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ショートショート『鼻から車が来た!』


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    鼻から車が来た!

    交通安全の授業。
    先生が黒板に「右→左→右」と書いた。
    「横断歩道を渡るときは、右見て、左見て、もう一度右を見るんだぞ」

    するとハルキが手を挙げた。
    「先生! でも右見てる間に左から車が来たらどうするんですか!」

    先生は少し困った顔をしながら答える。
    「それは……うーん、だからこそ“もう一度右を見る”んだよ」

    すると教室がざわつく。
    「だったら最後は左じゃない?」
    「いやいや、右からの車のほうがスピード出てるんだって!」
    「じゃあジャンケンで決めればよくね?」
    「信号に“右優先”とか書いといてほしい!」

    好き放題の提案が飛び交い、先生は黒板をトントン叩いて静めようとするが、誰も聞いていない。

    そこで一番前の慎太郎が立ち上がった。
    「もうさ──両方同時に見ればいいんだよ!」

    「無理だろ!」とクラス全員がツッコむ。

    すると慎太郎は目を左右に思いっきり開いた。
    ……が、寄り目になって自分の鼻しか見えなくなった。

    「先生! 鼻から車が来ました!」

    教室は爆笑。
    先生は深いため息をついて心の中でつぶやいた。
    ──まったく、このクラスは信号無視だな。


    あとがき

    毎週ショートショートnoteの裏お題「左右研究」に参加させていただきました。

    うーん、正直かなり難しかったです。最初は「自撮りで左右どっちが盛れる?」みたいな話にしようと思ったんですが……膨らまずボツ。おじさんなんで自撮りしないんですよね!

    普段はバイクで配達をしているので、交通安全のことは日常的に考えます。子どもの頃から耳にしていた標語「右見て左見て、もう一度右を見て」。あれ、大人になっても「いや、今左から来たぞ!」みたいなこと、実際によくあるんですよ。

    今回は、それを小学生の視点で描いたら面白いんじゃないかと思って書きました。SFやファンタジー、恋愛モノを多く書いてきた僕ですが、こういう小学生的なノリの話はどう読まれるのか……ちょっとドキドキしています。

    ちなみに本編では答えを出しませんでしたが、「もう一度右を見る」理由は、日本が左側通行だから。右から来る車のほうが接触の危険性が高いんですね。


    ここまで読んでくださりありがとうございます!
    もしクスッと笑えたら、ぜひ スキ・フォロー・コメント で合図を送ってもらえると、信号待ちの僕も元気が出ます。

    連載中の 『配達員ろること2号』 では、横断歩道どころか街じゅうを駆け抜けるドタバタ劇を書いています。クルマより速いこともあれば、信号に泣かされることもあって……まさに配達員のリアルとフィクションの交差点。

    またXでは、フードデリバリーの日常や小説、AIイラストも発信中です。赤信号で止まっている間にでも覗いていただければ嬉しいです。

    ※本作はフィクションです。

    登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

     
     

    2号

     
     
    『配達員ろること2号』連載中。配達あるあるとちょっとのドラマ、読んでってね。

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