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誰かしらに言われた深いかもしれない言葉集【考えすぎクラブ】| ぽてぽたのよしなしごと #43

    言葉って、おもしろい。

    すごく深そうなのに実は何も言っていない言葉もあれば、「聞き流しちゃったけど、実は深くね?」という言葉があったりする。

    本記事では、私の印象に残っている言葉の中から「誰かしらに言われた深いかもしれない言葉集」を3つ、紹介したい。


    ①右耳で、地球の声を聞いてみましょう

    誘われて参加することになった、ヨガのグループレッスンにて。

    ちなみに私は、ヨガはド素人である。

    つねづね「私はせっかちだし、向かなそうだ」と思っていたが、参加する運びとなった。

    もちろんビギナーズ向けのレッスンだ。

    スタジオにいたインストラクターさんは、時間になると「それでは」と言って参加者たちに向き直り、レッスンを始めた。

    すごく余韻を残しながら話すインストラクターさんで、話がまだ続いているのか、終わったのか、判別しづらい。

    彼女の案内に合わせて息を吸ったり吐いたり、腕を上げたり下げたり、上半身を折り曲げたりした。

    呼吸に関してだけは、「Inhale(吸って), exhale(吐いて)…」と英語になるのも、気になった。

    そして、インストラクターさんはこう言った。


    右耳で、地球の声を聞いてみましょう。


    私は思わず、「ハイ?」と、変な声が出そうになった。

    インストラクターさんが、ゆっくりと首を傾げる。

    挙動不審にキョロキョロと周りを見渡すと、レッスンを受けている皆さんは当たり前のように頭を右向きに倒し、右手を頭の上にのせて、首のストレッチをしている。

    「右耳で、地球の声を聞く」って

    「頭を右に倒して、首の左側を伸ばしましょう」
    っていう、意味だったのか?

    だったら、なぜそう言わないのか?

    皆さんは今、地球の声を聞いているのか?

    私には何も聞こえないのだが、皆さんには、聞こえているのか?

    わからないまま、私はとりあえず皆さんと同じように頭を右向きに倒し、首の左側を伸ばした。

    よく伸びて気持ちが良かった。

    同じようにして、首の反対側も伸ばした。

    その時は、「左耳で地球の声を聞きましょう」とは言われなかった。

    なんで?

    その後も終始よくわからない言葉が飛び出し、私はいちいち意味を考えてはキョロキョロして見よう見まねで動いたため、疲れた。

    「やっぱりヨガ、向かないかも」という気持ちでレッスンを終えた。


    ②俺の発音に、君が慣れるから大丈夫だよ

    私が会社員をしていたころの話。

    とあるプロジェクトで、中東エリア出身の方と、しばらく一緒にお仕事をする機会があった。

    担当者の方の英語の発音は、これまで聞いてきた中でもかなりアクセントが強い方で、聞き取りが難しかった。

    1対1でゆっくり話してもらう時はまだ良いが、一方的に長く説明をされるときなどは、ほとんど何を言っているかわからなかった。

    私は後追いでメールやチャットでフォローをしまくり、辻褄を合わせた。

    彼が来社し社内でプレゼンをしてくれた時には、全神経を集中させても、言っている内容は半分くらいしかわからなかった。

    彼がモニターに映し出す資料をつぶさに見て食らいつくが、一瞬でも目を離すと、何の話かわからなくなってしまう。

    まずい。どうしよう。

    と思っていると、

    「……ぽてぽた、質問はない?このまま、進めていいかな」

    と、たまに私に声をかけてくれる。

    私は変な汗を垂らしながら

    「ばっちりだよ」

    とか

    「気になった点は、メモしておくよ」

    とか、答えているようで答えていないような言葉で濁し、その場をつないだ。

    彼のプレゼンが終わり、プロジェクトメンバーがぞろぞろと会議室を出る。

    そこで、その中東の彼が私を振り返り、こう言った。


    「ぽてぽた、俺の英語が全然、聞き取れないんだろう」


    すっかり油断していた私は、思わず全力で「え?!」という顔をしてしまった。

    あわわ。あわわわわ。

    私が返す言葉を失っていると、彼は笑顔でこう言った。


    「みんな、最初はそうなんだ。

    俺の発音に、君が慣れるから大丈夫だよ」


    《え、そうなの?》

    もはや顔面でしか会話ができなくなった私が、顔面で聞く。

    「最近はアメリカでもよく仕事をするけれど、アメリカ人も、3〜4ヶ月もすれば俺の発音に慣れてくる。

    みんな7割くらいは、わかるようになったんじゃないかな」

    彼は余裕の笑みで、こう続けた。

    アメリカ人が、3〜4ヶ月かけて、7割程度の理解度になる。

    これを、どう受け止めたらいいんだろう。

    アメリカ国内でしか働いたことのないアメリカ人の場合は、確かに海外の英語の発音の聞き取りが苦手な人も多い。

    3〜4ヶ月かけて、言ってることが7割わかるようになる……?

    わからないまま、それでも私はすこし、安心した。

    「それは良かった。ありがとう」

    とりあえず、そう返した。


    あとあと私は、「あの時の彼の発言は、実は深かったのではないか」と思った。

    「自分に自信が持てない」ことでは世界トップ5には必ず入りそうな日本人が、このメンタリティを持てたら、強くない?


    俺が自分の発音を改善するんじゃないんだよ。

    聞く側が、慣れるんだ。

    俺の発音に。


    ③知られざる芋

    私はじゃがいもなのだが、実はさつまいもも好きだ。

    秋になるといろんな種類のさつまいもが食べたくなるし、スーパーの入り口にある石焼き芋は、ついよく買ってしまう。

    友人に、その話をしていたときのこと。

    私はなぜか、さつまいもの魅力について一生懸命に語り始めた。

    「特に、ねっとり系が好きだな。安納芋とか」

    と、私は言った。

    そのとき。

    スッと、友人の表情が消えた。

    友人はそのあと、困惑したような顔になり、

    「なんで、そんなモノが好きなの?」

    と聞きかれた。

    いやいや。「なんで」も何も。

    安納芋に嫌な思い出でも、あるのか?
    文化的に、何かまずい歴史や背景が、あるのだろうか。

    私は若干とまどいながらも、

    「安納芋、濃厚で、ねっとりして、美味しくない?
    ほら、干し芋にしても色もキレイで……」

    と、Amazonの商品リンクまで見せて安納芋をアピールした。

    すると友人の表情が、ふっと緩んだ。


    「なんだ、安納芋っていう名前のさつまいもがあるんだね。

    Unknown Imo (知られざる芋)って言ったのかと思ったよ。

    何を意味深なことを言い出すのかと、かまえちゃった」


    こればっかりは、深い意味は、まったくなかった。


    というか「知られざる芋が好き」って、どういう意味?


    * * *


    おはようございます。

    すっかり、じゃがいもとしての自意識が定着してきました。
    でおなじみの、ぽていとぽたあとです。

    『誰かしらに言われた深いかもしれない言葉集』、いかがでしたか。
    深いかもしれなかったでしょうか。

    少し前に、みちよさんの『こんなタイトルの記事が読みたい』企画に初参加してみたら、すごく楽しかったので、味を占めてしまいました。

    過去回を読み直し、これならできそうだ、というもので書いてみましたよ。

    そしたらみちよさんも、この記事の冒頭に「前回の味を占めて」って書いていましたよ。

    言葉の深読みなんて、考えすぎクラブの醍醐味ですねえ。


    ※記事内の描写について:ヨガに対して文句を言う意図はありません。あくまで特定のレッスンに関する個人の体験・感想です。


    🥔・🥔・🥔


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    ぽてぽたの「よしな、仕事!」じゃないですよ。「由無し事」です。


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