
エッセイ|やるじゃないの、コーヒー。
私はコーヒーがあまり好きではありません。いえ、飲めないという訳ではないんです。もしお邪魔したお宅で供されたなら、ありがたく頂戴すること請け合いです。てか、まず間違いなく飲み干します。ただ、自ら好んで飲むことはほとんどないというだけです。
コーヒー好きの人は皆、あの独特の香りがたまらないと言います。ふうん、そうなんだ。まあ、確かに悪い匂いじゃないですよね。うんうん。思い返せば私も大人になるまではわりとよくコーヒーを飲んでいた気がします。家族がコーヒー好きだったせいか、その頃はさして疑問を持つこともなくごく普通に飲んでいました。
しかし、ひとり暮らしをするようになったことで、遅まきながら自分がアンチコーヒー派だということに気付きました。茶筒に日本茶を欠かすことはなく、戸棚には紅茶やハーブティーを何種類もストックしている無類のお茶好きであるにも関わらず、コーヒーだけはついぞ買ったことがありません。だって、ちっとも飲みたいと思わないんだもん。
コーヒーのどこがイヤって、後味が苦手。コーヒー党の人にはなかなか解ってもらえないんですけど、酸味がイヤなんです。美味しいコーヒーを飲んだことがないのでは、と見る向きもあるでしょう。かつて、コーヒー好きの友人に美味しいと評判の専門店に連れて行ってもらい、酸味の弱い種類を試してみたことがあります。確かに普段飲んでいるコーヒーよりも数段美味しいように感じましたが、結果的に私は彼(コーヒー)に「貴方には私なんかよりもっといい相手がいるはず」と、本当の気持ちを伝えることにしたのでした。それ以来彼とは会っていません。
…と、ここまでで終わっておけば、ある意味一貫性のある文章になったのかもしれませんが、そうは問屋がおろしません。今日、飲んだんですよ。久しぶりにコーヒーを。長丁場の会議における居眠り対策にと思って、かけつけ1杯。その甲斐あってか、睡眠欲に屈することなく無事に難局を乗り越えることができました。やるじゃないの、コーヒー。ちょっと見直したわ。…って、自分から別れを切り出しておきながら今更こんな事を言うだなんて、身勝手な私を許して頂戴。プリーズ。
* 2001/2/21記(2026/2/21改題公開)
※アンチコーヒー派を名乗っていた、あの頃のわたしへ。
四半世紀を経た2026年のわたしは、ちゃっかり美味しくいただいております(買ってくるのは、いつもオットだけど)。
味覚って、いつの間にか育つものなんですね。
ただ、ブラックはいまだに“距離感のむずかしい相手”。
ミルクと砂糖という心強い相棒を連れて、いまもゆるくお付き合いしています。
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