
シロクマ文芸部お題:『月を見る』
※はじめて参加します。お作法、おかしかったら突っ込んでください。
月を見る。
コンビニの帰り道。雨上がりの夜空に、ぶ厚い雲が重たげに流れていた。
雲が流れて、月が顔を見せた。
黄色い満月。
周囲がにじみ、色がついている。虹だ。
月の光で、虹が出ている。
夜の虹は、黒い夜空にキラキラと色を掃いたようだった。
どこか不気味で、おそろしい眺めだ。
虹のかかった平らな月は、黄色い穴のよう。引き込まれそうな引力がある。
ぶ厚い雲が瞼のように、瞬きをした。
いや、風に流れて、月を隠しただけだったけど。
地獄への入口のようなその光景に、ぶるっと背筋が寒くなった。
確かに、閻魔くんが活躍していそうな夜だ。
「うんこして寝よう」
わざと品のない言葉を口にして、意識を現実に引き戻した。
人の気配がした。
ふりむくと、マンションの隣の部屋の、OLさんがいた。
月の光を浴びて、彼女の髪がふわっと浮いて見える。
改めてみると、とても美人だった。
彼女は笑いをこらえるような顔をしていた。
聞かれた。
下品な言葉を。
「おやすみなさい」
そういって、彼女がマンションに入っていった。
月を見た。
恨めしい。でもおやすみなさいという言葉で、足元が軽くなった。
やっぱり、月に引き込まれそうな夜だった。