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我慢は本当の“力”ではない。本当の“力”とは「自分の感情を感じること」

    私が心理系大学院で相談実習(ケースという)を始めた頃の体験談です。
    指導をしてくれるスーパーバイザーのところへ出向いて、何回目かのときに、こんなことを言われました。

    「我慢は、本当の力ではない。本当の力というのは、『痛いときに痛い』『辛いときに辛い』とちゃんと感じること」だと。

    私は、その言葉がピンとこなくて、びっくりしたのを覚えています。

    だって、“我慢できる人”って、「強い」「えらい」「根性がある」と脳内で翻訳されませんか?
    日本社会では、「辛抱強さ」や「文句を言わず(不平不満を言わず)言われたことをやる」ことが美徳とされてきました。
    ずっとそう言われてきたし、私はそうやって生きてきました。

    たしかに、我慢が必要な場面はあります。
    その場を乗り切るために、感情をいったん脇に置くことだってあります。

    そうやって日々を乗り切り、ここまで生きてこられた長い長い歴史があるのも事実です。
    そのことを否定したいわけではありません。

    でも、我慢が“ずっと”続くと、私たちの心はどうなっていくのでしょう。

    心は「感じること」を止めて、生き延びようとします。

    辛いのに辛いと言えない。
    悲しいのに悲しいと言えない。
    腹が立っているのに、なかったことにしてしまう。

    こんな状況が続くと、「言えない」は「言わない」になっていくんです。

    今まで身についていた我慢は、ここまで自分が壊れないように、しっかりと守ってきた結果かもしれません。
    あるいは、心を殺してでも、生きるため、または何か、自分にとって、もっと大事なもののために、「生産性」や「効率化」を優先してきた結果なのかもしれません。

    いずれにしろ、大事なことは、“本当の力”を使えなくなっているという事実があるということです。

    ずいぶん長い間、この「感じること」は「弱さ」だと考えられてきましたが、実際は逆なんです。

    “本当の力”は、みんな、生まれたての頃は持っていました。
    お腹が空けば、泣く。
    おむつが濡れたら、泣く。
    体がむずむずすれば、泣く。
    寝ているのに飽きたら、泣く。
    抱っこして欲しいときに、泣く。

    こんな風に持っていた力を、私たちは社会に適応するために、少しずつ出力を調整するように要求され、同時に「感じてはいけないと誤解したまま」過ごすようになってきたのです。

    だから、

    辛いときに「辛い」
    悲しいときに「悲しい」
    腹が立つときに「腹が立つ」

    と、意識するのが難しくなります。
    自分の中に、そんな感情があることを、ちゃんと“認める”ことが難しくなっていくんです。

    ネガティブな感情を感じることは、“弱さ”ではありません。
    心がちゃんと生きている証なんです。

    ただ、その“感じたこと”を、自分の思考の外に出す際には注意が必要です。

    「怒り」などのネガティブな感情を、人間関係の中でそのまま出すと問題が生じます。
    「自分の常識は、他人の非常識」というくらい、人によって“当たり前”が違うからです。

    誤解されたり、関係が壊れそうで怖い。
    そう感じるのもまた同然のことで、だから私たちは、感情を飲み込んだり、整えて言い換えたり、笑って流したりします。

    いわゆるソーシャルスキルです。

    自分の感情に蓋をしたままそうしていると、いつの間にか、
    「自分が何を感じているのか」さえ、わからなくなっていきます。

    だから、私は、冒頭のスーパーバイザーとのやり取りで、
    「カウンセリングでは考えるな、感じろ」と言われて、
    「感じるって、なにー?!」となったわけです。

    はい、なにしろ初学者だったので、私の訓練はそこからでした笑

    ※心理療法については、心理学派にもよるので、私の場合の一例です。


    その「感じるってどーするの?」を“一緒に体験していく場”が
    カウンセリングという場所です。

    そこは、評価や審判がない場所。
    正解も不正解もない場所。
    ネガティブな気持ちを含めて、言葉にしていい場所です。
    愚痴だという、その言葉たちも、自分にとっての大事な気持ちなんです。

    もし今、あなたが
    「もう頑張れない気がする」
    「でも、頑張らないといけない」
    その両方に引っ張られて動けなくなっているなら、今日できることは一つだけ。

    どうか、自分に聞いてみてください。
    「私は今、なにを感じてる?」って。

    最初は、言葉にならなくていい。
    “重い”“詰まってる”“怖い”みたいな感覚語やイメージでも十分です。

    感じられることは、本当の“力”を取り戻す回復の入口です。
    我慢をやめるのは怖い。
    けれど、我慢だけで生き続けるのは、もっと苦しい。

    そんなときは、ひとりで抱えなくても大丈夫。
    話せる場所は、ありますよ^^

    カウンセラー|ユナ


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    仕事や人間関係で考えすぎてしまう人へ。 心を少しラクにする言葉を届けています。 精神科・心療内科クリニック現職|臨床心理士 → 今のぐるぐる度が30秒でわかる ▶︎無料の「ぐるぐる思考度チェック」 https://bit.ly/46f91gv

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