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ショーン・タン『遠い町から来た話』

    「遠い町から来た話」(ショーン・タン著/河出書房新社)は、15篇からなる短篇がつまった絵本です。

    昔の潜水服を身につけて町をさまよう男、誰にも読まれずに終わった詩の行方、誰にも愛されなくなってしまったものからかわいいペットを産み出す方法、など奇想に満ちた作品ばかり。その奇想を支えているのが、どこか懐かしさを感じる絵です。

    ショーン・タンの作品を読むのは初めてだったんですが、表紙のイラスト(昔の潜水服を着た人)に目を奪われて、思わず手に取ってしまいました。

    そして遊び心に満ちているのもの、この作品の魅力です。

    たとえば、表紙を開けると大きな封筒が描かれています。宛名の欄には「ポールヘ 昔から探検旅行に目がなかったよね?」と手書きの文字があって、たくさん貼られた切手には、本書に収録されている作品名とその作品に寄せられたイラスト、そしてページ数が印刷されているんです。

    つまり切手が目次になっていいるんですね。本書では、こうした絵と書き文字による遊びが随所に見られて、各作品の魅力をより引き立てています。

    特に個人的に好きな収録作は、異次元からきた小さな交換留学生の物語『エリック』です。ちょっとしたサプライズがあって、その絵の美しさにこころ癒やされました。なぜだか村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を思い出しました。

    2011年刊行と少し昔の本ですが、いまだにロングセラーとして売れ続けているのも作品の魅力ゆえのことでしょう。編集者としては、10年、20年と読者に求められる本を作るために、いろいろ考えていきたいと思いました。

    ちなみに出版元の河出書房新社さんからは、ショーン・タンの代表作である『アライバル』のPaperback Editionがこの春刊行されています。原版は大型本ですが、こちらのサイズは手に取りやすいB5変形版です。

    最後まで読んでくださりありがとうございました。
    よい一日を!

    ただいま4刷 構成を担当した書籍が発売されました!


     
     
    第69回「短歌研究新人賞」予選通過。 こころの深海にもぐっては、あかりになる「言葉の毛布」を届けています。 編集者・歌人。猫と生きながら、短歌・古典・読書の力で、こころに安全基地を。 ※Amazonのアソシエイトとして、つくだとしおは適格販売により収入を得ています。

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