
お題で書きはじめるnote企画|「月を見る」
月を見る。
メニューを渡した彼女が、視線を落としたから。
「ナポリタンとアイスティーをお願いします。」
もうすぐ、その声が聞こえてくる。
月が見える。
彼の瞳に映って。
メニューで顔を隠しながら、上手目遣いで彼をみているから。
もうすぐ、私はこう言う。
「ナポリタンとアイスティーをお願いします。」
彼女が初めて店に来た時に、一目で好きになってしまった。
やがて、同じ大学に通っていることを知る。
図書館で彼女を見かけた時は、声をかけようか、ドキドキしていたのを覚えている。
結局声はかけられず、ただ、いつか視線が合わないかなと遠くから彼女をみているだけだった。
彼が給仕に現れた時、一目で好きになってしまった。
やがて同じ大学に通っていることを知る。
図書館で彼を見かけた時は、少し恥ずかしかった。声を掛けられたらどうしようと思いながら、声を掛けてくれないかなと、視線を合わせられるようにチラチラと彼をみているだけだった。
たまに視線が合うが声はかけられない。
友人経由で、彼女が、英米文学科だと聞いた。これだけでも大切な情報だ。
こちらをみてくれているのだろうけど、しっかりと目を合わせられない…声をかけるなんてとんでもない…
友人経由で、彼が、日本文学科だと聞いた。これだけでも大切な情報だ。
いつかきちんと想いを伝えなきゃ。
いつか想いを伝える時を見つけなきゃ。
「ナポリタンとアイスティーをください。」
「かしこまりました。」
と言って、目が合った。
思わず…
「…綺麗ですね…」
声が漏れてしまった。
「えっ?」
「あっ、ああ、月が綺麗ですね…」
彼は、日本文学専攻…思わず、聞いてしまった…
「も、もしかして…告白ですか?」
「そ…そう…漱石ですね…はは。」
「あ、ミートゥ…じゃなくて、やっぱり今日はミートソースにしてください。」
彼女は、英米文学専攻…ミートゥって「Me too」だったりして…
「仕切り直します!明日、図書館で…」
顔から火が吹き出しそうだ…
その日のミートソースは、しあわせの味がした。
こちらの企画に参加させて頂きました。
小牧さま
お題をありがとうございました。オチをつけない様にするのは、落ち着かない…んですけども。ちょっと無理やり話に言葉遊びを入れ込んでしまいました。毎週、楽しんで創作させてもらってます。ありがとうございます。
読んでいただいた皆様。そんな都合の良い…と思いますよね。でも1万人の中で1人でもほっこりしてもらえれば嬉しいです。(…まあ1万人に読んでもらえることはないんでしょうけど…)
物語を作るのは、言葉の選択とか、説明の省略とか、すごく難しく、勉強になります。
お題でオチを見つけて、オチのための話を作る三題噺ばかり作っていると。
楽しかった…ありがとうございました。