
トントン|きのこ書店🍄🟫平日短編note #真夜中の保健室
真夜中の保健室
いつもの巡回で保健室の前まで来ると、明かりがついていた。
おかしい。こんな時間に誰かいるなんて。
幽霊は恐る恐る扉を開けた。
ベッドで目を覚ました保健の先生と目が合った。
「す、すみません! 毎晩ここを使わせてもらっていて」
「毎晩?」
「はい。ここのベッドが落ち着くんです」
先生は少し笑った。
「今日は私が使っちゃったわね」
「いえ! 先生、具合が悪いの?」
「ちょっと熱があってね。横になったら寝ちゃったみたい」
「何かできること、ありませんか?」
「そうねえ。じゃあ、寝るまでそばにいてくれる?」
幽霊は嬉しそうに頷き、ベッドの横に移動した。
先生が目を閉じると、幽霊は布団の上から優しくトントンし始めた。
もちろん、先生に伝わることのないトントン。
「ありがとう。なんだか、よく眠れそう」
幽霊はニコッとして、今度は両手でトントンし始めた。
先生には伝わらないトントンが、2倍になった。