
雑記【掌編小説】風鈴
こんにちは、或いはこんばんは。まりんです。今回のお題は『風鈴』です。
祖父の家の縁側に1人ポツンと座る。奥の仏間からは線香の懐かしい香りがふわりと鼻をくすぐる。
もうこの家に主人がいなくなってはや数年。それでも変わらない時間と香りが流れていく。祖父の優しさと厳しさを思い出しながら、家の中に新しい風を送り込む。
部屋を掃除していたら小さな桐の箱が出てきた。今まで何度も掃除してきたはずなのに、初めて見る箱だった。縁側に座り直して、小さな箱をパカっと開けた。
中には金魚の描かれた美しい青の風鈴があった。持ってみると『チリン』と独特の音色が耳奥を揺らす。
軒下に吊るすと、『チリン』と鳴る度に、風が頬を伝う。祖父の笑う声がフッと聞こえた気がした。