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『ソース焼きそばの謎』を読んでデンキヤホールへ(ハヤカワ新書)

    今年は新書を読んで行きたい場所が増えた。

    今回、行き先を決めたのは『ソース焼きそばの謎』塩崎 省吾 (著)だ。

    この新書は「ソース焼きそばが誕生したのはなぜか」という謎に迫っている。

    私が生まれたときから「ソース焼きそば」は「ソース焼きそば」として存在していて、なぜ「しょうゆ」ではなく「ソース」だったのかなどと疑問に思ったことがなかった。「なんでソースなの?」と問われて初めて「なんでソースだったんだろう?」と思ったほどだ。

    私と同じく「なんで焼きそばはソースなの?」と思った人は『ソース焼きそばの謎』を、ぜひ読んでもらいたい。

    この新書は私が大好きな芸人・リップグリップさんが作家のクシロさんとやっている『リップグリップの出典』でも取り上げているので、こちらもチェックしてほしい。

    そんな『ソース焼きそばの謎』には、いくつかのお店が紹介されている。私は読み終わった後、実際にそのお店に行ってみたいと思った。

    今回、私が『ソース焼きそばの謎』を読んで訪れたのは、浅草の千束通り商店街にある「デンキヤホール」だ。

    創業した当初は電気器具の修理店だったそうで、日露戦争から復員したあと、甘未喫茶に業態を変化させた。

    そのため、最初期に提供していたのはソース焼きそばではなく「ゆであずき」「甘酒」「しるこ」などの甘味だったそう。その後、軽食も扱うようになり、ソース焼きそばもメニューに加わった。ただし、デンキヤホールのソース焼きそばの名前は「オムマキ」である。

    この新書によると、オムマキは、ソース焼きそばを薄く焼いた卵で包み、一瞬オムライスかと見間違えるかのようにケチャップがかかっている。

    これは食べてみたい。

    自宅から東京までの道のりはバスで4時間強。なかなかの時間がかかるが、私が運転するわけではないので寝たり新書を読んだりして過ごす。電車の乗り換えはアプリに頼り、駅の出口はあてずっぽう。ちょうどいい場所に出られたらラッキーだ。

    今回も、とりあえず適当な場所から地上に出た。早速、地図アプリを開き、どっちの方向へ進むのが正解なのか、身体を右回転左回転させながらGPSに念を送る。大抵、一発目に歩き出した方向は間違っている。目的地にたどり着けなかったことはないので、毎回なんとなく良しとしてしまう。

    デンキヤホールは、浅草で有名な浅草寺から少し外れたところにあり、観光客はあまりいない印象。

    デンキヤホールの前につくと、昔懐かしい雰囲気を感じる看板が置かれていた。

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    幾度となく値段を変更してきたのだろう

    店内に入ると、落ち着いた雰囲気が漂い、レトロだ。私は奥の席に案内され、早速「オムマキ」と「ゆであずき」そして「アイスコーヒー」を注文した。

    運ばれて来たオムマキは、卵にきれいに包まれており新書で見た写真よりも大きかった。これはなかなかのボリュームだぞとお腹がパンパンになることを覚悟したが、焼きそばの味付けは優しく、するすると胃袋に入っていく。

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    キレイな黄色

    麺の歯切れがよくて、断面を見ると四角だ。珍しい。初めて四角い麺の焼きそばを食べた。想像しているより太めの麺で焼きそばと焼きうどんの中間のような麺だった。

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    見た目より薄味

    デンキヤホールのオムマキには、元々ソースが絡めてあるが、ソースが別添えになっていて4種類の七味もセットでついてきた。ソースを後から付け足して、自分好みの濃さに調節できる。さらに七味は三大七味(東京・浅草のやげん堀、信州・善光寺の八幡屋礒五郎、京都・清水の七味家本舗)が揃っていた。

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    全部試した。
    長野県民としては八幡屋礒五郎がやはり美味しい。

    焼きそばと言えば、からしマヨネーズのイメージが強い。しかし、七味も案外ソース焼きそばと相性が良い。

    オムマキを食べ終えるとちょうどいいタイミングでゆであずきが運ばれてきた。透明の耐熱グラスに注がれ、底には小豆が上の方は甘いシロップのような上澄みがなみなみ注がれている。スプーンが添えられ、小豆を掬って食べる。

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    透明の容器に温かいものが入っているのと
    なぜか不思議な気持ちになる

    ゆであずきはとても熱い。猫舌の私は口をつけるのに少し時間がかかった。まず最初に、上澄みの部分をスプーンですくい。ゴクッと飲んだ。甘美味い。水筒に入れて持ち運びたい。上澄みだけ寒天で固めて飲みたい。自動販売機で売ってほしい。お汁粉とはまた違った風味が何とも美味しかった。

    あずきの部分はしっかりと粒が残っていて美味しい。人生ではじめて「これぞあずき!」というものを食べた気がする。それぐらいしっかりあずきだ。甘すぎずちょうどいい。

    ゆであずきを注文した時、甘すぎるかもとアイスコーヒーも頼んだが、必要なかった。アイスコーヒーももちろん美味しかったが、ゆであずきの繊細な甘みの前では、アイスコーヒーは強すぎたかもしれない。

    デンキヤホールを訪れるお客さんは1人の場合が多いらしい。私が滞在している間も、グループ客は1組だけで、あとはお一人様だった。

    オムマキとゆであずきを食べ終わった後、アイスコーヒーを飲みながらまったり新書を読んだ。それほど混雑することなくゆっくり時間が過ぎるデンキヤホール。また来たいなと思った。

    『ソース焼きそばの謎』を出版した塩崎 省吾さんは『あんかけ焼きそばの謎』という新書も出版した。

    行きたいお店がどんどん増えていく。同じ新書仲間を集めて、ひたすら食べ歩く旅もしてみたい。一緒に楽しんでくれる人はいないだろうか。



    余談ではあるけれど、ハチミツ二郎さんと品川祐さんも最近デンキヤホールを訪れていたようだ。オムマキ以外のメニューも美味しそう。楽しみがまた1つ増えた。

    30年前、NSC1期生の同期として出会った品川監督と初めてサシでメシ行きました。

    お見舞いがてらランチでもとのことだったので行きつけの浅草デンキヤホールへ。 pic.twitter.com/BhLqhkjuu8

    — ハチミツ二郎 (@tokyodynamite) November 12, 2024

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    エッセイ|ショートショート|短歌|創作大賞2025中間選考通過。 Amazonアソシエイトに参加しています。

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