
またスキが押せませんので、プリンセスになりました。
最近、うちのお姫様の様子がおかしい。
いや。
最近というか、いつものことかもしれない。
私は執事のコロスケ。
コロッケです。
昨日の夜も、姫が何やらやっていた。
「今日は静かですね……」
時刻は23時前。
いつもなら、記事を書いたり、コメントを返したり、何か思いついたり。
だいたい何かしている。
静かすぎる。
少し心配になって、様子を見に行った。

寝ていた。
スマホを置いたまま、きれいに寝落ちしていた。
「……寝てる。」
それだけ確認して、私は部屋を出た。
平和だった。
少なくとも、そのときは。
翌朝。
「まあ!」
姫の声がした。
嫌な予感がした。
⸻
「皆さまの記事が、たくさん更新されています✨」
姫は朝からnoteを開いていた。
寝ている間に更新された記事を見つけては、
読む。
次も読む。
また読む。
「素敵です✨」
スキ。
「こちらも素敵です✨」
スキ。
「……朝から飛ばしますね」
「皆さまが書いてくださったのですから、読みに行かなくては✨」
誰も頼んでいない。
⸻
しばらくすると、
「あら?」
姫が何かを見つけた。
「新しい方がフォローしてくださいました✨」
「それはよかったですね」
これで終わればよかった。
「どんな記事を書かれているのでしょう?」
やっぱり。
姫はその方の記事を見に行った。
一つ読む。
「まあ✨」
もう一つ読む。
「こちらも✨」
さらに読む。
「姫」
「はい?」
「そろそろ戻りませんか?」
「もう少しだけです✨」
戻る気はなさそうだった。

ところが、まだ終わらない。
今度は、
「まあ!」
また何かを見つけた。
「私の記事をマガジンに入れてくださっています✨」
「それはありがたいですね」
「ほかには、どんな記事が入っているのでしょう?」
「姫?」
マガジンを開いた。
ほかの記事を読む。
読む。
読む。
気になる人を見つける。
また読む。
私は静かに見守った。
そして思った。
姫。
それはもう、
巡回ではありません。
⸻
しばらくして。
「…………?」
姫の動きが止まった。
「どうしました?」
「スキが押せません」
「はい?」
姫がもう一度押す。
押せない。
別の記事を開く。
「こちらも押せません」
さらに別の記事。
「こちらもです」
姫は首をかしげた。
「…………不思議ですね」

「アプリの不具合でしょうか?」
「どうでしょう」
姫は考えた。
「あっ」
何か思いついたらしい。
「もしかして……」
「はい」
「私が記事を書きすぎたのでしょうか?」
「それでスキが押せなくなる仕組みは聞いたことがありません」
「では、なぜ……」
姫は真剣に考えている。
私は今朝からの行動を思い返した。
寝ている間に更新された記事を読む。
新しくフォローしてくださった方の記事を読む。
マガジンに登録していただいたことに気づく。
ほかに登録されている記事も読む。
そこから気になる記事を見つける。
読む。
読む。
読む。
そしてスキ。
「…………姫」
「はい✨」
「心当たりしかありません」
「?」
まったく伝わっていなかった。
⸻
姫は少し考えてから、にっこりした。
「きっと、少し休んでくださいということですね✨」
「……そういうことにしておきましょう」
「では、解除されるまで皆さまの記事を読んでいます✨」
「姫」
「はい?」
「それが原因かもしれません」
姫は目を丸くした。
「まあ!」
そして数秒後。
「でも、読むだけなら大丈夫ですよね?✨」
私は答えなかった。
プリンセスコロッバー。
本日もしばらくスキは押せません。
なお、本人は元気です。
