
R・ルージュ・ライダー No.1



R・ルージュ・ライダー 第1部 第1章
(ラウンジ・ラノベ・恋愛小説)
by Ryoji M.(リョウジ)
第1部 六本木
第1章 喫茶店での再会

とある日の…正午過ぎ。
東京。
六本木。
六本木交差点の喧騒から少し離れた、静寂が漂う老舗の喫茶店。
アンティークな調度品と仄暗い照明が作り出す空間は、表の激しい街の動きを完璧に遮断していた。
深い琥珀色の木製テーブルを挟んで、ローラは、優雅にコーヒー・カップへ手を伸ばした。
170センチを超える高身長と、引き締まりながらも豊かな女性らしいプロポーション。
洗練されたメイクとハーフ特有の鮮烈な造形美は、ただそこに座っているだけで店内中の視線を吸い寄せる存在感を放っている。
「…で?急に呼び出して、どうしたのチイ」
ローラは、柔らかな笑みを浮かべ、目の前に座る親友に問いかけた。
…チイ…同じ大学に通う2年生で、素朴さと愛らしさを残した小柄な少女だ。
だが、今日のチイは、どこかソワソワと周囲を気にしながら、アイス・ティーのグラスを両手で弄んでいる。
チイは、ゴクリと唾を飲み込むと、意を決したように身を乗り出し、声をひそめた。
「ねえ、ローラ…隠さなくてもいいよ。私、気づいちゃったんだから」
「気づいた? 何をかしら」
「ローラ、六本木の高級ラウンジで働いてるでしょ?…しかも、売上トップのラウンジ嬢として」
ローラの指先が、一瞬だけ止まった。
表向きは、しとやかで完璧な女子大学生。
だが、裏では、夜の六本木で一晩に巨額の金が動く高級ラウンジ『R・ルージュ』のトップ・キャスト。その秘密は、大学の友人たちには徹底して伏せていたはずだった。
「…急に何を言い出すかと思えば。どこでそんな噂を聞いてきたの?」
「噂じゃないよ! この前、六本木通りで黒塗りの高級車から降りてくるローラを見たの。ドレスを着てて、すっごく綺麗で…あの店の名前、確か『R・ルージュ』だよね? 調べちゃったんだから…」
チイの瞳は、探るような色を含みつつも、どこか興奮を隠しきれていない。ごまかしは効かないと悟ったローラは、小さく息を吐き出すと、綺麗な唇の端をわずかに持ち上げた。
「…目ざといのね、チイ。でも、あんまり大声で話す内容じゃないわよ」
「やっぱり! 本当だったんだ…!」
チイの表情が一気に華やいだ。その無邪気な反応に、ローラは、秘めた夜の顔を見抜かれた警戒感よりも、どこか胸の奥で小さな虫が騒ぐような予感を覚えていた。
「どうして急にそんなことを気にするの? 私は、ただ、自分のライフ・スタイルに合わせて働いているだけよ!」
「ううん、咎めたいわけじゃないの。ただ…ただね、ローラがすごく眩しく見えたから…」
チイは、少し照れたように俯きながらも、その瞳の奥には熱い眼差しが宿っていた。
まだ昼の光が残る喫茶店の中で、2人の会話は次第に夜の街の深い領域へと踏み込んでいくのだった。





To be continued.
※良いね!をいただけた作品のみ連載を続けます…莫大な時間をかけて作った作品です。良いね!をいただけるとありがたいです。
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