
最近聴いているアルバム2025.04
David Sylvian & Robert Fripp 『The First Day』 (1993)

以前から関係のあった二人が互いの長所を引き出しあって出来た佳作。目を見張るような演奏や怒涛の展開などは無く、長尺かつ単調で、圧倒されるというよりじっくり浸るタイプ。緩いプログレファンク。二人を知らないリスナーが面白い作品と思えるかどうかは正直分からない。ただ、こんなに弛緩したKing Crimsonは聴いたことがないしこんなにテクニカル/ファンク寄りのDavidも聴いたことがないという意味で聴く価値あり。
John Butler Trio 『John Butler』 (1995)

4月前半はシアトル・メルボルン・パースを5日ずつくらい旅行していた。私にとって最も居心地が良かったのはパースだが、パース郊外の港町フリーマントル最大のスターこそJohn Butlerである。アコギとドラムとベースだけで生み出される熱量と郷愁。学生時代から好きなアルバムだが、西オーストラリアの大地をドライブしながら聴く日が来るとは思わなかった。ちなみに2010年フジロックでのライブはフジロック史上最高パフォーマンスの一つと言われている。
Ulver 『Shadows Of The Sun』 (2007)

クラシック アンビエント アヴァン 歌もの。中央アジアの高原で沈みゆく太陽をパサンの角の隙間から眺め、旅情と心細さと生の実感と土地の歴史とが同時に押し寄せるような、そんなアートワークがまず素晴らしい。活動停止してクラシック音楽の作曲を一年間学んだという意欲もさすがUlver。一人の人間が苦労して何かを身につけようとしている過程と生まれた成果を楽しむのが芸術の醍醐味だなと思う。じゃなきゃ全部AIでいいからね。
The Mars Volta 『Octahedron』 (2009)

これまでは激烈ハードコアプログレだったが、激烈ハードコアの要素が抜けシンプルなプログレに近づき、さらに中期レッドツェッペリンのようなわざとらしい哀愁も醸し出すようになった5th。変人がその変人っぷりを最も発揮するのは普通のことをやらせた時だと思う。メロディも世紀末の夕焼けのように美しい。典型的な過小評価アルバム。
Interpol 『El Pintor』 (2014)

リリース時には「会心の傑作!」「原点回帰!」とか言われてたのに、次作リリース時には「前作の低迷を乗り越え…」とか言われてしまう不遇なアルバム。これもまさにそういう一枚。原点回帰を図ったのかもしれないが、明らかにスケールダウンしている。曲も演奏もミックスも特に冴えるものが無い。前作までにあった謎オーラも消えている。このバンドの本作以降の楽しみ方がよく分からない。見つけるまで聴き続けようと思う。
Spiritualized 『And Nothing Hurt』 (2018)

このバンドが「酩酊サイケ」「スペースロック」などと称される時、私は常にモヤモヤしていた。いや、Spiritualizedはソウルだろう。そんな私の溜飲を下げたのが本作で、ここでは音よりも歌に焦点が当てられている。高齢になってきたことの切迫感、人を失望させてきた人生の後悔、正義感に満ちた10代の頃の危うさなどを、酒場に置かれたキャンドルのように訥々と歌う。この弱々しい声に宿る紛れもないソウルをサイケという言葉で覆い隠すのはもったいない。
おまけ
パースは都会と田舎のバランスが最高。今まで行った20ヶ国35都市くらいの中ではダントツで好き。まず人が圧倒的に優しい。定期的に行こうと思う。



(楽しかったな〜)