
『私の十二景 ─映る世界─三行詩』
一景 東雲(しののめ)
二景 浮雲(うきぐも)
三景 陽炎(かげろう)
四景 夕凪(ゆうなぎ)
五景 残月(ざんげつ)
六景 白夜(びゃくや)
七景 時雨(しぐれ)
八景 花筏(はないかだ)
九景 星鴉(ほしがらす)
十景 月虹(げっこう)
十一景 紫電(しでん)
十二景 光芒(こうぼう)
私の東雲─三行詩
夕陽だと思っていた空は、夜明けの色をしていた
沈むのではなく、これから昇るのだと気づいて
わたしは閉じかけた瞼を、ゆっくりと開いた

私の浮雲─三行詩
行き先を決めないまま、空のなかほどに漂っている
かたちが変わっても、それは崩れたのではなく
風とふたりで、今日の絵を描いているだけ

私の陽炎─三行詩
手を伸ばすたび、あなたは光の中で揺れる
夏の白い道も、水平線も、追えば消え、止まればまた現れる
届かないものほど、美しいまま胸に残る
