
【Photoshopが無料に?】Adobeの定番7本をAIで作り直して無料公開。Kling 4.0正式版は1回30秒へ、そして中国のAIショートドラマは「98.7%が赤字」 週刊AIフライデーレポート #57
こんにちは!『ゆるっと週刊AIフライデー』レポートです☀️✨
先週、お届けした本編第57回も、ご視聴いただきありがとうございました!
今週は「作る道具」の値段が崩れた週でした🌪️
PhotoshopやPremiereに当たるソフト7本を、1人の開発者がAIで作り直して無料公開。動画生成のKling 4.0も正式版が出て、1回で30秒まで作れるようになりました。
その一方で、先週お伝えした中国のAIショートドラマには続報があって——98.7%が制作費を回収できていないという数字が出ています。
作るコストが下がると、次に何が問われるのか。早速いきましょう!⚔️✨
🎨 1. Adobeの定番7本をAIで作り直して無料公開。「ArtCraft」が話題に

まずは、画像や動画を触る人なら全員気になる話からです。
アメリカのソフトウェアエンジニア、ブランドン・トーマスさんが、Adobeの定番ソフト7本に相当するアプリをAIで作り直し、オープンソースで無料公開しました。プロジェクト名は「ArtCraft」です。
使ったAIは、AnthropicのOpus 5.5。開発言語はRustです。
対応するソフトがこちら。

このほか、Illustrator、Acrobat、After Effects、InDesignに当たるアプリも揃っています。対応OSはmacOS、Windows、Linux。Adobeが対応していないLinuxで動くのも、地味に大きいところです。
料金は、サブスクなしの無料。 設計図にあたるソースコードも公開されているので、誰でも中身を見たり直したりできます。生成AI機能だけは別で、任意の有料プランかクレジット購入、あるいは自分の計算資源や他社のAI契約を持ち込む形になっています。
作ったきっかけは、Adobeへの不満だったそうです。解約金を何度も取られて、それ以来ずっと好きになれなかった、と。トーマスさんはStoryteller.aiの元CEOで、Squareでエンジニアをしていた方です。
ただ、ここは冷静に見ておきたいところ。
現在はアルファ版。本人も早くベータに上げたいとしています
「1か月で機能を100%揃える」という目標を掲げていますが、機能が並ぶことと、同じように動くことは別です
色の正確さ、プラグイン対応、安定性——実務で効いてくる部分は、これから評価される段階
そして権利の扱いも、まだ答えが出ていません。 トーマスさんは「Adobeのコードは見ていない、公開仕様と動作だけを見て作った」という立場(クリーンルーム実装)です。一方でAdobeは設計や機能に関する特許を大量に持っていて、抵触するかどうかは現時点で未解決とされています。
それでも、話としてはかなり大きいと思います。 15年プログラミングをやってきた1人のエンジニアが、AIを使って7本のアプリをまとめて出した。「作りたい道具を自分で作る」のが現実的な選択肢になってきたということですよね🎨
参考:
🎬 2. Kling 4.0が正式公開。1回30秒・21:9まで、作る画面も一つに
続いて動画生成です。 #55で 「10月に来る」とお伝えしたKling 4.0が、予告どおり正式に公開されました。
9月末から先に出ていたのは軽量版のKling 4.0 Flashで、こちらは最長20秒・720p、しかもUltra年額プランの一部だけでした。今回、本体がKlingのサイトで使えるようになっています。
Flashとの違いがはっきり出ています。

アクションや場面の切り替え、気持ちの変化まで、1本の中で続けて見せられるとKlingは説明しています。動画の延長で最長2分、という機能も予告されています。
今回うれしいのは、作る画面がまとまったことです。
これまで参照素材の「Omni Reference」は別の画面から開くものでした。それがKling 4.0では一つの入力ボックスに統合され、画像・動画・音声をまとめて参照として渡せるようになっています。制作ページ自体もグリッド表示とリスト表示、単一タイムラインなどに作り直されました。
作り方は2通りです。
キーフレーム:「この瞬間はこの絵にしたい」という目印の画像を、最大10枚まで置ける。カメラの動きや人物が入ってくるタイミングを、時間の流れの上で指定できます
Omni Reference:参考素材を渡して作る方法。1回に最大15点(画像10点+動画5点、登場させたい被写体は7つまで)を混ぜて渡し、誰が出てくるかどう動くかを揃えられます
#55では 「長尺化よりも制御のほう」と書きました。 実際に出てきたものを見ると、その方向で合っていたなと思います。30秒作れることより、30秒の中のどこで何が起きるかを指定できることのほうが、制作としては大きいですよね🎥
📉 3. 中国のAIショートドラマ、98.7%が制作費を回収できず

ここで、先週お伝えした話の「お金の面」です。
先週のレポートでは、中国の新作ショートドラマの9割超がAI作品になった、という話を書きました。実写なら1本1,400万円かかるものが、AIなら70万〜100万円。制作人数も70〜80人から数人へ、と。
では、儲かっているのか。 香港メディアの香港01が9月2日に伝えた数字が、かなり厳しいものでした。
今年上半期、中国版TikTokの抖音(ドウイン)で配信されたAIショートドラマは22万1,900本。累計再生回数は5,157億3,800万回です。
ところが——採算が取れるのは77本に1本程度。つまり98.7%が製作費を回収できていない。
広告データ会社DataEyeの林啓文(リン・チーウェン)副社長の言葉が、きついところを突いています。
業界関係者の多くがAIによって制作のハードルは下がったと感じているが、クリエイターの収益が増えたわけではなく、むしろより速く赤字になっている感じだ
そして視聴者側にも、変化が出ていました。
AI作品は3月以降に急増して、第2四半期には新作の70%を占めました。ところが視聴量の割合は4〜5月の80%がピークで、6月には68%まで低下。理由として挙げられているのが、AI作品の登場人物の外見が似通ってきたことです。
いわゆる「AI顔」に、視聴者が疲れてきている。配信プラットフォームの「紅果短劇」は類似した「AI顔」や素材違反の取り締まりを始め、抖音も肖像権・著作権リスクを事前確認できるツールを導入しています。
ルールも段階的になりました。 9月1日施行の「マイクロショートドラマ発展管理弁法」では、投資額に応じて審査先が分かれます。

実写への影響も、数字で出ています。 紅果短劇の月間ランキングに入った実写ドラマの新作は、2月の432本から6月には110本に減りました。一方で当局は優良な実写作品の支援にも動いていて、6つの主要プラットフォームが少なくとも60億元(約1,400億円)を投じる計画を発表しています。
先週の数字と並べると、構図がはっきりします。 作る本数は13倍に増えた。でも98.7%は回収できていない。そして見られる割合は、ピークから下がり始めている。
ハードルが下がると、作る人が増える。作る人が増えると、1本あたりの取り分は減る。……これ、動画でも画像でも、同じことが起きますよね。
AIで安く作れることは、強みにならなくなる。 じゃあ何が強みになるのか。「AI顔」に疲れた、という一言が、けっこう答えに近いのかもしれません📉
🔌 4. Midjourneyが公式MCPのテスターを募集。「SaaS組み込みは対象外」
we want to start testing a Midjourney MCP with a limited community. the intention is to find creative and technical people to push the boundaries of what our models can do. this is not for Midjourney in SaaS products, it's for purely artistic and creative endeavors. apply below! pic.twitter.com/hQFx8aBlGa
— Midjourney (@midjourney) October 10, 2026
画像生成の話に戻ります。これ、使い方がけっこう変わるかもしれません。
Midjourneyが公式のMCPのテスト参加者を募集しました。10月10日に公式Xで呼びかけています。
MCPは、ほかのAIアシスタントからMidjourneyを呼び出せるようにする継ぎ役です。つまり、普段使っているAIとの会話の中から、そのままMidjourneyで画像を作れるようになるということ。
ここが大きいのは、Midjourneyにこれまで公式APIがなかったからです。
画像を作れるのは公式サイトとDiscordだけ。利用規約でも、自動化を使ってMidjourneyにアクセスしたり画像を作ったりすることは禁止されていました。ネット上には外から動かす非公式ツールも出回っていましたが、自分のアカウント情報を渡す形なので、規約違反になる恐れがありました。
つまり今回は、禁止してきた使い方に、Midjourney自身が公式の入り口を作ろうとしているという話です。
募集の条件に、はっきり線が引かれています。
モデルの限界を押し広げてくれる、創作と技術の両方の人を探している。これはSaaS製品にMidjourneyを組み込むためのものではなく、純粋に芸術的・創作的な取り組みのためです
応募は公式Xの投稿にあるフォームから。募集人数、テスト開始日、一般公開の時期は、まだ発表されていません。
同じ週に、もう一つテストが始まっています。 「Thinking Mode」です。生成した画像をAIが見直して、プロンプトと合っていないところを見つけて作り直してくれる機能。プロンプトへの忠実さと、画像内の文字の正確さが良くなる傾向が出ているそうです。
アルファ版サイトで、生成画像の詳細画面から「Rerun (Thinking)」を押すと使えます。こちらも試験運用中で、通常の生成方法にするか、生成後のオプションにするかは検討中とのこと。
作る工程を自動でつなげる話と、1枚の精度を上げる話が同じ週に来た。Midjourneyが「閉じたサービス」から少し動き始めた週だと思います🔌
📚 5. 国内発のAI漫画サービス「Drawspire」。出す前に「似ていないか」を知らせます

最後は日本から。AIで描いた漫画が、誰かの作品に似ていないか出す前に知らせてくれるサービスが始まりました。
10月15日、ulearn株式会社が「Drawspire(ドロースパイア)」を公開しました。
できることはこんな感じです。
自分で描いたラフの線画+文章の指示から、AIがコマを仕上げる(参照画像も使える)
自分のイラストやキャラクターから、構図・ポーズ・場面を展開できる
コマは自由に配置でき、キャラクターがコマから飛び出したり、複数のコマにまたがったりもできる
吹き出しは形を選べて、フォントも複数。オノマトペや背景・キャラクター素材も付属
完成した作品は専用ページで公開するか、画像として書き出して外部で使える。アクセス解析も見られます
そして注目したいのが「類似性チェック」です。
作った画像を解析して、既存の作品・キャラクター・ロゴに似ている可能性のある箇所を知らせてくれる機能。ライトプラン以上で使えます。
ただし、ここは説明がきちんとしていました。この機能は作者が自分の作品を見直すための参考であって、権利を侵害していないことを保証するものではないと明記されています。最後に判断するのは、描いた本人ということですね。
無料プランから試せて、有料プランは複数用意されています。公開時のキャンペーンでは、新規登録の先着100名に1,500クレジット(画像生成およそ187コマ分)が配られていました。
「ラフまでは描けるけど、仕上げまで手が回らない」。 そういう人の助けになりそうなサービスです。
そして1章・4章と並べると、流れが見えてきます。道具が無料になり、AIから呼び出せるようになり、そして「出す前に確かめる」機能が標準装備になっていく。 作る自由が増えるぶん、確認の工程がサービス側に組み込まれていくんですね📚
🍵 おまけ:終了したSoraに、復活の可能性
最後に短く、気になる報道を一つ。
今年3月にOpenAIが終了を決めた動画生成AI「Sora」に、復活の可能性が出てきました。
動いているのは、元Soraの研究責任者ビル・ピーブルズさんらが立ち上げた会社です。OpenAIとSoraを使わせてもらう交渉を進めていると、米IT専門メディアのThe Informationが10月12日に報じました。
この会社は映画制作者向けのAI動画スタートアップで、共同創業者にはハリウッドの大物プロデューサー、ジェフリー・カッツェンバーグさんの名前も挙がっています。
そもそもSoraは、3月24日にアプリとAPIの終了が発表され、4月にアプリ、9月にAPIが停止しました。OpenAIが挙げた理由は計算資源の取り合い。その分をエージェント型AIに回すためだと説明していました。
ただ、まだ報道の段階です。 取引がまとまるかどうかは分かっていません。終了が決まったときに惜しむ声はとても多かったので、続報に注目したいところです🍵
いかがでしたでしょうか?
ArtCraftの無料公開、Kling 4.0の正式版、中国AIショートドラマの98.7%、MidjourneyのMCP、そしてDrawspireの類似性チェック🤯
今週いちばん感じたのは、「作れる」の次に来るのは「続けられるか」ということです。
Photoshopに当たるソフトがタダになって、動画は1回30秒まで作れるようになった。道具のコストは、どんどんゼロに近づいています。
でも同じ週に、中国からは「98.7%が回収できていない」という数字が届きました。しかも視聴者は、似通った「AI顔」に疲れ始めている。
安く作れることが強みだった時期は、思っていたより短かったのかもしれません。
道具が誰にでも開かれたあと、残るのは何を作るかと、それを誰が見たいかだけになる。……けっこうシビアですが、健全な話でもあると思います。
先週「どこで腕を磨くのか」と書きました。今週の数字を見ると、磨く先は操作ではなく、企画のほうかもしれません。
「ArtCraft、実務で使えるか試してほしい」「Kling 4.0のキーフレーム、どう組むのがコツ?」といったリクエストがあれば、ぜひコメント欄で教えてください👇
今週の『ゆるっと週刊AIフライデー』は以上です。また次回のレポートでお会いしましょう✨
「ゆるっと週刊AIフライデー」は、毎週金曜の配信で、AIの最新情報をゆるっとお届けしていきます。
今週も、皆さんと一緒にAIの「面白い!」を見つけていけたら嬉しいです。ぜひ高評価やチャンネル登録で応援していただけると励みになります!
▼次回の視聴はこちらから
↑チャンネル登録をして、お待ち下さい☺️
質問やコメントなどもお待ちしております♪
それでは、よい週末をお過ごし下さい!
ご質問等がございましたら、下記までお気軽にお問い合わせください。
[株式会社クラウドアトラス]
〒150-6090 東京都渋谷区恵比寿4丁目20-4
ガーデンプレイスグラススクエアB1F
info@cloudatlas.jp
YouTube : https://www.youtube.com/@CloudAtlas-main
X(旧Twitter): https://x.com/cloudatlas0710
TikTok : https://www.tiktok.com/@cloudatlas4
note : https://note.com/cloudatlas107