanabinote2020

予土線(高知県・愛媛県・若井〜宇和島)全駅解体・精神崩壊エッセイ――第四弾:宇和島の行き止まりと、抜け殻の帰還

    予土線(高知県・愛媛県・若井〜宇和島)全駅解体・精神崩壊エッセイ

    ――第四弾:宇和島の行き止まりと、抜け殻の帰還

    第1章:宇和島 ―― レールが、ほどける場所

    気動車は、速度を落としていく。
    四万十の蛇行も、トンネルの闇も、渓谷の冷気も、車体の底から少しずつ剥がれ落ちていく。
    ホームの先に、車止めがある。
    線路は、そこで終わっている。
    鉄の塊は、ただ黙ってそこに立っている。
    これ以上、西へ行けとは誰も言わない。
    エンジンが止まる。
    唸りが消えたあとの空気の薄さに、自分の呼吸だけが残る。
    私は座席から立ち上がれずにいる。
    行き先がないというのは、こんなにも静かなことだったのか。 

    第2章:ポケットのなかの、圏外の記憶

    改札を抜ける。
    日差しが、あまりにも明るい。
    ポケットが震える。
    ひとつ、ふたつ。
    やがて震えは途切れなくなり、手のひらのなかで、小さな箱が鳴りつづける。
    画面には、知らない間に積もった言葉の雪。
    未読、未読、未読。
    川の上では、誰も私を呼ばなかった。
    水は、返事を求めなかった。
    親指が、勝手に動く。
    私より先に、私の指が日常へ帰っていく。

    終章:緑を胸に、荒野へ

    透明すぎた川面。
    トンネルの、底のない黒。
    どちらも、もう言葉にならない場所へ沈んでいった。
    ――ガタン、ゴトン。
    耳の奥で、まだ車輪が鳴っている。
    その下を、四万十の水が流れている。
    私は、少しだけ軽くなった足で歩き出す。
    抜け殻のまま、それぞれの日常へ。

     
     

    現成

     
     
    身体の奥で鳴っている、名前のない音がある——それを物語に変える人間を、身体語共創師と呼ぶことにした。余白に耳を当てて、あなたと共に。

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