
短編小説 | マッチョ華道
ある老人が死んだ。
それから、
町中の草木が乱れ始めた。
街路樹は道路を塞ぎ、
蔦は家屋を覆い、
植え込みは雑草で溢れた。
調べてみると、
老人が町へ移り住む以前も
住民は草木の伐採に苦慮していたらしい。
老人の家から、
大量の園芸道具と手記が見つかった。
そこには、
町に生えるすべての植物について、
学者が目を剥くほど
緻密な観察記録が残されていた。
老人は生涯、
名乗らなかった。
作品も残さなかった。
自らを立てず、
ただ草花を立て続けた。
老人は花を生けなかった。
町を生けていた。
完
#マッチョ華道 #毎週ショートショートnote
🦆💬 ガァ
( ↓こちらの企画に参加させていただきました )
( ↓他のお題への参加作品はこちらから )
( ↓この作品のメイキングはこちらから )
( ↓全てのショートショートはこちらから )
( ↓泥旧百が気になった方はこちらから )