
漢文故事成語(七)鼎の軽重を問う
天子の位を奪おうとすること 『春秋左氏伝』
楚子伐陸渾之戎、遂至于洛、観兵于周境。定王使王孫満労楚子。楚子問鼎之 軽重。対曰、「在徳不在鼎、周徳雖衰、天命未改。鼎之軽重、未可問也。」
〔書き下し文〕
楚子陸渾の戎を伐ちて、遂に洛に至り、兵を周の境に観す。定王 王孫満をして楚子を労はしむ。楚子鼎の軽重を問ふ。対へて曰く、「徳に在りて鼎に在らず。周の徳衰へたりと雖も、天命未だ改まらず。鼎の軽重、未だ問ふべからざるなり。」と。
〔解釈〕
楚の荘王(楚子)は陸渾の戎を討って、そのままの勢いで洛陽までやって来た。(そして)周の国境に兵を示した。(周の)定王は王孫満という人物に楚子をねぎらわせた。楚子は周の鼎の重さはどのくらいかと聞いた。(王孫満は)答えて言う、「問題は徳の在り方にあるのであって、鼎が重いかどうかにあるのではありません。周の徳は衰えたとはいっても天命は未だ改まってはおりません。(我が周の徳こそが天子の徳であり、あなたの楚の国は未だ臣下たる国であります。)あなたはまだ鼎の軽重などを問うことなどできないのです。」と。
〔補説〕
鼎の大きさが国家の力を象徴する時代の話である。勢いに乗じて周の鼎の軽重を問う楚の荘王。しかし天子の王室たるプライドをもって反駁(はんばく)する王孫満。その語気は強い。五文字の後、四文字のリズムが続く。
なお、「未」の字は再読文字。「いまダ~ず。」と訓読する。
〔解释〕
楚国的庄王(楚子)讨伐了陆渾的戎人,然后顺势一直打到洛阳。(并且)在周国边境展示了兵力。(周的)定王派了一个叫王孙满的人去慰劳楚子。楚子问周的鼎有多重。(王孙满)回答说:“关键在于德行如何,而不是鼎有多重。周的德行虽然衰退,但天命还没有改变。(我们周的德行才是天子的德行,你们楚国还是臣属之国。)你还不能去问什么鼎重不重的问题。”
〔补充说明〕
这是一个鼎的大小象征国家力量的时代的故事。楚庄王趁势质问周的鼎的轻重。然而,王孙满以天子的王室自尊反驳。他的语气很强烈。五个字之后,接着是四个字的节奏。
另外,“未”字是重复读的字。读作“いまダ~ず”。