メインコンテンツへスキップ
見出し画像

Spotifyは掘る、Apple Musicは流す:2つ契約して分かった使い分け

    80年代に青春時代を過ごした皆さん、お元気ですか。私は相変わらず音楽が好きで、聴き続けています。

    2022年2月から4年半、SpotifyとApple Musicの両方にお金を払っています。iPhoneを使っているので、Apple Musicだけでいいのでは、と思うこともあります。それでもSpotifyをやめないのは、レコメンドが優れていると感じることが多いからです。

    その感覚はデータで裏付けられるのか。2つのサービスで実際に何をしているのかを、同じ物差しで比べてみました。Apple MusicとSpotifyのどちらにしようか迷っている人の参考になればと思います。

    結論から書くと、今年(2026年1〜8月)は、初めて聴く曲の割合がSpotifyで37%、Apple Musicで17%でした。Apple Musicは再生の8割が、アルゴリズムが選ぶ「ステーション」です。Spotifyで探し、Apple Musicには任せる、という分担になっていました。

    ※集計と本文の大半はAIが行い、私は指示と事実確認をしました。比べたのは、両方に課金している2022年2月〜2026年9月の30秒以上の再生です。

    この記事でわかること

    • Apple Musicが「アルバムを聴く場所」から「ステーションに任せる場所」に変わったこと

    • 新しい曲に出会う割合で、2つのサービスがはっきり分かれたのは今年だったこと

    • 見つけた曲は、見つけた側のサービスで聴き続けていたこと

    • 「邦楽はApple Musicに残った」という最初の分析が、表記のせいで間違っていたこと

    • 分担のきっかけはApple Musicの画面の変化で、時間帯や端末ではなかったこと

    • どちらにしようか迷っている人は、何を基準に選べばいいか

    4年半、2つ払っている

    • 月額:Spotify 1,080円/Apple Music 1,480円→1,680円→1,980円(ファミリープラン)

    • 4年半の料金:Spotify 60,480円/Apple Music 92,380円

    • 聴いた時間:Spotify 1,732時間/Apple Music 884時間

    • 1時間あたり:Spotify 35円/Apple Music 104円

    • 1回の再生あたり:Spotify 1.87円/Apple Music 5.31円

    時間ではSpotifyが倍、料金あたりではSpotifyが3倍お得です。ただ、Apple Musicはファミリープランで家族も使っているので、私1人の分だけで割るのは不公平です。それを差し引いても、聴く量の中心はSpotifyでした。

    そもそも、CD時代に年間5万〜10万円を当たり前に使っていた身としては、月千円台のサブスクは安い、安すぎると感じます。今の料金で2つ合わせても年36,720円(Spotify 12,960円+Apple Musicファミリー 23,760円)で、CD時代の1年分に届きません。2つ払うかどうかは、お金より「2つ使い分ける意味があるか」で決めていいと思っています。

    1. Apple Musicは「流す」場所になった

    Apple Musicの再生を、何から再生したかで分けました。

    • 2022:アルバム 55%/プレイリスト 0%/ステーション 0%/ライブラリ・その他 45%

    • 2023:アルバム 43%/プレイリスト 30%/ステーション 6%/ライブラリ・その他 20%

    • 2024:アルバム 32%/プレイリスト 53%/ステーション 10%/ライブラリ・その他 5%

    • 2025:アルバム 15%/プレイリスト 20%/ステーション 62%/ライブラリ・その他 3%

    • 2026:アルバム 7%/プレイリスト 10%/ステーション 80%/ライブラリ・その他 3%

    2022年は半分以上がアルバムでした。アルバムを頭から聴く場所だったのです。それが2025年に一変し、今年は8割がステーションです。ステーションは、好みに合わせてアルゴリズムが曲を選び、止めるまで流れ続ける機能です。

    任せるようになってから、聴き方も変わりました。スキップ率は2023年の33%から、今年は8%まで下がっています。選ばれた曲を、そのまま聴いているということです。

    2. 新しい曲に出会うのはSpotify

    その曲を、iTunes時代も含めて生まれて初めて再生した回を「初聴」と数え、再生に占める割合を出しました。

    • 2022:Spotify 32%/Apple Music 21%

    • 2023:Spotify 27%/Apple Music 28%

    • 2024:Spotify 24%/Apple Music 29%

    • 2025:Spotify 25%/Apple Music 26%

    • 2026(1〜8月):Spotify 37%/Apple Music 17%

    意外なことに、2023〜25年はほとんど差がありませんでした。はっきり分かれたのは今年です。Spotifyは再生の3分の1以上が初めての曲で、Apple Musicは6分の1でした。

    Apple Musicのステーションは、新しい曲を勧めてくれるようでいて、実際には知っている曲が多めです。ステーションで流れた曲のうち初聴は22%で、アルバムから聴いた場合(28%)より低くなっています。好みに合わせる仕組みなので、好きだとわかっている曲が戻ってくるのでしょう。

    一方のSpotifyも、1曲ずつ選んで聴いているわけではありません。今年の再生の85%は、前の曲が終わって次に進んだものです。自分で曲を選んだ再生は7%しかありません。違いは流しているプレイリストの中身で、Spotifyのほうには知らない曲が多く入っています。

    聴く相手の散らばり方にも差が出ています。今年、上位10組が再生に占める割合は、Apple Musicの20%に対してSpotifyは11%でした。

    3. 見つけた曲は、見つけた側で聴き続ける

    2022年2月以降に初めて聴いた曲が、その後どちらのサービスで聴かれたかを追いました。

    • Spotifyで見つけた9,422曲:2回目以降の再生はSpotifyで8,171回、Apple Musicで458回

    • Apple Musicで見つけた4,457曲:2回目以降の再生はApple Musicで3,100回、Spotifyで482回

    見つけた曲は、9割前後が見つけた側のサービスで聴き続けられていました。2つのサービスの間で、曲はほとんど行き来していません。2回以上聴いた曲の割合は、Spotifyで見つけた曲が34%、Apple Musicで見つけた曲が29%でした。

    4. なぜこう分かれたのか

    最初は、聴く時間や端末で分けているのだろうと考えていました。平日の夜はSpotify、週末に家でHomePodから流すのはApple Music、という具合です。ところが、データはそうなっていませんでした。

    • 2023年は、どちらのサービスも平日の夜が中心でした(Apple Music 49%、Spotify 76%)

    • 2026年1〜8月は、どちらも「週末の日中」と「平日の夜」が約3割ずつで、差はほとんどありません

    • Apple Musicのステーション再生の85%はiPhoneからで、HomePodやiPadはほとんど使っていません

    分担が生まれた順番は、次のとおりでした。

    1. きっかけはApple Musicの画面:2024年10月、iPhoneのOSを18に上げた月から、再生の起点が「今すぐ聴く」から「ホーム」に変わりました。同じ月からステーションが増え始め、2025年3月以降は毎月5〜10割を占めています。ステーション再生の6割弱は、ホーム画面とウィジェットから始まっていました

    2. 任せるうちに、知っている曲が返ってくるようになった:ステーションで流れた曲のうち初聴は、2024年7〜9月の54%から、今年は15%前後まで下がりました。スキップ率も43%(2024年4〜6月)から3%(2026年7〜9月)に下がっています

    3. Spotifyはシャッフルをやめた:2025年のSpotifyは再生の5割強がシャッフルで、シャッフルで流れた曲の84%は聴いたことのある曲でした。今年はシャッフルを平均3割弱(2〜3月は1割)に減らし、知らない曲が入ったプレイリストを頭から流すようになりました。初聴の割合が4割前後に上がったのはそこからです

    4. 出会いの総量は変わらず、場所が移った:初めての曲を聴いた時間のうちSpotifyの分は、2025年後半の54%から、2026年前半は86%になりました。合計の時間はほぼ同じです

    Apple Musicが先に「任せる」場所になり、そこで減った新しい曲との出会いを、あとからSpotifyが引き受けた、という順番です。

    5. アーティストの分担

    2022年2月以降に合計5時間以上聴いた60組を、どちらで聴いたかで分けました。

    • 両方のサービスで1時間以上聴いた組:48組

    • Spotifyでほぼ専用(9割以上):フィッシュマンズ、電気グルーヴ、モーチーバ、スティーリー・ダン、ギル・スコット=ヘロン、アレステッド・ディベロップメント、バハマ・ソウル・クラブ、ゆらゆら帝国、サウンド・オブ・ステレオ、アジムス、ファットボーイ・スリム

    • Apple Musicに寄っている組:ビーチ・ボーイズ、リトル・シムズ(いずれも8割弱)

    Spotifyにはほぼ専用の組が11組あるのに、Apple Musicには9割を超える組が1組もありません。Spotifyで掘り当てたものはSpotifyに残り、Apple Musicでは両方で聴く定番が流れている、という形です。

    6. 「邦楽はApple Musicに残った」は間違いだった

    実は最初の分析では、「邦楽はApple Musicに残り、Spotifyはほぼ洋楽専用になった」と結論していました。邦楽の割合が、Apple Musicで19%、Spotifyで7%と出たからです。

    ところが、これは表記の違いによるものでした。Apple Musicは日本向けに、外国のアーティスト名をカタカナで表示することがあります(「エラ・フィッツジェラルド」など)。一方のSpotifyは、日本のアーティスト名をローマ字で持っていることが多い(「SCHA DARA PARR」「Akina Nakamori」など)。日本語の文字が含まれるかどうかで判定すると、Apple Musicの邦楽は多めに、Spotifyの邦楽は少なめに数えられてしまいます。

    日本のアーティストを名寄せしてから数え直すと、邦楽の割合はApple Music 6.2%、Spotify 8.3%でした。むしろSpotifyのほうが少し多い。スチャダラパーも中森明菜も、両方のサービスで聴いていました(スチャダラパーはSpotify 24時間・Apple Music 11時間、中森明菜は20時間・10時間)。

    7. 結論:迷っている人へ

    私の場合、Spotifyは新しい曲を探す場所、Apple Musicはステーションに任せて流す場所でした。今年はSpotifyの再生の37%が初めての曲で、見つけた曲もSpotifyで聴き続けています。Apple Musicは再生の8割をアルゴリズムが選び、スキップはほとんどしていません。

    「Spotifyのレコメンドが優れている」という実感については、データで言えるのはここまでです。Apple Musicのステーションは、好みに合わせるぶん知っている曲を多く返してくる(初聴は15%前後)。Spotifyで流しているプレイリストには、知らない曲が多く入っている(初聴は4割前後)。ただし、Spotifyで流していたのがSpotifyのアルゴリズムが作ったプレイリストか、人が作ったプレイリストかは記録に残っていません。アルゴリズムそのものの優劣までは、言い切れませんでした。

    そのうえで、どちらにしようか迷っている人には、次のように考えるのがいいと思います。

    • 知っている曲や好みに近い曲を、気持ちよく流し続けたい:Apple Musicで足ります。iPhoneやHomePodとのつながりもよく、ファミリープランで家族とまとめられます。ステーションに任せれば、スキップもほとんどいりません

    • 知らない曲に出会いたい:Spotifyです。私の今年のデータでは、初めての曲に出会う割合がApple Musicの2倍以上でした

    • 両方:今の料金で年36,720円です。役割が分かれていれば二重払いではありません。見つけた曲はサービスの間をほとんど行き来しないので、片方に絞ると、その側で起きていた出会いがそのまま消えます

    CD時代を知る身からすると、月千円台でこれだけ聴けて、知らない曲にまで出会えるのは、やはり安すぎると思います。


    集計メモ

    • 対象:Spotifyの拡張再生履歴とApple Musicの再生履歴の、2022年2月〜2026年9月の30秒以上の再生。Spotifyは2022年1月が無料トライアルのため、有料期間に合わせて2月からにしました

    • 「初聴」は、アーティスト名と曲名が一致する曲を、Spotify・Apple Music・iTunesライブラリ(再生記録のある曲)のどこでも初めて再生した回です。同じ曲の別録音や、表記が大きく違う曲は別の曲として数えている可能性があります

    • 2026年は9月の再生に、プレイリストを試しに作った週の分が含まれるため、比較は1〜8月で行いました(9月を含めてもSpotify 37%・Apple Music 17%で、ほぼ同じです)

    • Apple Musicの再生元は、記録上の「Container Origin Type」で分けました。ステーションにはパーソナル・ステーションのほか、曲やアーティストから始めるステーションを含みます

    • 4章の「きっかけ」は、Apple Musicの再生記録に残る再生の起点(Feature Name)と端末のOSのバージョン、Spotifyのシャッフルの記録から読み取りました。画面変更とステーション増加は同じ月に起きていますが、因果まで記録で証明できるわけではありません

    • 料金はSpotifyが56ヶ月分、Apple Musicは同じ期間のファミリープランの月額の合計です。Apple Musicの再生は私のApple IDの分だけで、家族の再生は含みません

    • 邦楽の判定は、アーティスト名か曲名にひらがな・漢字を含むもの、またはローマ字・カタカナ表記の日本のアーティスト(約50組を名寄せ)です

    • iTunesライブラリに混ざっていた自分以外の再生は除いています

    あなたへのおすすめ