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右椎骨動脈解離 #3 「クリニックへ行く②」

    「これは、40代の私が『椎骨動脈解離』で生死の境を彷徨った時の記録である」


    【実録】40代。ただの二日酔いだと思っていた頭痛は、「右椎骨動脈解離」だった。頭痛レベル9.5。ついに病名が判明する。


    5月7日 8:30

    「だいりんさーん、診察室へどうぞー」

    おー 早ぇ……

    ありがたい……。おじいさんやおばあさんがいっぱい待っているのに……。すみません……。


    昔から人の雰囲気には敏感な方だ。

    診察室へ入った瞬間、

    この先生とは少し感覚が違うなと思った。

    (あ、この医者 こっち向きではないな…)

    「5月4日から頭痛がひどくて、側頭部と目の奥から後頭部へかけて激しい痛みがあります。背中も何かモヤモヤするような気もします」

    「じゃあすぐMRIだ」

    5月7日 8:40

    MRI室に行く。


    ………。


    長い…。


    体を支えておくのがキビしい……。

    何か意識が朦朧としてきた。

    耳も聞きにくいような気もする。



    5月7日 9:00

    「だいりんさーん。どうぞー」 ようやく呼ばれた。

    ここでようやく、 「まずは、助かった」と思った。

    頭を固定され、説明を受けるが、頭に入ってこない。

    おそらく動くなよ、と言われているのだろうが、もう動ける力がないのだ。

    そして、機械の中に入っていく。 MRIは人生で2回目。 固定されて機械が動くとまさに「棺桶に入った」的感覚になる。

    ここで急に、去年のお盆に、結婚指輪がとれなくなっていたのを、「いつMRIに入るか分からないから取ろう」ということで、さおりんと石鹸をつけながら薬指をヒリヒリさせながら、1時間もかけて取ったことを思い出した。


    ちょうどその日はおじいさんの命日で、(あーまだ、ご先祖様に守られてるんだなあ)と思い、ご先祖様に感謝をした。

    こーやって最後は焼かれるんだろうなあ、と思いながら目を閉じる。

    音がうるさいという感覚はほぼない。意識レベルがだいぶ下がっているから。


    ガンガンガン コンコンコン バインバインバイン ガガガガガガ

    意識がなくなり、寝落ちしてしまった。

    きっと昨夜も頭痛で寝不足だったんだろう。というかこの数日はそうだったのだろう。のび太君の勢いで寝落ちしてしまったのだ…。


    「はーい 終わりましたー。廊下で待っててくださーい」


    あ、おお、寝てたか…。


    「ありがとうございました。」

    自分の面倒を見てくれた人にはちゃんとお礼するのが流儀だ。

    お金を払おうが払わまいがは関係ない。感謝の気持ちを失ってはいけないのだ。 ……。


    激痛の頭を手で保持しながらMRIからようやく降りた。




    そして診察室に呼ばれる。


    5月7日 9:45

    「だいりんさん、まずね、椎骨、首の骨なんだけど、その中を通っている動脈があって、それを椎骨動脈と言うんだけど、それがね人間は大きい血管が4本脳に行ってて、椎骨動脈は2本、だいりんさんはそのうちの右側1本の血管に解離、血管が剥離しています。(画像を見ながら)ここ、膨らんでるでしょ。」

    (え、……。ヤバいやつだよねこれ…。)

    「んで、この血管は3層構造になっていて、今一番内側の血管が裂けている状態です。」

    (まじか……。裂けて……る……。動脈 裂けてる…。)

    「(手書きで絵を書きながら説明され)一番外側の3層目が裂けると、くも膜下出血で内側の裂けたところが血管をふさげば脳梗塞になります。お笑い芸人の千鳥のノブさんが数年前になったやつです。今は内側の1層目ね。」

    (ノブ?千鳥?大悟? 
    どっちか考えたくない。
    ゴチに出てたっけ?

     ということは、
    脳内には出血してないし、
    血管も塞いでいないから
    まだ大丈夫ってことか?…)

    「この状態は良くない状態です。んで、さっき背中に違和感があるって言ってたでしょ。もしかすると血管の破片が心臓に行ってるんであれば、心筋梗塞になる。その可能性もないとは言えない。この街で対応できるのは市民病院か日赤病院しかないです。どうされますか?自宅に近い市民病院にしますか?」

    「(全ての思考が止まりかかっている中)行かなきゃいけないんですね?」と、か細い声で尋ねると、

    「それはだいりんさんに任せます。」

    (出たー 全ての責任はお前次第だ的コメント……)

    「どうしたほうがいいと思いますか?」

    「行けば心臓のほうも調べてくれるので、紹介状は書きますよ」

    (ああ、この先生の手には負えない案件なんだな……)

    (だったら市民病院へ行くしかないか……)

    「じゃあ市民病院に行きます。よろしくお願いします」

    (最初っから今すぐ行けと言ってくれればいいのに…)

    「車の運転はだめだから。家の人呼ぶかタクシーで行くかだからね」

    「はい。わかりました。先生、この頭痛なんとかなりませんかね」

    「じゃあ、わたしのこれあげますよ」

    そう言って先生は、机の下からカロナールを取り出した。頭痛レベル9.5の私には、それがちょっとしたプレゼントのように見えた。

    「どうもありがとうございました」

    診断され、頭痛からなのか病名を聞いたかなのか分からないが、フラフラしながら退室して、すぐにカロナールを飲んで待合室で待った。



    診断名:右椎骨動脈解離

    患者名:だいりん48歳男性




    【時系列】
    5月3日  大好きな仲間たちと
         カラオケに行く。  

    5月4日  二日酔いだと思われる。
         激しい側頭部の痛みと
         眼球から後頭部への
         刺さるような痛みが来る。

    5月5日  いまだ三日酔いだと思われる。
         頭痛レベル5

    5月6日朝 ユビーで検索。
         救急へ行けとのこと。
         頭痛レベル6

    5月6日昼 頭痛レベル7

    5月6日夜 頭痛レベル8

    5月7日 5:30 頭痛レベル8.5

    5月7日 7:15 仕事へ行く。頭痛レベル9

    5月7日 7:45 クリニックへ行く。
           頭痛レベル9

    5月7日 8:00 クリニックに到着。
           頭痛レベル9.5

    5月7日 8:30 クリニックで受診。
           頭痛レベル9.5

    5月7日 9:00 MRIに入る。
           頭痛レベル9.5

    5月7日 9:45 「右椎骨動脈解離」
           と診断される。
           頭痛レベル9.5


    椎骨動脈解離の体験記はこちら

    私は椎骨動脈解離で2ヶ月の療養を経験しました。発症から診断、入院、療養までの記録をシリーズとして残しています。
    もし今、
    身体からのサインに戸惑っている方がいたら、
    こちらも参考になるかもしれません。


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    人は急には変われない。   でも、安心できる場所があると、少し本当の自分へ戻れる。 疲れた日に、少し息を抜けるような居場所を作りたいと思ってます。 Amazon Kindle著作:「夜の底で見失った心を取り戻す」他2本

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