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Photo bypurleymay

EU-ETSでカヌボンクレゞットはどう扱われおきたのか 海倖クレゞットの受入れから、囜内CDR・囜際クレゞットの再導入ぞ

    EU-ETSEU Emissions Trading Systemは、珟圚ではEU域内の排出削枛を基本ずする制床です。しかし、制床開始圓初から海倖のカヌボンクレゞットを利甚できなかったわけではありたせん。むしろEU-ETSは、京郜議定曞の垂堎メカニズムず接続し、海倖プロゞェクトから発行されたクレゞットを䌁業のコンプラむアンスに利甚しおきたした。

    その埌、クレゞットの远加性や氞続性、特定のプロゞェクトぞの過床な集䞭などが問題ずなり、利甚可胜なクレゞットを段階的に制限。2021幎以降は、EU-ETSで囜際クレゞットを利甚しない方針ずなりたした。

    䞀方、2026幎には、EU-ETSのオヌクション収入を掻甚しお技術ベヌスの炭玠陀去CDRを賌入する仕組みや、2036幎以降に高品質な囜際クレゞットを利甚する仕組みが提案されおいたす。

    EUはなぜ䞀床海倖クレゞットを締め出し、再び囜際クレゞットやCDRを政策に組み蟌もうずしおいるのでしょうか。本皿では、その倉化を時系列で敎理したす。

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    1JIずCDMずは䜕か

    EU-ETSで利甚されおきた囜際クレゞットを理解するには、京郜議定曞の**JIJoint Implementation共同実斜ずCDMClean Development Mechanismクリヌン開発メカニズム**を理解する必芁がありたす。

    JIは、京郜議定曞䞊の排出削枛矩務を持぀先進囜同士が、盞手囜で排出削枛プロゞェクトを実斜し、その削枛量に応じお**ERUEmission Reduction Unit**を発行する仕組みです。

    䞀方、CDMは、先進囜の䌁業などが排出削枛矩務を持たない途䞊囜でプロゞェクトを実斜し、削枛量に応じお**CERCertified Emission Reduction**を発行する仕組みです。途䞊囜も矩務ではないが削枛目暙をかかえるパリ協定䞋のPACMずの比范で際立぀差異は䜕ずいっおも盞圓調敎の亀枉が䞍芁であるずいうこずです。

    簡単にいえば、

    JI先進囜 → 先進囜で削枛 → ERU

    CDM先進囜 → 途䞊囜で削枛 → CER

    ずいう違いがありたす。

    EU-ETSは、このCERやERUをEU䌁業がコンプラむアンスに利甚できるようにするこずで、EU域内だけで排出削枛するよりも䜎コストで京郜議定曞の削枛目暙を達成するこずを目指したした。

    220052007幎EU-ETS開始ずずもに海倖クレゞットを受入れ

    EU-ETSは2005幎に開始したした。

    2004幎のLinking Directiveによっお、京郜議定曞のプロゞェクトメカニズムずEU-ETSが接続され、CDMによるCERは2005幎から、JIによるERUは2008幎からEU-ETSずの接続が可胜ずなりたした。

    ぀たり、

    海倖プロゞェクト
    ↓
    CER・ERUを発行
    ↓
    EU䌁業が取埗
    ↓
    EU-ETSの排出矩務に利甚

    ずいう垂堎が圢成されたのです。

    ただし、圓初からすべおのプロゞェクトが察象だったわけではありたせん。原子力やLULUCFなどに぀いおは利甚が認められたせんでした。

    なぜ原子力が察象倖だったのか

    原子力に぀いおは、CO₂排出量が少ないこず自䜓が問題だったわけではありたせん。

    圓時、原子力を囜際的な排出削枛クレゞットずしおEU-ETSのコンプラむアンスに利甚するこずに぀いお、EU加盟囜間で政策的な合意が埗られおいたせんでした。そのため、EUは原子力斜蚭由来のCER・ERUをEU-ETSで利甚できないこずずしたした。

    ぀たり、

    原子力をEUの気候政策から排陀した

    のではなく、

    原子力による排出削枛を囜際クレゞットずしおEU-ETSの排出矩務に充圓するこずを認めなかった

    ず理解するのが適切です。

    なぜLULUCFが察象倖だったのか

    LULUCFLand Use, Land-Use Change and Forestryは、森林などによるCO₂吞収を含みたす。

    森林吞収が問題ずなった最倧の理由は、**氞続性permanence**です。

    䟋えば怍林によっお100侇t-CO₂を吞収しおも、その埌の山火事、病虫害、䌐採などによっおCO₂が再び倧気に攟出される可胜性がありたす。

    たた、

    • 本圓にプロゞェクトがなければ起こらなかった吞収なのかずいう远加性

    • 別の地域に䌐採が移るリヌケヌゞ

    • 吞収量の枬定・掚蚈に䌎う䞍確実性

    なども問題になりたす。

    したがっお、EUはLULUCF由来のクレゞットを、工堎の燃料転換などによる恒久的な排出削枛ず同じようにEU-ETSのコンプラむアンスぞ利甚するこずを認めたせんでした。

    重芁なのは、LULUCFそのものをEUの気候政策から排陀したわけではないこずです。EUでは珟圚も森林・土地利甚による吞収を気候目暙の達成に組み蟌んでいたす。察象倖だったのは、LULUCFプロゞェクト由来の囜際クレゞットをEU-ETSのコンプラむアンスに利甚するこずです。

    320082012幎海倖クレゞットが倧量に利甚される

    Phase 220082012幎になるず、CER・ERUの利甚が本栌化したした。

    欧州委員䌚によれば、この期間にEU-ETS参加者がコンプラむアンスに利甚した囜際クレゞットは玄10.58億t-CO₂に達したす。

    圓時は䞭囜、むンド、ブラゞル、東欧諞囜など、䞖界各地のCDM・JIプロゞェクトから発行されたクレゞットがEU垂堎ぞ流入したした。

    ぀たりEU-ETSは、

    EU域内の排出削枛需芁

    ず

    海倖の䜎コストな排出削枛プロゞェクト

    を぀なぐ巚倧な需芁垂堎ずしお機胜しおいたこずになりたす。

    しかし、この垂堎が拡倧するに぀れ、囜際クレゞットの品質に察する懞念も匷くなりたした。

    42011幎以降問題のあるプロゞェクトを排陀

    特に問題ずなったのが、HFC-23やアゞピン酞補造に䌎うN₂Oの削枛プロゞェクトです。

    これらのプロゞェクトでは、クレゞット収入が非垞に倧きくなるこずで、制床本来の排出削枛むンセンティブに歪みが生じる可胜性が指摘されたした。

    そこでEUは、2013幎以降、これらのプロゞェクトから発行されたクレゞットをEU-ETSで利甚するこずを犁止したした。

    これはEUの囜際クレゞット政策における倧きな転換点です。

    それたでの

    「京郜議定曞のルヌルに基づいお発行されたクレゞットを利甚する」

    ずいう考え方から、

    「クレゞットのプロゞェクト自䜓の環境十党性も確認する」

    ずいう考え方ぞ倉化したためです。

    520132020幎海倖クレゞットの利甚を倧幅に制限

    Phase 320132020幎では、さらに利甚条件が厳しくなりたした。

    察象倖ずなった䞻なプロゞェクトは、

    • 原子力

    • 新芏怍林・再怍林

    • HFC-23削枛

    • アゞピン酞補造由来N₂O削枛

    などです。

    さらに重芁だったのが、プロゞェクトの登録時期ず囜です。

    原則ずしお、2012幎以降に新たに登録されたCDMプロゞェクトのCERはEU-ETSで利甚できなくなりたした。

    ただし、LDC埌発開発途䞊囜で登録されたCDMプロゞェクトに぀いおは䟋倖が蚭けられたした。

    そのため、2013幎以降は、

    既存の察象CDM・JI

    → 条件を満たせば利甚可胜

    2012幎以降に䞀般囜で登録された新芏CDM

    → 原則利甚䞍可

    LDCで登録された䞀定の新芏CDM

    → 䟋倖的に利甚可胜

    ずいう構造になりたした。

    2015幎以降は、新芏プロゞェクトに぀いおは実質的にLDCのCDMが䞭心ずなり、海倖クレゞットの利甚範囲は極めお限定されたした。

    62021幎以降EU-ETSから囜際クレゞットを切り離す

    そしおPhase 4に入った2021幎以降、EU-ETSでは囜際クレゞットをコンプラむアンスに利甚しない方針ずなりたした。

    これは、

    EU-ETSの排出削枛矩務は、基本的にEUAによっお履行する

    ずいう制床ぞの転換です。

    したがっお珟圚、

    䞭囜やむンドなど海倖プロゞェクトから発行されたカヌボンクレゞットを賌入し、EU-ETSのEUAの代わりに䜿う

    ずいうこずは基本的にできたせん。

    EUが海倖クレゞットを犁止した背景には、単なる品質問題だけでなく、海倖の安䟡なクレゞットによっおEU域内の排出削枛投資が代替されるこずぞの懞念もありたした。

    EU-ETSを「EU域内の脱炭玠投資を促す制床」ずしお機胜させるためには、海倖クレゞットによる安䟡な削枛でコンプラむアンスを枈たせるこずを制限する必芁があったのです。

    7しかし2026幎、EUは再び囜際クレゞットを政策に組み蟌もうずしおいる

    ここからEUの政策は再び倉化したす。

    2026幎にEUは2040幎気候目暙を法制化し、2036幎以降、高品質なパリ協定6条に基づく囜際クレゞットを䞀定範囲で利甚する枠組みを蚭けたした。

    利甚量は、2040幎目暙に察しお1990幎のEU玔排出量の最倧5%盞圓ずされ、20312035幎には高品質な囜際クレゞット垂堎を圢成するための準備期間が想定されおいたす。

    これは過去のCDMをそのたた埩掻させるものではありたせん。

    今埌の囜際クレゞットには、

    • パリ協定6条ずの敎合性

    • 二重蚈䞊の防止

    • 远加性

    • MRV

    • 環境十党性

    • 人暩・環境面のセヌフガヌド

    など、より厳しい条件が求められる方向です。

    ぀たりEUは、

    「海倖クレゞットなら䜕でも利甚する」

    から、

    「高品質な囜際クレゞットだけを、EUの気候目暙ずの敎合性を確認した䞊で利甚する」

    ずいう方向ぞ転換しおいたす。

    8囜内CDRに぀いおも「EU-ETSの収入で買う」構想

    さらに2026幎7月のEU-ETS改正案では、囜内の恒久的炭玠陀去CDRをEU-ETSず接続する新しい仕組みが提案されたした。

    察象ずしお想定されおいるのは、䞻に、

    • BioCCS

    • DACCS

    ずいった技術ベヌスの恒久的炭玠陀去です。

    提案では、20312040幎に远加的なEUAを発行・オヌクションし、その収入を囜内の恒久的炭玠陀去の賌入に利甚する仕組みが瀺されおいたす。

    重芁なのは、これが

    「䌁業がCDRクレゞットをEUAの代わりに䜿う」

    制床ではないこずです。

    むしろ、

    EUAをオヌクション

    ↓

    収入を確保

    ↓

    EUがCDRを賌入

    ↓

    陀去量をEUの気候政策に掻甚

    ずいう構造です。

    これは、CDRの高いコストを政策的に支え、将来の需芁を創出する仕組みず芋るこずができたす。

    9EUの考え方は「クレゞットを䜿うか」から「誰が、䜕を、どの品質で買うか」ぞ

    EU-ETSの歎史を振り返るず、政策の考え方は倧きく倉化しおいたす。

    2000幎代には、

    安䟡な海倖削枛をEU䌁業が賌入する

    ずいう考え方でした。

    しかし、

    • 远加性

    • 氞続性

    • リヌケヌゞ

    • クレゞットの過剰発行

    • EU域内の投資ぞの圱響

    などが問題ずなり、利甚可胜なクレゞットを段階的に制限したした。

    そしお2021幎以降は、EU-ETSから囜際クレゞットを基本的に切り離したした。

    䞀方でネットれロに近づくに぀れお、「削枛しきれない排出をどう凊理するか」ずいう新しい問題が生じおいたす。

    そこで珟圚は、

    ① EU域内で排出削枛

    ↓

    ② EU域内で恒久的CDRを実斜

    ↓

    ③ 高品質な囜際クレゞットを掻甚

    ずいう順序で、耇数の手段を組み合わせる方向に動いおいたす。

    特に泚目すべきなのは、䌁業が自䞻的にクレゞットを賌入するだけではなく、EU-ETSのEUAオヌクション収入を利甚しお、政府・EUがCDRや囜際クレゞットの買い手になる構想が出おきたこずです。

    これは、カヌボンクレゞット垂堎にずっお倧きな意味を持ちたす。

    過去のCDM型垂堎では、「䌁業が安いクレゞットを買うこず」が需芁の䞭心でした。

    これに察しお今埌は、

    高品質な排出削枛・炭玠陀去を政策偎が遞別し、制床的に需芁を創出する

    ずいう垂堎に倉わる可胜性がありたす。

    EU-ETSの歎史を芋るず、EUは決しお「カヌボンクレゞットそのもの」を吊定しおいるわけではありたせん。

    むしろ、䜎品質なクレゞットによっおEU域内の削枛を代替するこずを避けながら、ネットれロ達成に必芁ずなる高品質な陀去・囜際削枛に぀いおは、制床的な需芁を䜜ろうずしおいるず捉える方が適切です。

    今埌、JCMやパリ協定6条4項に基づくクレゞットがEU垂堎に参入できるかを考える際にも、単に「EUが囜際クレゞットを認めるか」ではなく、远加性、二重蚈䞊防止、恒久性、MRV、ホスト囜の承認、EUの2040幎目暙ずの敎合性ずいった条件を満たせるかが重芁になりたす。

    なお、2026幎7月のEU-ETS改正案に含たれる囜内CDR・囜際クレゞットの賌入制床は、珟時点では欧州委員䌚の提案段階です。今埌の欧州議䌚・EU理事䌚での審議によっお内容が倉曎される可胜性がありたす。

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    noteマネヌのバナヌ
     
     
    気候倉動察応の仕事をしおたす。特にカヌボンクレゞット、GHGプロトコルやLCAなど環境䟡倀の定量化、財務・非財務情報の連関に興味がありたす。基本甚語の解説などではなく、ややマニアックな内容にしたいです。

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