
10月22日はガリレオの日
原作・東野圭吾氏の代表と言えるものに「ガリレオ」シリーズがあり、書籍に留まらずテレビ・映画化もされ、主人公の湯川学氏を俳優の福山雅治氏が演じているので、一度でも観た方はいるのでは?
この10月22日はガリレオ誕生から30年目の日でもあります。
その代表作で映画化にもなった「容疑者 X の献身」というものがある。
内容はというと、
1. 事件の発生:母娘による突発的な殺害
弁当屋で働くシングルマザーの花岡靖子と娘の美里のもとに、居場所を突き止めた元夫の富樫慎二が金の無心に現れます。
執拗につきまとい、暴力を振るう富樫に対し、耐えかねた母娘は突発的に富樫を絞殺してしまいます。
絶望する母娘の異変に気づいたのが、アパートの隣室に住む高校の数学教師・石神哲哉でした。
実は石神は、生きる希望を失っていた時期に靖子たちの明るさに救われて以来、彼女に秘かな恋心(純粋な信仰に近いもの)を抱いていました。石神は「僕が二人を守ります」と告げ、死体の処理と完璧なアリバイ工作を請け負います。
2. 捜査の難航:崩れない完璧なアリバイ
後日、旧江戸川の河川敷で、顔を潰され指紋を焼かれた男性の遺体が発見されます。衣服の遺留品や近くの盗難自転車から、遺体は「富樫慎二」と特定され、警察は元妻の靖子に疑いの目を向けます。
しかし、警察がいくら調べても靖子たちのアリバイは完璧でした。事件があったとされる夜、彼女たちは映画館やカラオケボックスに足を運んでおり、その証拠や目撃証言が次々と浮き彫りになります。
行き詰まった草薙刑事は、大学の同期である天才物理学者・湯川学(ガリレオ)に協力を仰ぎます。そして湯川は、事件の容疑者の中に、かつて自分が「本物の天才」と認めた大学時代の友人・石神の名があることを知り、独自に動き始めます。
3. 天才同士の頭脳戦と違和感
旧友との再会を喜びつつも、湯川は石神のわずかな言動に違和感を覚えます。
いつも身なりを気にしなかった石神が、急に鏡を見て髪を気にしたこと
「花岡靖子は美人だ」という、数学しか興味がなかった男らしからぬ発言 。
湯川は、石神が靖子を愛しており、彼女のためにその天才的な頭脳を犯罪に使っていると確信します。そして、石神が仕掛けた「アリバイの盲点」の答えにたどり着くのです。
4. 【核心ネタバレ】最大のトリック
この事件の恐るべきトリックは、アリバイを偽装したことではなく、「事件の発生日(死亡日時)そのものをすり替えた」点にありました。
3月9日:靖子たちが本当に富樫を殺害。
3月10日:石神が計画を実行。彼は靖子たちを守るため、全く無関係のホームレスの男性を別の場所で殺害し、その遺体の顔を潰して指紋を焼き、富樫の衣服を着せて河川敷に遺棄した。
警察が発見し、「富樫の遺体」だと思い込んで捜査していたのは、実は3月10日に殺されたホームレスの遺体でした。
警察が「富樫の死亡推定時刻(10日の夜)」の靖子たちのアリバイをどれだけ調べても、10日の彼女たちは石神の指示通り本当に映画館へ行っているため、絶対に崩れるはずがありません。「嘘のアリバイを偽装するのではなく、本物のアリバイがある日に別の殺人を犯す」という、石神の冷徹かつ狂気的な計算でした。
5. 結末:究極の献身と誤算
湯川から真相を突きつけられた石神は、すでに次の手を打っていました。自分が「靖子のストーカーであり、富樫殺害の単独犯である」と偽り、警察に自首したのです。石神は自分が全ての罪を被り、靖子には別の男性と結ばれて幸せになるよう手紙を残しました。
湯川は苦悩の末、このあまりにも切ない真実を靖子に告げます。「石神はあなたを守るために、自らも人殺しになった」と。
石神の身代わりによって守られ、勝ち目のないはずの「完全犯罪」は完成間近でした。しかし、石神の計算には一つだけ解けない方程式がありました。それが「人間の良心と愛」です。
そして自首前に靖子への手紙には、
「彼女たちは身に何の覚えもないだろう。それでいい。人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っていることがある。」
と、石神の心の内が書かれており、激しい罪悪感に苛まれた靖子は、石神の意図を裏切る形にはなるものの、警察署へ向かいすべてを告白して自首します。
留置所で靖子の自首を知らされた石神は、自分の命をかけた「献身」の計画が瓦解したことを知り、絶望と悲痛に満ちた咆哮(魂の叫び)をあげて激しく慟哭するのでした。
この中で、「人は時に、健気に生きているだけで、誰かを救っている」言葉が全てではないでしょうか?
生きているだけで、誰かを救っている。
と自分や周り人に伝えてほしいと願います。
東野圭吾作品は「実に面白い」と思う。