
人生は、出会うべき人に、出会うべき時に出会う。少しも遅くもなく、早くもなく。
人生を振り返ってみると、
「あの人に出会っていなかったら、今の自分はなかっただろうな」
と思う人が、何人かいます。
そのときは、そんなことなど考えもしませんでした。
ただ、その人と出会い、その人から言葉をもらい、その経験を重ねてきただけ。
でも、ずっと後になって振り返ると、
「あの出会いには、意味があったのかもしれない」
そんなふうに思うことがあります。
私の場合、最初に思い浮かぶのは、中学校のときのバレーボール部の顧問です。
その先生にバレーボールを教えてもらったことが、その後の私の人生に大きな影響を与えました。
今でも私はバレーボールに関わっています。
もし、あの先生に出会っていなかったら。
今の私は、まったく違う人生を歩いていたかもしれません。
そして、若いころに出会った銀行の支店長。
その方から、
「本を読め」
と言われたことがあります。
当時の私は、今ほど本を読む人間ではありませんでした。
でも、その言葉がきっかけの一つになって、少しずつ本を読むようになりました。
本を読むことで、知らなかった世界を知り、自分とは違う考え方に触れるようになった。
それもまた、今の私をつくっているものの一つだと思っています。
そして、もう一人。
できれば出会いたくなかったと思う人もいます。
まるで「半沢直樹」に出てきそうな、強烈な悪役のような役員です。
その人との経験は、決して楽しいものではありませんでした。
でも、今になって思うのです。
人生の主人公が自分だとしたら、物語には悪役も必要だったのかもしれない、と。
その人がいたからこそ、
「こんな人間にはなりたくない」
「人に対して、こういうことはしてはいけない」
と、強く考えることができました。
嫌だった経験も、苦しかった経験も、時間が経てば、自分をつくる材料になることがある。
そんなことを、その経験から学んだように思います。
そして、人との出会いだけではありません。
私の人生には、震災がありました。
そして、脳梗塞もありました。
どちらも、できれば経験したくなかった出来事です。
でも、それを経験したことで、人生に対する考え方は大きく変わりました。
「明日が当たり前に来るとは限らない」
そんなことを、頭ではなく、身体で感じるようになったのです。
以前なら当たり前だと思っていた一日が、実は当たり前ではなかった。
そう気づいてから、日々の見え方が少し変わりました。
だから今は、
人も。
出来事も。
良いことも、悪いことも。
そのときには意味が分からなくても、あとになって人生のどこかにつながっているのかもしれない。
私は、そんなふうに思うのです。
そして、最後にどうしても忘れてはいけない人がいます。
両親です。
両親が、出会うべき時に出会っていなければ、私はここにいません。
少しも早くなく。
少しも遅くなく。
その二人が出会い、私が生まれた。
それだけでも、なんだか不思議なことだと思います。
もちろん、すべての親子関係が幸せなものだとは思いません。
世の中には、毒親と呼ばれるような親もいるでしょう。
親との関係に、苦しんできた人もいると思います。
だから、
「親には必ず感謝しなければならない」
などと言いたいわけではありません。
ただ、自分をこの世に送り出してくれたという一点については、ほんの少しだけ感謝してもいいのではないか。
そして、その出会いを、自分のこれからの人生に少しでもプラスに変えていけばいい。
私は、そんなふうに思っています。
人生には、自分では選べなかった出会いがたくさんあります。
嬉しかった出会いもあれば、
苦しかった出会いもある。
二度と会いたくないと思った人もいる。
そして、人ではなく、震災や病気のような出来事との「出会い」もある。
でも、振り返ってみると、
「あの人に出会ったから、今の自分がいる」
「あの出来事があったから、今の自分がいる」
そう思えることが、少しずつ増えてきました。
もしかすると人生は、
出会うべき人に、出会うべき時に出会う。
少しも遅くもなく、
少しも早くもなく。
そんなふうにできているのかもしれません。
あなたの人生には、
「この人に出会っていなかったら、今の自分はいなかった」
と思える人がいますか?
そして、
「あの出来事があったから、今の自分がいる」
と思える出来事はありますか?
振り返ってみると、そこにはきっと、今の自分につながる何かがあるのかもしれません。