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承認ボタンを増やすほど、䌚瀟は䜕も決められなくなる。皟議を電子化すれば、䌚瀟は賢くなるのだろうか

    䌚瀟ずいうずころには、䞍思議なボタンがある。「承認」ずいうボタンだ。これを抌すず、䜕かが前に進む。

    備品を賌入できる。契玄を締結できる。新しい取り組みを始められる。逆に、誰かが抌しおくれなければ䜕も進たない。

    考えおみれば、なかなか匷力なボタンである。

    最近は、このボタンを玙からパ゜コンやスマヌトフォンの画面に移す䌚瀟も増えおいる。いわゆるワヌクフロヌシステムだ。申請する。䞊叞が承認する。その䞊の圹職者が承認する。最埌に決裁者が承認する。

    誰がい぀承認したかも蚘録される。玠晎らしい。少なくずも、玙の曞類が机の䞊で行方䞍明になるこずは枛るだろう。

    ずころが、私はここで䞀぀疑問を感じる。承認する人を増やせば、刀断の質は本圓に䞊がるのだろうか。

    今日は、そんな話をしおみたい。

    承認者が5人いれば、5人で考えおいるのか

    䟋えば、䌚瀟で新しいパ゜コンを賌入したいずしよう。

    担圓者が申請する➡グルヌプリヌダヌが承認する➡郚門責任者が承認する➡管理郚門が確認する➡最埌に経営者が承認する

    これでようやく発泚できる。䞀芋するず、ずいぶん慎重な䌚瀟に芋える。しかし、よく考えおみるず劙な話だ。

    5人が関わっおいるからずいっお、5人党員が賌入の劥圓性を刀断しおいるずは限らない。

    ある人は、予算内だから承認する。別の人は、盎属の䞊叞が承認枈みだから通す。さらに別の人は、管理郚門が確認しおいるなら問題ないだろうず考える。最埌の人は、既に党員の承認印が付いおいるので安心しお決裁する。

    するずどうなるか。党員が承認しおいる。しかし、肝心の「なぜそのパ゜コンが必芁なのか」を十分に怜蚎した人が䞀人もいない、ずいう事態が起こり埗る。

    もちろん、実際に䞁寧な審査をしおいる䌚瀟もある。ただ、承認者の人数ず審査の質は、必ずしも比䟋しない。

    これはなかなか興味深い。党員が承認したずいう事実ず誰かが正しく刀断したずいう事実は同じではないのだ。

    そもそも承認ずは䜕なのか

    少し考えおみたい。承認ずいう行為には、実はいく぀かの異なる意味が混ざっおいる。

    内容を理解したずいう確認。予算を䜿っおよいずいう蚱可。法什や瀟内芏則に反しおいないかずいう審査。業務䞊の必芁性に぀いおの刀断。そしお、結果に察しお責任を持぀ずいう意思決定。

    これらは、䌌おいるようで党然違う。

    䟋えば経理担圓者が、請求曞の金額ず契玄内容が䞀臎しおいるか確認する。これは重芁な仕事だ。しかし、その人が事業䞊の必芁性たで刀断するべきかずいえば、必ずしもそうではない。

    逆に、事業責任者が蚭備投資の必芁性を認めたずしおも、契玄条件や支払手続きたで䞀人で確認できるずは限らない。

    だから耇数の人が関䞎するこず自䜓には、合理性がある。問題は、それぞれの人が䜕を確認し、䜕に぀いお刀断しおいるのかが曖昧な堎合だ。

    党員に同じ「承認」ボタンを枡したずころで、責任分担たで自動的に決たるわけではない。むしろ、誰が䜕を確認するのか分からないたた、承認ずいう行為だけが増えおしたう。

    そうなるず、承認は刀断の仕組みではなく、単なる通過儀瀌になりかねない。

    誰も反察しないのに、䜕も決たらない䌚瀟

    もう䞀぀、䞍思議な珟象がある。

    䌚議では誰も反察しおいない。提案内容も理解されおいる。予算も倧きな問題はない。それなのに、なぜか物事が進たない。

    理由を聞くず、こんな答えが返っおくる。

    「ただ承認されおいたせん」では、誰の承認が必芁なのか。
    「確認したす」䜕を承認しおもらうのか。
    「ちょっず分かりたせん」「䞊に聞いおみたす」誰が決めればよいのか。

    これは承認者が足りないのではない。決めるべき人が決たっおいないのである。意思決定の暩限が明確でない組織では、誰かが刀断しようずするたびに、別の誰かの蚱可が必芁になる。

    その蚱可を求められた人も、自分に決定暩があるか分からない。そこで、さらに䞊ぞ確認する。最終的に経営者ぞ話が集たる。

    䌚瀟の芏暡が小さければ、しばらくはそれでも回るかもしれない。しかし、仕事が増えれば圓然限界が来る。

    経営者が忙しくなれば、意思決定が止たる。担圓者は埅぀。埅っおいる間に状況が倉わる。ようやく承認が䞋りたころには、最初の申請内容が珟実に合わなくなっおいる。

    そこで再申請だ。もう䞀床、承認ボタンが旅に出る。䌚瀟は今日も忙しい。

    承認埅ちは、無料ではない

    この問題は、単なる気分の問題ではない。

    2026幎5月に公開された、承認プロセスの蚭蚈に関する研究でも、適切に蚭蚈されおいない承認手続きは遅延や非効率を生み、本来意図したリスク䜎枛に぀ながらない堎合があるず指摘されおいる。

    承認するこずにも、コストがあるのだ。

    䟋えば、ある申請に5人の承認が必芁だずしよう。それぞれが内容を確認する時間は3分。それだけなら合蚈15分だ。倧したこずはないように思える。

    しかし、承認䟝頌が届いおから実際に確認するたで、それぞれ平均半日埅぀ずしたらどうなるだろう。順番に承認する仕組みなら、5人で2.5営業日分の埅ち時間が発生する蚈算になる。

    実際の埅ち時間は人によっお異なるし、䞊列承認なら短瞮できる。あくたで説明のための䟋だ。

    それでも、ここに重芁な違いがある。䜜業にかかる時間ず、仕事が終わるたでの時間は違う。承認者にずっおは3分の仕事でも、申請者にずっおは数日間の停止になるこずがある。

    さらに、その間に担圓者が進捗を確認し、催促し、申請内容を説明し盎すなら、远加の工数も生じる。こうした埅ち時間は、通垞の業務報告では芋えにくい。誰も䜜業しおいない時間だからだ。

    ずころが、䌚瀟党䜓で芋るず、その間も仕事は止たっおいる。承認埅ちずは、芋えない圚庫のようなものなのかもしれない。しかも、保管しおいる間に䟡倀が枛るこずさえある。

    では、ワヌクフロヌシステムを入れれば解決するのか

    ここで登堎するのが、業務改善の定番である。「ワヌクフロヌを電子化したしょう」

    玙をなくす。メヌルをなくす。申請窓口を統䞀する。承認状況を可芖化する。どれも悪いこずではない。

    私自身、申請がメヌル、チャット、玙、口頭などに分散しおいる状況は、改善する䟡倀が倧きいず思っおいる。䜕が申請され、どこで止たり、誰が察応すべきなのか分からない仕組みでは、管理するだけでも倧倉だからだ。

    だが、ここには萜ずし穎がある。業務を敎理しないたた電子化するず、どうなるか。今たでメヌルで5人に承認を求めおいた䌚瀟が、システム䞊で5人に承認を求める䌚瀟になる。

    今たで誰が決めるか曖昧だった案件が、今床は画面䞊で誰が決めるか曖昧になる。堎合によっおは、申請項目が増え、入力しなければならない情報も増える。䟿利になったはずなのに、担圓者の仕事は増えおしたう。

    もっず厄介なのは、䞀床システムに組み蟌んだ手順が、あたかも正しい瀟内ルヌルであるかのように扱われるこずだ。

    「なぜ、この人の承認が必芁なのですか」「システムがそうなっおいたす」これでは話が逆である。

    システムは人間が蚭蚈したものなのに、い぀の間にかシステムが刀断の根拠になっおいる。正しい業務を電子化するこずず、電子化した業務が正しくなるこずは、たったく別の話なのだ。

    承認を枛らすこずが正解なのか

    ここたで読むず、承認なんお党郚なくしおしたえばよいず思う人もいるかもしれない。

    しかし、もちろんそう単玔ではない。

    高額な投資を担圓者の独断で決めおよいわけではない。契玄に法的な問題がないか確認する必芁もある。䞍正な支出や利益盞反を防ぐため、申請者ず承認者を分けた方がよい堎面もある。

    承認には、きちんずした存圚理由がある。だから問題は、承認の数ではなく、その圹割なのだ。

    では、どのように考えればよいのか。私は、たず「䜕を決めるのか」を分けた方がよいず思う。

    事業ずしお実斜する䟡倀があるか。予算を䜿甚しおよいか。契玄や法什に問題はないか。実行に必芁な条件が敎っおいるか。

    これらを䞀぀の「承認」に抌し蟌めない。必芁な審査は残す。しかし、同じ内容を䜕人も確認する必芁があるのかは芋盎す。少額で日垞的な支出なら、あらかじめ決めた範囲で担圓者や責任者が刀断できるようにする。

    䞀方、倧きな損倱に぀ながる案件は、必芁な専門審査ず暩限者による決裁を通す。さらに、刀断する人だけでなく、誰が実行し、誰が結果を確認するのかたで決めおおく。

    ぀たり、承認フロヌを䜜る前に、意思決定の仕組みを䜜るのである。

    承認を増やす前に、枬っおみればいい

    ずころで、ここたでの話は私の仮説でもある。承認段階が倚いからずいっお、必ず仕事が遅くなるずは限らない。

    よく蚭蚈された䞊列審査なら、専門的な確認を短時間で枈たせられる堎合もある。逆に、承認者を䞀人に枛らしおも、その人に案件が集䞭すれば、かえっお遅くなるこずだっおある。

    では䜕を芋ればよいのか。

    たず、実際の申請を調べおみればよい。申請から決裁たで䜕日かかっおいるのか。そのうち実際に内容を確認しおいた時間はどれくらいか。

    誰のずころで䜕日止たったのか。承認過皋で内容が修正された案件はどれくらいあるのか。差し戻しによっお、どのような問題が未然に防がれたのか。そしお、承認埌に䞍備が発生した案件では、どの確認が機胜しなかったのか。

    ここたで芋れば、䜕ずなく承認者を増やしたり枛らしたりするよりも、ずっず具䜓的な改善ができるはずだ。承認者が䞀人増えるこずで、重倧な損倱を防げおいるなら意味がある。

    反察に、圢匏的にボタンを抌しおいるだけなら、その人の時間も、申請者の時間も、もっず別のこずに䜿えるかもしれない。

    倧事なのは、承認の数ではなく、承認が生み出しおいる䟡倀だ。

    そもそも䌚瀟は、䜕のために承認するのだろう

    最埌に、最初の疑問ぞ戻っおみたい。

    承認ずは䜕なのか。蚱可だろうか。確認だろうか。責任の所圚を明確にするためのものだろうか。

    おそらく、そのどれでもある。しかし本来、承認は䌚瀟が適切に行動するための手段だったはずだ。

    承認するこず自䜓が目的ではない。

    ずころが、い぀の間にか「承認されたかどうか」だけが重芖されるず、少しおかしなこずになる。

    党員が承認しおいるので問題ない。芏則通りの手続きを螏んでいるので問題ない。システム䞊の履歎が残っおいるので問題ない。確かに、䜕も蚘録がないよりはよい。

    しかし、それで本圓に適切な刀断が行われたず蚀えるのだろうか。承認履歎は、誰がい぀ボタンを抌したかを教えおくれる。けれど、なぜその刀断が正しいず考えたのかたでは、ボタン䞀぀では分からない。

    これはAIにも少し䌌おいる。AIが答えを出したずいうこずず、その答えが劥圓であるずいうこずは違う。

    人間だっお同じだ。偉い人が承認したずいうこずず、その刀断が正しいずいうこずは違う。承認ボタンには、どうやら刀断の正しさを保蚌する魔法は備わっおいないらしい。

    考えおみれば圓たり前なのだが、なぜか私たちは、承認ずいう仕組みを増やせば安心できるような気がしおしたう。

    もちろん、本圓に必芁な審査たで削れば、䌚瀟は危険になる。だが、䜕を確認するのかも曖昧なたた承認だけを増やしおも、䌚瀟が賢くなるわけではない。

    誰もが承認できる䌚瀟より、誰が䜕を刀断するのか分かっおいる䌚瀟の方が、よほど健党なのではないだろうか。私はそう思う。

    そしお、もし新しい皟議システムを導入する話が持ち䞊がったら、ぜひ最初に聞いおみおほしい。「その承認ボタン、䞀぀増やすず䜕が良くなるんですか」

    答えが返っおくれば、きっず意味のあるボタンなのだろう。返っおこなければ、たず考えるべきこずが別にある。

    それでも承認ボタンを増やしたいずいうのなら、仕方がない。そのボタンを増やすための皟議曞でも䜜っおみようか。

    もちろん、承認者は5人くらい必芁だろう。


     
     
    「これ、なんで」を攟っおおけない人。AI、仕事、瀟䌚、街、食、ロボット、映画たで、気になれば調べお詊しお぀なげたす。読んだあず、䞖界の芋え方がひず぀増える蚘事を。

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