
Fergが語るA$APを外した理由
Fergが名前から「A$AP」を外したとき、ファンの目には長年の仲間と距離を置く動きに映ったかもしれない。本人も、その変化に不安を覚える人がいることは分かっている。"In Motion"で、Fergは「成長を尊重してほしい」と語り、A$AP Mobの仲間と別々に活動する今を説明した。
話題はバスケットボール、音楽、服へと移る。New Yorkのチームを応援し、選手と親交を深め、映像や運動にも仕事を広げるFergが、自分の名義で何を築きたいのか。Rockyに関する問いへの返答と、Mobの将来像を合わせると、名前の変更をめぐる本人の考えが見えてくる。
A$APを外した名前とファンの葛藤
司会のAshley Nicole Mossは、Fergから「A$AP」が消えたことで、ファンが彼を別のアーティストとして見るのではないかと尋ねた。Fergは心配がなかったとは言わない。人々が愛着を持つ名前を公の場で変えるなら、否定的な受け取り方をされないか気になる。本人はファンの気持ちを理解した上で、自分の成長を尊重してほしいと話す。
Fergが挙げたのは、仲間の姿を見慣れた人が変化を「離婚」のように感じ、どちらか一方を選ばなければならないと思う状況だった。本人の説明では、各人が別の場所で活動を育てている。互いへの関心を失ったという話ではない。彼は「自分はここに家を建て、彼は向こうに家を建てる」とたとえ、完成したものを持ち寄る未来を思い描く。ファンが一緒に写る姿を見てきたからこそ、別々の仕事にも理由が要ると考えているのだろう。
番組では、A$AP Rockyが名義変更を気にかけていたという話も出た。司会にどう感じたかと問われたFergは、それはRocky個人の思いだと受け止めた上で、自分の考えに従う必要があると答える。Rockyの気持ちを代弁して決着をつける返答ではない。Fergは互いが感じることを認め、自分が選ぶ活動の話へ戻した。
その理由を語るとき、Fergは体にA$APのタトゥーがあることを挙げる。Mobと仕事を始めてからA$AP Fergとなり、今は元のFergへ戻るという説明だ。名前から文字を外しても、自分の体に残る文字まで消えるわけではない。加入以前の名前を使いながら、仲間と過ごした時間も自分の一部として持ち続ける。この二つを同時に語るところに、本人が名義変更へ込めた線引きがある。
Fergが気にしているのは、名前の表記だけで関係を判断されることでもある。ファンがかつての並びを望む気持ちを否定せず、その期待が自分たちの行動を決めるわけでもないと話した。彼の説明には、どちらかを選ぶ必要はないという願いが繰り返し出てくる。Rockyへの返答でも、相手が不快に思った可能性を打ち消すより、今の自分に必要な仕事を明確にする方を選んだ。
一方で、A$APとともに過ごした時間を消すつもりもない。ファンの不安と自分の意志の間に葛藤があっても、Fergは名前を戻す理由を自分の口で説明する。名前からA$APを外したことより、何を作って再び仲間に会うかが、彼の話の中心にある。
Yamsが思い描いたMobの広がり
FergはA$AP Mobについて、人々が一つのグループとして見てきたことを認める。ただし本人が語る構想は、メンバーが常に同じ行動を取る集団にとどまらない。さまざまなアーティストを送り出すレーベルのような存在を想定していたという。彼によれば、Yamsは生前、多くのアーティストと契約したがっていた。
FergはPro EraやYoung Thugの名を挙げ、「一緒にいるべきだった」と振り返る。これは実際に契約交渉が進んだという証言ではなく、彼が思い描くMobの規模を伝える仮定だ。Bad Boyのように、それぞれが自分の活動を持ち、必要なときに同じ名前の下へ集まる姿を例に出す。全員が一枚の写真に収まっていても、各人には育てるべき仕事があるという見方である。
別々に建てた家が大きくなったら、もう一度集まれる。Fergはその構想を、合体して力を増すVoltronにもたとえた。将来の共同作業を想像しながら、今は個々の活動を進めるという本人の希望だ。かつて一緒だった姿を保つために、自分の仕事を狭める必要はないと考えている。
Fergがその必要性を言い表したのは、誰かのツアーについて回ってばかりでは、自分に訪れる機会にも出会えないという発言だった。Rockyは映画の仕事を広げ、Ferg自身は運動やフィットネスにも取り組んでいると語る。次に顔を合わせたとき、互いが別の場所で築いたものを見せ合いたい。Mobとの関係を守るためにも、Fergとして何を作ったかを示したいという順番なのだ。
Bad Boyを例に挙げたとき、FergはFaith Evans、Mase、112らの名前を並べた。互いに異なる活動を持つアーティストが同じ母体から出ていく姿を、Mobにも重ねている。彼が語るレーベル像では、仲間が同じ場所に居続けることより、そこから誰が何を始められるかが大切になる。Yamsが「誰とでも契約したがっていた」という言葉も、その広がりを伝えるための回想だ。
将来の再会についてFergは、みんなが育った後に集まれば、以前より大きなものになると期待する。同時に、今の段階で具体的な共同企画を示してはいない。Rockyの映画や自身の運動に関する活動を並べるのは、異なる場所での仕事を互いに持ち寄る例としてだ。「一緒にいる」ことを一時的に離れ、各人が自分の名前で成果を積む。その過程を経てこそ、再び集まるときに渡せるものがあるという考え方である。
ニックスと音楽が交わる場所
2026年、New York KnicksはNBAファイナルで優勝した。長年のファンであるFergは番組で、街の高揚が自分の音楽にも入っていると話す。街で人々がチームの色を身につけ、HarlemやNew Yorkの言葉を交わす様子が、彼には自分たちの姿を思い出させた。優勝の経験を単なる観客として振り返るだけでなく、制作中の曲へ街の熱気を持ち込もうとしている。
Fergがチームと関わった時間は、今回の優勝より前から続く。司会が2019年の映像として質問したニックスの宣伝映像について、Fergは長年一緒に映像を作ってきた友人に声をかけられて参加したと語る。Madison Square Gardenではハーフタイムにも出演した。彼はあの会場に立つことを以前から望んでいたと振り返り、ニックスや会場と自分の活動が重なる機会を大切にしている。
Fergが望むのは、New Yorkを訪れた人が食事や遊び場を知る人物として、自分に会いたくなるような存在だ。番組では、HoustonのBun Bを引き合いに出した。街と結びついた人物になりたいという発言は、名前を独立させる理由ともつながる。誰かの行程に同行するだけでは、自分が案内できる場所や経験を増やしにくい。ニックスの試合をコート脇で見た思い出や、会場での出演を重ねてきたことが、その望みを具体的にしている。
スポーツ選手が自分の曲を聴いてくれることも、Fergには仕事を広げる動機になった。本人は音楽の勢いが競技をする人々に届いてきたと語り、"New Level"の映像などで選手との接点を作った。ファンとして試合を見る一方、映像で応援を返したかったという説明である。ニックスの連覇については、Jalen Brunsonからチーム内の親しさを聞いたことを挙げて期待を示した。友人Jaylen Brownとの関係についても語ったが、もし彼のいるPhiladelphiaの76ersとニックスが対戦すれば、応援するのは地元のチームだと言い切っている。
Jaylen Brownの話には、友人と地元のチームを同時に大切にするFergの立場が出ている。BrownがBostonからPhiladelphiaへ移った際、FergはBostonを第二の故郷のように感じていたため寂しかったと語った。現地の試合へ足を運び、会場では自分の曲を流してもらい、試合後も一緒に過ごしていたという。友人のいる街が変われば、自分もPhiladelphiaへ行く。それでも対戦相手がニックスなら、応援するチームは揺らがない。人間関係の話と競技への忠誠心を、Fergは軽口も交えて切り分けていた。
新作と「流れに任せる」という言葉
Fergは新しいアルバムにSydが参加すると明かし、発売時期を「来年の初め」と答えた。共演したい相手を問われるとJay-Zの名前を挙げ、Jay-Zが過去に"New Level"を聴いていたとも語る。
服についてFergが重視するのは、独自性と、自分の気持ちが動くかどうかだという。ある時期には長いシャツを着て、別の時期には運動着や帽子が日常の服になる。今は80年代の装いを思い浮かべているとも話した。決まった外見を守り続けるより、その時々の自分に合うものを選ぶ。名義の変更も、そうした選び直しの一つとして本人は説明している。
インタビューの最後、Fergは受け取った助言として「流れに任せる」を挙げた。Bruce Leeの水のたとえを引き、否定的な言葉や他人の感情を自分の中にため込まない姿勢を話す。相手が何かを言っても、それを自分の姿だと受け入れる必要はない。動きを止めず、状況に合わせて進みたいという考えだ。
Fergは好きな曲を選ぶ企画でも、今もっとも気に入っている自分の曲として"Cycle"を挙げた。一方で、スタジオでまだ一緒になれていない相手としてJay-ZのほかにJay Electronicaにも言及している。
Fergが服を選ぶ基準も、そうした時間の違いに沿っている。毎日同じ装いを守ると言うのではなく、かつて長いシャツを好んだ時期と、今の気分を分けて話す。独自の形でも自分が何も感じなければ手に取らないという基準は、名前を戻す決断を考える手掛かりにもなる。周囲の期待だけで外見や仕事を選ばず、その時点で自分が進めたい方向を確かめる。番組の最後に語った「流れに任せる」も、何もしないという意味ではなく、否定的な言葉にとらわれて動けなくなるのを避けるための姿勢だった。
Rockyの思い、ファンの不安、自分の希望が同じ場にある中で、Fergは誰かの気持ちを消そうとはしなかった。その上で「Fergとしてやる」と答える。A$APのタトゥーを残し、自分の名前で次の家を建てるという言葉には、過去とこれからの両方が収まっている。