
30人のワークショップと6人のワークショップは、別の仕事だ
会場に入った瞬間の、ざわめきの音が違う。6人なら、机を囲んだ低い話し声。30人なら、部屋全体がうなるような音になる。
「ワークショップって、人数が違っても中身は同じですよね」とよく聞かれる。答えは、いいえだ。6人と30人は、別の仕事だと思って設計している。
6人なら、全員の顔を見ながら進行できる。問いを投げたあと、誰が黙っていて、誰が話したそうにしているか、その場で拾える。グループ分けもいらない。台本を細かく作らなくても、その場の空気で調整がきく。
30人になると、拾える顔の数には限りがある。全員参加型の問いかけは物理的に難しくなり、代わりにペアや小グループの時間を増やす設計に切り替える。誰にも見られていない安心感が、逆に発言のハードルを下げることもある。
人数が増えるほど、進行役の仕事は「話を聞く」から「構造を作る」に変わっていく。個々の声を拾うのではなく、声が拾われる仕組みを先に用意しておく。マイクを回す順番一つ、机の配置一つが、発言の量を左右する。
時間配分も違う。6人なら一人ひとりの発言に余白を残せる。30人だと、発言できない人が必ず出る前提で、書く、付箋に書く、小さなグループで話すなど、発言以外の参加経路を複数用意しておく必要がある。
同じ企画書を、人数だけ変えて使い回すと、必ずどこかで無理が出る。6人用の設計を30人にそのまま広げると間延びし、30人用の設計を6人に縮めると仕掛けが空回りする。
依頼を受けるときは、参加人数を確認してから、企画の骨組みを決めるようにしている。人数が先に決まっていない依頼ほど、設計の途中で迷走しやすい。何人でやるかは、テーマと同じくらい重い最初の一歩だ。
もし次にワークショップを依頼するなら、テーマを決める前に、まず何人を集めたいかを先に決めてみてほしい。
もし次のワークショップを企画するなら、人数を決める前に、何人までなら全員の声を直接拾えるか、その境目を一度数えてみてほしい。
山田克基(こにー)
PRアドバイザー・コミュニティデザイナー・ワークショップデザイナー
京都を拠点に、企業・自治体・NPO・スタートアップの「きっかけ創り」に伴走しています。
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